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なぜアニメを観るようになってしまったのか

 未だにアニメを観続けている。一時期遠ざかったりと波はあったものの現在まで長く継続している趣味の一つがアニメ鑑賞。

 観始めるようになったきっかけは今から遡ること10数年前の高校時代、同じクラスにいたH。そのHは、いわゆる「おたく」と呼ばれるやつだった。特におたく的な言動はしていなかったが、唯一筆箱にアダルトゲーム『D.C. ~ダ・カーポ』のキーホルダーを付けており、滲み出る”おたくバイブス”を隠し切れずにいた、そんな人物である。
 僕が高校時代を過ごした2004~2007年頃は、まだおたくということをオープンにするのが憚られる時代で、それがバレることはイコール社会的(学内的)な死を意味していた。というのは大げさだけど、そういう空気が濃厚にあった時代。僕はというと、小学生の時はコロコロコミック、中学からは週刊少年ジャンプと、ある意味一般的な男子が好む漫画作品が好きだった。なので、もっとディープなアニメや漫画作品を好むおたくと呼ばれる人たちについては下に見下していたまではいかないものの、得体が知れないなと思っていた。
 Hに話を戻すと、なぜ彼と話をするようになったのかはあまり覚えていない。たぶん間に友達が入って間接的に話すようになったような気がする。話すうちに意外と気が合うようになってきて、彼が好む漫画やアニメを教えてもらうようになった。ちなみに彼が好きだったのは『ギャラクシーエンジェル』『フルメタル・パニック!』『ぱにぽに』『新世紀エヴァンゲリオン』など(時代を感じる…)。そして声優の田村ゆかり信者だった。初めはなんとなく抵抗があったけど、勧められたアニメ作品に触れる度にずるずると沼に引きずり込まれた。特にエヴァは今まで自分が観たことのない異質な作品だったこともあり、見事にはまってしまった。
 上記のようなおたくを公言できない空気があったものの、エヴァの新劇場版が始まる前夜でもあったし、『創聖のアクエリオン』や『涼宮ハルヒの憂鬱』といった、アニメおたく文化を一般層にも浸透させるきっかけになったアニメが相次いで放映され始めた時期。時代が後押ししたのもあるかもしれない。それに加えて音楽でもそうだった”ディグる”性癖がアニメ方面でも発揮されてしまい、今に至る。
 大学生になると、高校生の時に比べて時間とお金にも余裕ができたため、合間を縫ってはアニメを観ていた。友達と遊ぶこともそんなに多くなかったので、朝起きてPCを起動してアニメ見て気づいたら外が暗くなっていた、なんてことはざらにあった。今思うと生活が破綻している…。さすがに今こんな生活できないけど、新型コロナで自粛が続くここ数か月、休みの日にこの大学生時代の感覚がフラッシュバックする瞬間が。これはまずい。

 そんなアニメに触れるきっかけをくれたHは高校時代の人間で唯一未だに連絡を取り合う親友だ。まさか初めて会った時にここまで関係が続く中になるとは露ほども思わなかった。
 現在彼はアニメにはほとんど触れていない。しかも結婚し、子供もでき、なんと新築の家も建ててしまうなど、世間で言うところの”真っ当な生活”をしているではないか。ただ、おたくの癖は抜けず(これは生まれつき持った特性なので”おたく卒業”なんてのは幻想だと僕は思っている)、ゲームセンターにはまだ行っているようだが。それにしても学生の時を知っているだけにすごい変化だとつくづく思う。人生どうなるか分からない。そんな僕はこの週末も『ARIA』シリーズを再履修していた。

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