It’s the single lifeとは?20
夕暮れ時の住宅街
夕陽がいまかいまかと水平線へと姿を消し去ろうとするなか
名残惜しさからか長い長い黒い影を二つ作る
〇〇:…
これはどういう状況?
端から見れば帰路へつく青年にしか見えないが実情はというと
「あ、もう少ししたらカフェが出てくるから、そこのカウンター席に座って。」
〇〇:…
俺に言ってるよな?
間違いなく俺にだよな?
え、マジでなにこれ。
彼が困惑するのは至って正常な反応
それでも
〇〇:あのぉ…
「喋っていいって言ったっけ?」
〇〇:…
なんなんだよ!!
っていますぐにでも振り向いて抗議したい
が
が
が
〇〇:…
万が一にでもアルノとの今日の出来事がいたずらに出回りでもしたら、いよいよ終わりだぞ…
「そんな警戒しなくても大丈夫だよ。
君が言う事を聞いてくれているうちはね。」
とどの詰まり、変な気を起こしたらすぐにGAME OVERってことじゃねぇかよ。
「ほら。先に入ってよ。」
〇〇:…わかりました。
どこか暖かさをもった声に、彼が否定をする権利はなかった
ー
〇〇:とりあえず言われた通りカウンターに座ったけど…
「いいでしょ。この席。」
隣からした声に緊張が走る
「感染症防止と一人空間を作るために仕切られた席。いつ来ても落ち着く。」
〇〇:僕は全然落ち着かないんですが…
いまだに顔も見れねぇし…
てか、この仕切りなら頑張って覗こうとすれば…
「覗いたりなんてしたら口が滑るからね。」
こわ。え、心読んでんの?
「どうだろうね。」
〇〇:…
「まぁまぁ。そう警戒しないでよ。
私は君に期待してるんだから。」
期待してる…
さっきも仲間みたいなこと言ってたし…
〇〇:あなたは僕の何に期待をして、何を持って仲間と言ってるんですか?
「ストレートな質問だね。
期待してる部分は…
君のマネージャーとしての素質にだよ。」
マネージャー…
たしかに今は乃木坂のマネージャーになって…
まるで疑心暗鬼に陥ったように、自身の考えすら違和感を覚える
〇〇:なんで僕のことを知ってるんですか?
俺がマネージャーになってからそこまで日はたってない。
友人はもちろん、母親にすら現状は伝えていない。
なのに…
「ハハハ。
いいね。ちゃんと疑える人だね。」
〇〇:いや、答えになって…
「君はさ。5期生を見てどう思った?」
この人全然俺の話し聞いてねぇな…
「聞いてるよ。
聞いたうえで無視してるだけ。」
より質悪いじゃねえか…
てか、ナチュラルに会話が出来てんの怖すぎ…
〇〇:どうって…
5期生…
5期生…
5期生…
〇〇:可愛い皮を被った危険人物が数名ほど…
「ハハハ。
仲良くなってるみたいだね。」
めっちゃ面白がってるなこの人。
てか、なんかこの質問って…
「でも…
いい線いってるよ。その答え。」
…はい?
「君はもともと乃木坂が好きなの?」
〇〇:そうですね。
推しは菅原咲月さんです。
「そこまで聞いてないけど。」
〇〇:…
「じゃあ5期生が加入した時のことも知ってる?」
〇〇:…と言いますと?
先程まで笑い声を含みながら会話していた状況とは一転
仕切り越しからも笑みが消えたことを彼は察する
「綺麗じゃない話。」
〇〇:…
「沈黙は肯定ってことで受け取るよ。」
〇〇:あの。
先程から話の意図が…
「おかしいと思わない?」
〇〇:…はい?
「乃木坂は今や日本を代表するアイドル。
その新メンバーを加入させるとなれば、それはもう色々な人が動くわけよ。」
〇〇:まぁ…それはなんとなく…
いや。待て待て。
その言い方ってまるで…
「当然、候補者の過去もちゃんと調べるわけ。
加入した場合の影響も考えて。」
〇〇:…
「にもかかわらず。
現実はどうだった?」
〇〇:それは…
「まぁ過去の出来事を消すなんてことは誰にも出来ないけどさぁ。」
「それにしてもおかしいんだよね。」
〇〇:…先程から言ってるおかしいとは?
「…どっから漏れたんだろうね。」
〇〇:それは過去の当事者が…
いや、待てよ。
たしかに過去の当事者が関わってるのは間違いない。
だけど、それだけであそこまでなるか?
あそこまで話が大きくなるってまるで…
「ね?いい線言ってるでしょ。
可愛い皮を被った危険人物は。」
〇〇:…待ってください。
それじゃあまるでメンバーの中に…
「守ってあげてね。」
〇〇:…え?
守る?
何を?
誰から?
てか、こと人っていったい…
〇〇:あの…
あなたは本当に誰なんですか?
一番に解決したい疑問を素直に言葉にする
が
…
えぇ…ガン無視?
〇〇:あのぉ。
教えてくれませんか?
教えてくれないと話の意図もわかりませんし。
…
〇〇:答えてくれないとそっち見ちゃいますよ〜…
…
…クソ!!俺は今言ったからな!!
〇〇:あの!!あなたは…
…
…
…
は?
〇〇:は!?いねぇ!!
どこ行った!?
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