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心地よいファシリテーションって?THEATRE for ALLで学んだこと

  『劇場体験にアクセシビリティを』
  そんなミッションを社会実装している、オンタイン劇場THEATRE for All 。演劇、ダンス、映画、メディア芸術などアート鑑賞を多様な人が楽しめる劇場体験を提供するプラットフォームですが、アクセシビリティを担保したファシリテーションを学ぶスクールを提供していました。

  多文化共生に貢献するアートに関心がある私は、様々な国際交流企画に携わるなかで”ことば”のアクセシビリティの難しさに直面中。言語が壁となり、多くの方が”わからなさ”に恐怖を抱くようになってしまうのです。ワークショップの学びがきちんと活かされない状況にモヤモヤ悩んでいました。学びを発展できる環境づくりをすべく、ことばのアクセシビリティを乗り越えるノウハウを学ぶため、このファシリテーションスクールに参加しました。


  まず対話型THEATER for ALL鑑賞ワークショップの参加を通し、ファシリテーションについて学びました。様々な側面でアクセシビリティが担保されたワークショップでは、ワークショップの基本要素と調整要素を知りました。ワークショップの目標と達成するためのプロセスの検討は基本要素であり、対話のキャッチボールが続く範囲の規模と場作りは必要不可欠であります。

  印象的な学びは、それぞれのファシリテーションスタイルを加味したプロセスを検討してゆくことの大切さです。自分が話して動かしてゆくファシリテーションは苦手だと感じる中で、聞くことで参加者の気づきを促して動かせることを知りました。正解は存在せず、トクイや心地よさを生かしたファシリテーションで良いことに安心。また、目的によってプロセスを変えてゆく柔軟性の大切さも心に残りました。『場を活かす』ことこそファシリテーションと信じていましたが、目的を忘れてはいけないことを再認識しました。

  また対話を心地よく進めるために、改めて『安心して話せるような話の振り方』・『話者の言葉を使いながら、感じたことを言葉のボールで返す』・『話の余白を埋めようとせずに、新たな問いを投げかけて待つ』観点は忘れてはならないと気づかされました。言葉が紡がれる中で生まれる”間”を活用できるようになりたいと改めて認識しました。対話を実践てゆくなかで、言葉をつないでゆく感覚を身体に落とし込めたいものです。

  ワークショップの目標に合わせて調整してゆく要素の一つは、問いとインプット情報を用意するかどうか。ゴールのアウトプットの形がどのぐらい決まっているか、また参加者の主体性にどれほど合わせるかなどの観点で調整してゆきます。学びを深める創造的対話をするために新しい視点に気づくきっかけとして必要な問い。問いをいつ誰が考えるかをワークショップスタイルに合わせて検討してゆきます。


  またアクセシビリティをどのように担保するのかも検討しなければなりません。このアクセシビリティの難しさに直面したのが、スクール後半での実践授業でした。

  アクセシビリティが担保されたワークショップを作ってゆく実践の場では、仲間と問いを立ててプロセス設計から実施まで一連の流れを実施してゆきます。わたしは『わからない怖れから楽しさへ』をテーマに、ワークショップを検討しました。自分自身がわからない渦に巻き込まれ、正解を押し付けないように問いを立てることに非常に苦労の連続でした。

  しかし一番大変だったのは、アクセシビリティを担保することです。経験や情報など理解する上での壁はたくさんある中で、全ての考えうるアクセシビリティを担保することはとても難しい。手話通訳やUDトーク、グラレコ、チャットなど様々なツールがありますが、同時に使うと情報過多に陥り混乱させることもあります。正解がない状況で悩む中で、メンバーから聞いた美術館でのワークショップの話がとても参考になりました。子供向けのワークショップを作る時に、子供の成長の多様さに対応することに難しさを感じるとのこと。小学生対象としても低学年と高学年では考え方や伝え方がかなり違う。そんな時はワークショップの目的に立ち戻り、その目標を達成するために必要な支援や場作りはどうできるかという視点からアクセシビリティを考えると伺いました。

アクセシビリティはユニバーサルな場を作ることではなく、もしかしたらワークショップの目的を体感するためのバリアを取り除くことなのではないか。ワークショップの目標を具体的に言語化した上で、ひっかかりを感じている参加者をオープンに受け入れ、参加者の心地よさや学びに合わせたアクセシビリティを考える。常に参加者の目線に寄り添うことの大切さを改めて感じさせられました。


  一旦スクールは終了したけれど、多様な人が一緒にファシリテーションを楽しく学んでゆく中で、もっともっとワークショップを模索していきたい思いでいっぱい。ワークショップ後にも非同期的に学びが続いてゆく仕組みや型とらわれないシンプルだけど学びがある仕掛け、そして身体感覚を揺り動かすテーマ。まずは自分の言葉の感覚を磨いて解像度をあげつつ、新たなワークショップ作りも挑戦してゆきたいです。秋からもワークショップを学無事が決まっていますが、実践と組み合わせつつワクワクする学びをつくってゆけるよう精進します。

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