「その旅先で聞いた詩」

画像1 バルセロナのサグラダファミリア、窓から差し込む朝の光。人智を尽くした造型、眩いばかりの色使い、死ぬまでに完成することはないと知りながら、その建築に一生を捧げた人々。クリスチャンでなくとも、祈らずにはいられません。
画像2 壮麗なサグラダファミリアの尖塔。その中心にあるのは何とも素朴な白い鳩のレリーフ。エレベーターに乗って、塔の上まで上がれるんですね。地上60メートルからバルセロナの街を一望すると、「ここに来て良かった」と思うこと間違いなし。鳩としてこんなに幸せな棲家って他にないでしょう。
画像3 例えばサグラダファミリアの階段。巻貝のフォルムです。貝殻を見てきれいな形だと思ったり、階段に使ったら面白そうだと考えたりするかもしれない。でも実際にこの精度でやってのける人、果たしてどれくらいいるだろう。これはもう誠意と呼ぶしかないと思います。
画像4 アントニ・ガウディ。天才とか芸術家という言葉から、アインシュタイン風のエキセントリックな人物を予想していたら、見事に裏切られました。優しげな瞳と落ち着いた風貌。アーティスティックセンス、建築技術、プロジェクト管理など、どこから見ても揺るぎない巨人。「生前は不遇」などと評されることも多いガウディですが、薄っぺらい価値観で測ることがナンセンス。今風に言えば「ぶれない」。自らの使命に徹した生き様はあっぱれというほかありません。
画像5 私ごときの小っぽけな人間はいつ死んでもおかしくない。でも今生きていることの意味は何なのだろうと思う。サグラダファミリアに生涯を捧げたアントニ・ガウディ。その崇高な使命感に触れると、生きることへの気負いがなくなる。そして生きることへの情熱が湧いてくる。サグラダファミリアでは自分の中から言葉が溢れ出す。いわゆるインスピレーションのような、誰かの祈りのような、詩(うた)が聞こえる場所でした。

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