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連載:【「ラーメン二郎」は「ラーメン」ではないのか】第三夜『「ニンニク入れますか?」が生むコミュニケーション』


気づいた。

気づいてしまったことが、ある。

先週、ノリと勢いで3件の投稿をアップロードした。
私はそれを読み、反応の薄さを見ては「やっぱクドいよなぁ〜」などと自覚した上で、そのクドさを失うことなく読者を獲得するにはどうしたらよいか、ということをずっと考えていた。
考えるだけ無駄なのかもしれない、などと思いながらも私はこうして、今日も無駄な枕で文字数を稼いでいることになる。


ひょっとしてnoteって…意識高い系サラリーマンや起業家のたまり場で、
金にならない話やビジネスに興味のない人にはウケないんじゃないか…




しかも哲学的なことばかり言っても…何も興味を持たれないのではないか…



…私はそんな想いをそっとiCloudメモにしまい込みながらも、下に完成したラーメン二郎に関する考察を眺めては「今回もウケねーんじゃねえか」などと、思ったのである。


ラーメンにおける「ニンニク」

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人間、30年も行きてくれば様々な発見の連続、経験を得ることになる。
そんな中で。にわかには信じられない「ラーメン屋に行ったことがない」という人間にも出会うことが出来る。これは大きなカルチャーショックとなった。だいたいはチューハイ缶にストローを刺して飲むようなお嬢様だったりするから、経験の質は一定の傾向を持つ。

何度も申し上げてきたとおり、私は生まれた頃からスープを産湯とし、離乳食すらラーメンだった男である。まぁこれは真っ赤なウソなのだが、そんな人生を送ってきたからこそ、ラーメン屋の景色というものをしっかりと、経験によって認識してきた。

ラーメン屋の卓上には、胡椒、一味唐辛子といった調味料が置かれている。これは好みの問題はあれど、たいていどこの専門店に行っても見られる光景である。

それに加えて、ニンニクが置かれていることがある。ほとんどの店では業務用のニンニク…家庭用ではあのチューブに入ったアレだ。あれが業務用ともなれば1キロのボトルに入ったものを、卓上用の小瓶に入れられている。ラーメンヲタクなら一度は聞いたことがあるだろう…卓上用調味料の王様、その名も「テーオー」だ。

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一匙入れればふんわりと香るそのニンニク特有のスメル、ならびに舌を突き刺す刺激がアクセントになる。私はどこのラーメン屋で初めてニンニクを入れる喜びを知ったのかはもはや定かではないが、ニンニクがあるだけで口角が上がる。そして喜びを知る。
グギィィィィッ!ニンニクの悦びを知りやがって!と自分に語りかけながら、その危険なブツを愛してきたのである。


しかしながら、ラーメン二郎を知った私は…その価値観が覆される事になった。

私がラーメン二郎、ならびにそのスタイルに衝撃を受けたのは、
「調味料ではない生ニンニクが提供される」点である。


「ニンニク入れますか?」

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前回言及した「マシマシ」の特殊性に並んで語られるのが、その「コール」である。
そもそもの話、「マシマシ」もその「コール」なるものの一種である。

ラーメン二郎においても様々なコール方法がある。ラーメンの提供直前に「ニンニク入れますか」と聞かれる店もあれば、小滝橋通り店のように食券提示時に聞かれる店や、八王子野猿街道店2のテーブル席のように、予め聞かれたものが宅に置かれるパターンも存在する。

しかしながら、通常であればそのコールは、店主もしくは助手が、あなたの目を見つめて「ニンニク入れますか」と聞いてくることがほとんどである。あなたはそこで、「ラーメンにニンニクを入れるか否か」を問われ、決断を要求されることになる。
腹づもりの決まったラーメン二郎に慣れ親しんだ者であれば、そのコールについてはすでに決まりきっている。また、店によって入れられるニンニクの量に配慮し、自ら「少なめ」であったり、「抜き」であったりを指定することが出来るのも、その店の良さだ。

果たしてニンニクを入れるべきか

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では、ラーメン二郎において、生ニンニクを入れてもらうべきなのか。

これがハードルの高さを生むだろう。。。
ぶっちゃけ、ニンニクって…「クサい」じゃないですか。

でも、ラーメン二郎はニンニクが代名詞じゃないですか。それ、どうなんですか…と聞かれたことがある。

安心してください。ラーメン二郎にニンニクコールは必須ではありません。

そもそもわざわざ「ニンニク入れますか?」と聞いてくるのに、入れなきゃダメですか?っていうのもなんか…同調圧力に弱すぎるのではないか、と思うのです。

あなたはラーメン二郎に生ニンニクを入れなくても美味しく食べることができます。それがラーメン二郎なのです。

なぜなら、調理過程であの巨大な寸胴の中にはもう、あなたの想像のつかないレベルのニンニクが放り込まれ、加熱され、旨味として昇華されているからだ。

この前提を考慮した上で、あなたはラーメン二郎の悦びを知ってほしいと思うのである。

「普通で」と要求するあなたに、店はどう応えるのか

ただし…問題はこれで片付かないのだ。

これを読んだあなたは、実生活において「普通で」と、口ずさんだことはないだろうか。

「普通で」…そう答えることの簡単さを、あなたは理解しているだろうか。

例えば、「コーヒーに砂糖とミルクを入れるか」と聞かれたとしよう。その場合にあなたは「普通で」と答えるだろうか。


「普通」は「砂糖が入っている」のか、「ミルクが入っている」のか、「砂糖とミルク両方が入っている」のか。もしくは、「入れない」のか。
「コーヒーにはちょっと砂糖が入っているもの」と考えるのは、明らかに環境に依存していると考える。

ホットな話題になるが、「コンビニのレジ袋に3円を払う」法が施行された。法の施行なのか条例なのかよくわからないが、またよくわからないしきたりができたものだ。
今だからこそ、コンビニのレジ袋は無料という旧来の概念が定着しているわけだが、これが「3円を払うのが普通」「有無を言わさず3円を払って袋に入れてもらう」となるとどうだろうか。
「普通で」と言って自動的に3円を支払わう羽目になる世の中…おかしくないだろうか?

そうならないためには、「ニンニク入れますか?」と聞かれた場合は
「入れる」「入れない」のどちらかを答えればいいだけのことである。


丁寧に言いなおせば「お願いします」「ニンニクで」
もしくは「ニンニク抜きで」と言えばいいのだ。


インスパイア店の落とし穴

この世の中には、ラーメン二郎の「インスパイア店」というものが多数存在する。
皆、その存在を認識していることは疑いようのない事実である。

最近、ここで落とし穴とされていることがある。
多くのインスパイア店で「ニンニクを入れることは「普通」」とされているようなのだ。

これはもう、引用文献がほしいところではあるが…Twitterでそういったツイートを見たことがある。
それに加えて、私は東京以外の地域の人間に「ニンニクいれますか?って言われて「そのままで」って言ったら「入れる」ですよね?」
と言われたことがある。しかもこれは一度や二度のことではない…

これは、ラーメンにおけるトッピングの強制というものを感じる。

生ニンニクというのは、非常にスタミナを感じるワードだ。
だが、生ニンニクは非常に危険である。その抗菌作用は強烈で、腸内細菌まで殺菌してしまうことになり、結果として腹痛・下痢を引き起こす可能性が高いのだ。

それを考えれば、私はラーメン二郎のホスピタリティいちいち聞いてくれることのありがたさを感じ取っているわけである。



おわりに:ニンニクについて聞かれるのに「ヤサイ」「アブラ」「カラメ」

これは次回だ。今回はよく3000字も読んでくれた。礼を言う。

次回に乞うご期待。



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