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連載:【「ラーメン二郎」は「ラーメン」ではないのか】第五夜『ラーメン二郎はしょっぱいのか』

こんばんは。今夜もお疲れさまです。

ってデフォルトの下書きに書いてあったんですが。これは誰向けのメッセージなのでしょうか。
noteは仕事終わりの皆様に読まれるものだということを想定しているのでしょうか。
私、昼間っからこれ書いているんですけど大丈夫でしょうか。
キリヲです。


そんなわけで。
これまでに私はラーメン二郎のコールについて…「ニンニク」「ヤサイ」「アブラ」に関する投稿をリリースしてきました。

もう一つ。重要なコールが一つ残っているのです…
それは「カラメ」という要望です。

これについて語るのと同時に、ラーメン二郎の不健康・不健全性について様々な面から問われているにも関わらず、体感としてあまり語られてきていなかった「しょっぱさ」についての考察についても御覧いただこう。


トータルしてみれば、ラーメン二郎はどのような了見にして「身体に悪いのか」が見えてくるはずである。

ラーメンはしょっぱいのか

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そりゃあもう、そうだろう。ラーメンという食い物は、茹でられた細めの麺が塩分の効いたスープを泳ぐ水槽である。味覚のほとんどを占めるような塩分と甘みの豊富なスープを、我々は麺を使って飲んでいることになる。

ラーメンの一般的な塩分濃度というのは、スタンダードなものとして売られているカップラーメンや袋麺を、規定量の熱湯で作成し、規定時間で食べ始めたときの塩分として考えるとよいのではないだろうかとも考えてしまう。熱湯の量で味は左右するわけだし、なんなら熱さだけで人の味覚は大きく変わってしまう。冷めればしょっぱく感じる、というよりはまともな感覚で感じられるようになるのだろう。

ラーメン二郎はしょっぱいのか

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いきなり普遍的な概念を提示するレベルの話になるが、
答えとして「店による」という回答が出てくるのは、明らかにラーメン二郎の特徴と言えるだろう。

口を酸っぱくして言ってきたように、ラーメン二郎は店における裁量が大きい。だからこそ店主が美味しいと思うものであったり、これこそが二郎だと考えるものがしっかりと反映される。非常に単純なことだ。

いくつか例を挙げていく。三田本店については仕込みやら何やらを大体が助手の皆様の手にかかっているものであり、朝の時間帯は『総帥』山田拓美氏の指の出汁やらなんやらが入ることによって我々は中毒症状("Poison"ではなく"Syndrome")を得ることが出来る。
助手の皆様は基本的にかっちりとしたマニュアルを受け取ることが無いと言われている。仕込むにしても、どこかで自分の個性的な一面が反映されるような手技の獲得を達成するのだろう。

ということは、仕込みの段階で人による違いが出てくる。
自分の好きなラーメン二郎を作ることを許されるのであれば、その塩分は濃い目なのか薄目なのか。店主の好みによって変わってくるのは間違いない。

パっと考えて特にしょっぱい店というのはいくつか思いつくが…まぁそれはさておきだ。

ラーメン二郎を楽しむ上でもう一つ重要な概念…「ブレ」について言及していきたい。

日によってブレが存在する!?

そして、完全なる本炊きによって仕込まれたスープには、毎日微妙な差が生まれる。同じ豚骨や背脂をつかったところで、豚によって部位の大きさや味などにはどうしても違いが生まれてくることは、容易に想像がつく。

また、そのスープの質に加え、塩分の違いというのも生まれてくる。
ラーメンというものは基本的に丼に「カエシ」と言われ塩分の元となるタレ(醤油・味噌・塩といったものをベースにし、さらに旨味となる様々なエキスを加えたもの)を入れ、その上からスープを入れ、なじませた後に麺を入れるというのが作り方。
このカエシの塩分濃度が肝となる。

ラーメン二郎に関してはこのカエシもまた決まった作り方はない。ただ一つあるとすれば、ラーメン二郎専用FZ醤油(正式名称は失念しました。お調べください)を使用している店がほとんどということ。

カエシに関しても作り方が様々あるからなんとも言えない話だと聞いたのだが、ラーメン二郎においても「豚を漬け込んだタレをカエシとしてそのまま流用する」店と、「豚を漬け込んだタレにさらに醤油等を足したものをカエシにする」店、ならびに「カエシは別に作る」店があるらしい。

「豚を漬け込んだタレをカエシとしてそのまま流用する」
これは何を意味しているかというと、ようは豚がタレを吸って塩分が少なくなったものをそのまま使っている可能性がある、ということだ。あくまで推測だが。
某店ではカエシが入った鍋をIHか電熱で温めているのを見たことがある。これは殺菌(あんだけ塩分がありゃあそう腐ることはないと思うが)と、豚から溶け出した油脂分を固めないようにしている、という目的があるのではないかと想像する。

「豚を漬け込んだタレにさらに醤油等を足したものをカエシにする」
まあ要は上のものに醤油やみりん(風調味料)を足したものだし、
「カエシは別に作る」なら、イチから調合したものをつかっているだろう。

塩分のブレが激しい店に関しては、一番上の手法もしくは二番目の手法を使用している可能性があるだろう。

塩分を緩和するもの

まぁこういった厨房内のメカニズムが想像できる。これが科学的な研究のスタートラインに立つということになるだろう。

それに加えてだ。塩分のブレに関しては当然その他の要因が考えられる。
「ヤサイ」と「アブラ」だ。

ヤサイの多い店ではスープをしょっぱめに仕上げている店が多い印象がある。そう推測できる理由は簡単だ。質量の相対量が上がれば、質量に対する塩分量は確実に減る。
よって、「天地返し」という技を取得した多くの二郎好きの客のことを考えれば、スープにヤサイが落ちていくことは想像に容易い。

そして、ヤサイからも水分が多く出る。ヤサイの水分がスープとともに塩分も緩和してしまうことを想定し、「純粋なスープを楽しみたい」などと言いながら「ヤサイヌキ」をコールする二郎好きも少なくはない。

そして「アブラ」だ。
当然ながら油脂分が入ることにより、マイルドな口当たりになるわけだ。
そうすると塩分を感じにくくなるわけだし、それでいて塩分が足りなくなると感じることもまた、想像がつくことだろう。

「カラメ」とは

そんなラーメン二郎だからこそ、ニンニク入れますか?の問いかけに「カラメ」と伝えることができる。

これは、スープを注ぎ麺を入れた丼にヤサイと豚をのせたものを完成形として、その上からカエシをかけるかかけないかをオプションとして要請できるものだ。
しょっぱめのラーメンが好きならこのカラメコールは非常に有効であり、ヤサイを追加するならば、その分の塩分を補完するものとしての手段となる。

また、このコールをしなくても、ヤサイコールやアブラコールをした客の丼にカエシをかけている店もある。某店ではヤサイをカエシの容器にひと漬けする店もある。

そしてこれも後々語ることになるが、
「高すぎる麺の山にカエシと化調をぶっかけてからヤサイをのせる」店もある。

この話は衝撃的すぎるので、来週以降の投稿をお待ちいただきたい。


さじ加減は店に委ねるもの

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あーじゃこーじゃ語ってきたわけだが、しょっぱいかしょっぱくないかを判断するのは個人の舌である。

あまり深く考えずに、まず初めて行く店ではニンニクの有無のみをコールするのが一番である。


最後に申し上げておきたいのだが、
ぶっちゃけ味覚が鈍る激辛系のラーメン屋のほうが塩分量は多い印象があるし
家系ラーメンのほうが攻めたしょっぱさを感じるし
「純すみ系」と言われる札幌味噌ラーメンも熱さと油脂分を加味してしょっぱめに仕上げてある。
なんならしょっぱさそのものがエッセンスの一つとなっている店もあるわけだ。

ラーメンの世界はあまりにも広い。
ぜひ、臆することなくラーメン二郎の世界に飛び込んでほしい。

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