頭に来てもアホとは戦わない田村耕太郎さん、自らカジノ界隈に突っ込み黒煙を上げる

　田村耕太郎さんはまだ参議院議員時代に二度ほどお目にかかったことがあるのですが、個人的には非常に好印象な人で、魅力的な立ち居振る舞いと豊富な話題、また異常なまでの人脈へのこだわりを発揮しておられたのが印象に残っています。昔もいまも「日本はもう駄目だ」を連呼する姿勢に、伝統を重んじる生粋の出羽守魂を感じております。

　その後、所属されていた自民党と喧嘩して議員ごとお辞めになられ、いまでは海外と日本のかけ橋として精力的に活動をされています。すごいすごい。いろんな意味で、尊敬ができる御仁であることは間違いありません。

　先日来、騒ぎになっていた我が国のカジノ事業認可を巡る滞在型リゾート(IR)推進法にまつわる事案で、自民党衆議院議員・秋元司さんの逮捕にまでいたってしまった事例がありました。これも個人的な意見ですが、秋元さんは良くも悪くも清濁併せ呑む、きちんと話を聞いてちゃんと動いてくれる議員という面もありました。ダンスクラブ規制やナイトエコノミー方面では当初、議員で唯一業界や文化のために汗をかいてくださった議員であったことは（だからといって、罪減一等を願い出るものではないのですが）記憶に強く残るところであります。

秋元司議員逮捕　特捜部の捜査で浮かび上がってきたカジノ利権とパチンコ業界との“蜜月” | 文春オンライン

　その後、秋元司さんの再逮捕で、事実上の捜査終結というマスコミ報道まで出ていたわけですが、その一方で、関係したとされる残る元防衛大臣・岩屋毅さんを含む自民党議員5名については立件見送りという報道も出ました。

　しかしながら、20年1月17日にはマカオ系カジノ大手・メルコリゾーツ＆エンターテインメント社（以下、メルコ社）の日本法人に東京地検特捜部の捜索が入り、契約書などが押収されたと報じられました。

大手事業者「メルコ」日本法人を家宅捜索大手事業者「メルコ」日本法人を家宅捜索 - IAG Japan

　これらは2026年に横浜市で行われる国際園芸博覧会（花博）跡地を念頭に置いて日本支社を使いカジノ進出のための活動を進めていたメルコ社の行動に適切ではない行為が含まれていたのではないかという懸念が広がりました。香港経済界の実力者であり、メルコ社の代表であるローレンス・ホーさんが日本の有力芸能事務所の一角であるケイダッシュ社の川村龍夫さんと面談を進めているなどの情報も乱舞し、一触即発の現状にあります。もちろん、メルコ社が日本のカジノ解禁で進出を目指して有力者と面談を繰り返すこと自体は何一つ違法ではなく、それ単体が問題だという話ではありません。

　しかしながら、メルコ社の活動においては、当局ならずとも「おや？」という動きはかねてよりあり、先般のメルケン会議では田村耕太郎さんがモデレーターとなり、メルコ社のホーさんと「日本経済を語る」というテーマで海外要人を前にパネルディスカッションをしてしまうわけです。単にこれから日本のカジノに進出する程度のかかわりでしかないメルコ社が日本経済を自分目線で語れるほど真ん中にいるはずもなく、つまりはメルコ社はこの田村耕太郎さんを日本進出や影響力確保のための代理人の一人として起用していたということになるのでしょう。

日本のＩＲに期待の声「インパクトはとてつもなく大きい」“アメリカ版ダボス会議”米ミルケン会議　

　その田村耕太郎さんは、これまた官房長官の菅義偉さん（衆議院議員・神奈川2区）と昵懇であり、関係者が言うには田村さんは「菅さんにはいつでもお目にかかれる関係」と親密さをアピールしていたとのことです。実際、相応に親密であったことは間違いないとは思います。

　ただし、メルコ社のホーさんが関係を構築したいと話していた自民党の有力者とは、実際には自民党幹事長・二階俊博さんのほうであった、とされています。一連のメルコ社の日本での活動も、田村耕太郎さんも含めて日本の政界工作を行うことにあり、その過程で、何らか行きすぎた「ご相談」や「御礼」があったのではないか、という話が出てきているというのが実際です。田村耕太郎さんとは別の話として、いずれも中国系の事業者がカジノ参入を狙い日本の政界工作を繰り返してきたのは恐らく事実なのでしょう。大分出身の建設向け軽作業派遣会社の社長が政界引退した古賀誠さん筋のコンサル会社を立ち上げ、それ経由でも二階俊博さん本人や周辺議員の囲い込みを進めてアプローチを繰り返してきた経緯も判明しています。頑張っておカネを使って人を介して大物政治家に食い込もうとした経緯があるようです。

　なにぶん、現段階ではそれらがすべて違法だ、問題あるというわけではなく、あくまで日本のカジノ行政、とりわけ認可に深くかかわる有力政治家に対して、自社の良さをしっかりとアピールしようという大手の海外カジノ・オペレーターなどの活動が活発になっていた、という証左であろうと思います。

　一連の事情を見聞きしたので関心をもって田村耕太郎さんに連絡を取ってみたのですが、お返事をいただけません。お元気だと良いのですが。お話ができないのは非常に残念なことですが、なにか別のリーチでもかかってしまっているのでしょうか。

　興味津々です。