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ZIM 2022年1Qを終えて

皆さん連日の投稿になりました自称海運班のKIRIです。今回は本日プレで発表のありましたZIMの決算についてみていこうと思います。すでにご存知の方も多いと思いますが、良い決算でした。
(基本的に原文→☆和訳→★コメント)という流れで記載していきます。

まずは決算
予想 売上 $3.49B EPS $12.79
結果 売上 $3.72B EPS $14.19
 
Generated Highest Ever Quarterly Net Income of $1.7 Billion and Adjusted EBITDA1 of $2.5 Billion; Continued to Deliver Industry Leading Operating Margins
Q1 2022 Carried Volume Increased 5% Year Over Year, Significantly Above Industry Average
Increased 2022 Full Year Guidance: Expect to Generate Adjusted EBITDA of $7.8-$8.2 Billion and Adjusted EBIT of $6.3-$6.7 Billion
Declared Q1 2022 Dividend of $2.85 per Share, Representing Approximately 20% of Quarterly Net Income

過去最高の四半期純利益は17億ドル、調整後EBITDA1は25億ドル。業界をリードする営業利益率を引き続き提供
2022年第1四半期の受取扱高は前年同期比5%増、業界平均を大幅に上回った
2022年通期ガイダンスの増加:調整後EBITDAは78~82億ドル、調整後EBITは63~67億ドルを見込む
2022年第1四半期の配当を1株当たり2.85ドルと宣言、四半期純利益の約20%を占める

冒頭でも書きましたが素晴らしい決算です。営業利益率が高いのがZIMの特徴であり業界トップのMaerskやCOSCO等の大手と比べても利益率が全然違います。大手より中小の方が利益率が良いですそのため $MATX あたりも利益率は良い方です。注目すべきは第1四半期受取扱高が前年同期比で5%増。これは2月からの春節やロックダウンの影響を考慮しても去年よりも数字として増えているという素晴らしい結果です。去年は確かに春節の影響こそありましたがその後続いてロックダウン等は無かったのでそこを考慮しても素晴らしいの一言に尽きます。
また今回決算での配当ですが$2.85で四半期純利益の20%という事です。ZIMは配当方向性を30~50%としている企業ですので、今回の21%から上の部分にあたる10~30%は私は4Qでの年間配当としてのプール金としてみています。

First Quarter 2022 Highlights
Net income for the first quarter was $1,711 million (compared to $590 million in the first quarter of 2021), a year-over-year increase of 190%, or $14.19 per diluted share2 (compared to $5.13 in the first quarter of 2021)
Adjusted EBITDA for the first quarter was $2,533 million, a year-over-year increase of 209%
Operating income (EBIT) for the first quarter was $2,243 million, a year-over-year increase of 228%
Revenues for the first quarter were $3,716 million, a year-over-year increase of 113%
Carried volume in the first quarter was 859 thousand TEUs, a year-over-year increase of 5%
Average freight rate per TEU in first quarter was $3,848, a year-over-year increase of 100%

☆2022年第1四半期のハイライト
第1四半期の純利益は17億1,100万ドル(2021年第1四半期の5億9,000万ドルと比較して)、前年同期比190%増、希薄化後1株当たり14.19ドル2(2021年第1四半期の5.13ドルと比較して)
第1四半期の調整後EBITDAは25億3,300万ドルで、前年同期比209%増
第1四半期の営業利益(EBIT)は22億4,300万ドル(前年同期比228%増)でした。
第1四半期の売上高は37億1,600万ドルで、前年同期比113%増
第1四半期のキャリーボリュームは859千TEUで、前年同期比5%増
第1四半期のTEUあたりの平均運賃は3,848ドルで、前年同期比100%増

★純利益の増加は去年(一昨年)からの運賃上昇の恩恵です。ZIMは去年1月末にIPO上場したものの去年できたばっかりの会社ではもちろんなく、業界では老舗です。そんな企業がいきなり急激に利益を上げているというのがやはり昨今の海運コンテナオペレーター事業の強さを物語っています。
私が個人的に一番注目しているのはキャリーボリューム5%増ですかね。地味ですが💦

Eli Glickman, ZIM President & CEO, stated, "Building on an extraordinary 2021 for ZIM, we maintained our strong trajectory in the first quarter of 2022, delivering on our commitment to outstanding execution and profitable growth. Driven by the proactive strategies we have implemented to capitalize on both the highly attractive market and ZIM's differentiated strategy, we once again generated our highest-ever quarterly revenues, net income and adjusted EBITDA, while achieving industry-leading margins. Consistent with our focus on identifying new profitable market opportunities, we have launched 10 new lines since the beginning of 2022, and we increased our carried volume quarter-over-quarter during a time when overall industry volume decreased. Our balance sheet remains very strong, with a positive net cash position combined with shareholder equity of approximately $4.3 billion at the end of the quarter."
☆ZIMの社長兼CEOであるEli Glickmanは、「ZIMにとって並外れた2021年を土台に、2022年第1四半期も力強い軌道を維持し、卓越した実行と収益性の高い成長へのコミットメントを実現しました。非常に魅力的な市場とZIMの差別化された戦略の両方を活用するために実施した積極的な戦略に牽引され、業界をリードするマージンを達成しながら、過去最高の四半期収益、純利益、調整後EBITDAを再び生み出しました。新たな収益性の高い市場機会の特定に重点を置き、2022年初頭から10の新ラインを立ち上げ、業界全体の取引量が減少した時期に、前四半期比でキャリーボリュームを増やしました。当社のバランスシートは依然として非常に堅調で、当四半期末の株主資本と合わせてプラスの純キャッシュポジションを維持しています。
★CEOも言っていますが、「業界全体の取引量が減少した時期に、前四半期比でキャリーボリュームを増やしました。」これかなり重要です。

Mr. Glickman concluded, "Our strong results to date, combined with the 2022 long-term contracts secured at rates significantly higher than those in 2021, have boosted our confidence in our 2022 results and our ability to achieve superior profitability. Based on these, we are increasing our full year 2022 guidance, and now expect to generate Adjusted EBITDA between $7.8 billion and $8.2 billion and Adjusted EBIT between $6.3 billion and $6.7 billion. Our exceptional performance has also enabled us to continue returning substantial capital to shareholders, including a Q1 2022 dividend of $2.85 per share. We are excited to carry our exceptional momentum forward, continue executing our global-niche strategy and advancing ZIM's position as an innovative digital leader of seaborne transportation to maximize long-term shareholder value."
☆グリックマン氏は、「これまでの好調な業績と、2021年を大幅に上回る金利で確保された2022年の長期契約と相まって、2022年の業績に対する当社の自信と優れた収益性を達成する能力を高めました。これらに基づき、当社は2022年通年のガイダンスを引き上げており、調整後EBITDAは78億ドルから82億ドル、調整後EBITは63億ドルから67億ドルになると予想しています。また、当社の並外れた業績により、2022年第1四半期の配当金1株当たり2.85ドルを含む、多額の資本を株主に還元し続けることができました。私たちは、並外れた勢いを前進させ、グローバルニッチ戦略を実行し続け、長期的な株主価値を最大化するために海上輸送の革新的なデジタルリーダーとしてのZIMの地位を前進させることに興奮しています。
★どこかの国の船社のような弱気ガイダンスから徐々にアップする方式とは違い、強気ガイダンスからさらに上方修正をしています。

ZIM carried 859 thousand TEUs in the first quarter of 2022, compared to 818 thousand TEUs in the first quarter of 2021. The average freight rate per TEU was $3,848 for the first quarter of 2022, compared to $1,925 for the first quarter of 2021.
☆ZIMは、2021年第1四半期の818,000TEUに対し、2022年第1四半期には859,000TEUを輸送しました。TEU1人当たりの平均運賃は、2021年第1四半期の1,925ドルに対し、2022年第1四半期は3,848ドルでした。
★貨物量×運賃なので昨今の運賃上昇局面でオペレーター全てが恩恵を受けていますが、ZIMは貨物量も上がっているのがさっきから書いてますが最重要項目です!1×1が1×3になるより1.5×3になる方がもちろん良いでしょ?
そういう話をしています。

Q1-2022 Dividend
In accordance with the Company's dividend policy, ZIM's Board of Directors declared a cash dividend of approximately $342 million, or $2.85 per ordinary share, reflecting approximately 20% of first quarter 2022 net income. The dividend will be paid on June 8, 2022 to holders of ZIM ordinary shares as of May 31, 2022.
Dividend policy: the Company intends to distribute a dividend to shareholders on a quarterly basis at a rate of approximately 20% of the net income derived during such fiscal quarter with respect to the first three fiscal quarters of the year, while it expects that the cumulative annual dividend amount to be distributed by the Company (including the interim dividends paid during the first three fiscal quarters of the year) will total 30-50% of its annual net income. All future dividends are subject to the Company's Board discretion and to the restrictions provided by Israeli law.
2022年第1四半期の配当
当社の配当方針に従い、ZIMの取締役会は、2022年第1四半期の純利益の約20%を反映して、約3億4,200万ドル(普通株1株当たり2.85ドル)の現金配当を宣言しました。この配当金は、2022年5月31日現在のZIM普通株式の保有者に2022年6月8日に支払われます。
配当方針:当社は、当該会計年度第1四半期第3四半期に生じた純利益の約20%の割合で四半期ごとに株主に配当を分配する予定であり、当社が分配する累積年間配当額(本年の最初の3四半期に支払われた中間配当金を含む)は、その合計30〜50%を見込んでいます。年間純利益。将来のすべての配当は、当社の取締役会の裁量およびイスラエルの法律で規定されている制限の対象となります。
★5月31日ですね。配当権利落ちあると思いますが、今回はマイルドになりそうです。次回四半期配当30~50%の時はさすがに逃げましょうか・・・

Chartering Agreements
During the first quarter, ZIM entered into multiple charter agreements for a total of 17 newbuilds, as follows:
3 x 7,000 TEU LNG dual-fuel newbuild container vessels chartered from an affiliate of Kenon Holdings
8 x 5,300 TEU wide beam newbuild vessels chartered from Navios Maritime Partners
6 x 5,500 TEU wide beam newbuild vessels chartered from MPC Container Ships
These versatile vessels can be deployed across ZIM's various global trades, including the Company's expanded network of expedited services. The vessels are expected to be delivered to ZIM throughout 2023 and 2024.
チャーター契約
第1四半期に、ZIMは合計17の新築について、以下のように複数のチャーター契約を締結しました。
3 x 7,000 TEU LNGデュアルフューエル新造コンテナ船がケノンホールディングスの関連会社からチャーター
8 x 5,300 TEU幅ビーム新造船がナビオス・マリタイム・パートナーズからチャーター
MPCコンテナ船からチャーターされた6 x 5,500 TEUワイドビーム新造船
これらの汎用性の高い船舶は、当社の迅速なサービスの拡大ネットワークを含む、ZIMのさまざまな世界貿易に展開することができます。これらの船舶は、2023年と2024年を通してZIMに引き渡される予定です。
★さらっと書かれていますが $KEN (KENON Holdings)がオーナー業務をしている関連会社を持っています。1Q中にニュースでちらっと見ましたがはっきり書いてます。事業拡大まだまだするのか・・・$NM(ナビオス)はオーナー業界の大手です。

★KIRI所感
どこを取っても良い決算でした。業界大手と比べても収益構造の仕組みで一歩リードしているのは間違いありませんでした。貿易量が落ち込んだと思える1Qでしたがしっかり取れたのは大きいと思っています。発表内ではZEXについての話がありませんでしたのでこのあたりはカンファレンスコールでお話があるかもしれません。SPOT運賃用の爆速便ですが需要がないこのタイミングでひょっとしたら不定期船のように別ルートで運用しているのかもしれませんね。原文と英訳をコピーしてきたのでここまで8000字近くの文字数になってしまいました。市場の地合い、ロックダウンの影響等企業の中身以外でつられる部分も多々ありますが、良い企業なので皆さんこれからも応援よろしくお願いいたします。


追記:後書き漏れていましたが、今回の決算で一番異常な点があります。大手も見てもなのですが、通常4Qの9-12月というのは毎年クリスマス商戦等もあり貿易量は年間でもかなり増える時期です。そして1Qの1-3月は中国の春節の影響等もあり例年は4Qよりも貿易量、売り上げを落とす事が多いのが現状です。大手を見て4Qと1Qを比較しても伸びは正直少ないのですが、ZIMに関しては4Qと比較してもしっかり伸びています。

つまりそういう話をしています!


カンファレンスコール確認後追記

Our results also stand out operationally as we grew our current volume by 5% in Q1, compared to Q1 last year. This is an impressive achievement, particularly given the global volume decreased by almost 2%.
☆第1四半期の現在の販売量は前年第1四半期比で5%増加し、業績も際立っています。これは、特に世界の販売量が約2%減少したことを考えると、印象的な成果です。

★決算内容でも再三記載しましたが、世界の貿易量が2%減っている中で5%の伸びです。これははっきり言ってすごい事です。大手は去年比100→98になった貨物量がZIMは100→105になっています。運賃が後で記載がありますが、業界的に昨年比で2倍です。つまり

大手 100×100→98×200

ZIM 100×100→105×200っていう単純計算です。

やばくないですか?

The average rate of our long-term contract, which took effect starting about two weeks ago in May 1st, reflect a rate increase in excess of 100%, in other words, more than double as compared to 2021.
☆約2週間前の5月1日から発効した長期契約の平均金利は、100%を超える利上げ、つまり2021年比で2倍以上の増加を反映しています。

★ZIMはどちらかというとSPOT運賃に目がいきがちですが、年間契約の運賃も去年の2倍価格で締結しています。

Turning to market and industry strength and our positive view going forward. The combination of port congestion and strong demand, especially in the United States, are the underlying factors shaping the strong market we are currently experiencing. Port congestion and supply chain disruptions have been a persistent strength on container shipping operations for over a year now. This reality is not expected to be resolved in the near future and even still into 2023.
☆市場と業界の強さと今後の前向きな見方に目を向けます。港湾の渋滞と旺盛な需要の組み合わせは、特に米国で、私たちが現在経験している強力な市場を形作る根本的な要因です。港湾の渋滞とサプライチェーンの混乱は、1年以上にわたりコンテナ輸送業務の永続的な強みとなっています。この現実は、近い将来、さらには2023年になっても解決されるとは予想されていません。

★ZIMの見解では2023年になってもサプライチェーンの混乱は解決しない。


質疑応答内容の回答にて

Up until today, we have -- we managed to compensate the shortfall of export cargo from Shanghai by reallocating some of our volume to South China and also Southeast Asia. But at some point, indeed, if the situation was to remain as is and if the manufacturing sites were not allowed to come back to production, then the situation would deteriorate, but we see -- we don't see that happening. And in terms of booking forecast, looking at our filling factors, the vessels for the weeks to come and for the few months, a couple of months to come, are expected to stay full.
☆今日まで、私たちは上海からの輸出貨物の不足を、当社の量の一部を中国南部と東南アジアに再割り当てすることによって補うことができました。しかし、ある時点で、確かに、状況が現状のままであり、製造現場が生産に戻ることを許されなければ、状況は悪化するでしょうが、私たちはそれが起こるのを見ていません。また、予約予測の面では、当社の充填要因を見ると、今後数週間、そして今後数ヶ月、今後数ヶ月の間、船舶は満杯のままであると予想されます。

★上海ロックダウンの影響で貨物量が減っていると予測されたが、中国南部と東南アジアに割り当てした模様。実際今年の東南アジアからの輸出量は上がっています。そのため船動いていないから利益出ていないと思われていましたが、別ルートで十分補っているようです。

E-コマースの質問

My second question is on the new Baltimore eXpress line, and you can speak generally to -- on the other Express and also the eCommerce lines.How should we think about that in terms of a -- of earning a premium versus kind of the market average rate?

☆2つ目の質問は、ボルチモアの新しいエクスプレス・ラインについてですが、他のエクスプレス・ラインやeコマース・ラインについても一般論としてお話しください。

回答→☆その目的は、輸送時間をできるだけ短くすることと、船がターミナルに到着したら、シャーシを準備して、鉄道で内陸輸送できるようにすることです。その目的は、トランジットタイムをできるだけ短くすることと、船がターミナルに到着したときにシャーシを用意し、鉄道での内陸輸送を迅速に手配できるようにすることです。これが、特定の航路を予約されたお客さまに提供するサービス全体です。そう、プレミアムがつくのです。しかし、平均して、TEUあたりの収入やマージンは、伝統的な航路の場合より優れています。

★コメント内容を見るだけでシステム的に強すぎます。またこの後の質問回答で2Mアライアンスのスペースを使用していたのが今は業務提携という形をとっている。またZEXのこの爆速便システムがあるため、2Mからの渋滞、待ち時間カットのため使用も増加しているというニュアンスのコメントもありました。

2021年の太平洋横断貿易のほぼ25%が電子商取引だった。というコメントもあり。


コール内容を聞いてのKIRI所感

決算内容だけでは明るみにならなかった部分が多々ありました。ある程度同業他社の決算内容等から想像できる部分もありましたがかなり重要な発言が多かったです。まず一番重要なのがZIMのZEXシステムが思ったより機能している事。2Mアライアンスとの業務提携が継続的で有効的な事も好材料ですがZEXのインパクトが強すぎます。これは今後中国のロックダウンが解除され世界の貿易が動く事になった場合に大きな役割を果たすのは間違いありません。特に大手ではできないような動きを取り入れる事により大手からのスペースの依頼は今後も増えていく可能性は高いと思います。また海運投資家(ここでは海運株を売買している投資家というニュアンス)が誤った認識として持っていたのが中国のロックダウンにより貿易の輸出入量の減少によりZIM等のオペレーターは大打撃を受けるという事。実際今回のコールを確認するとZIMは中国南部や今物量の増えている東南アジアのウェイトを増やして対応する事によりほぼダメージがないどころかむしろ好調を維持しているという事です。

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