見出し画像

「変化への対応に遅れると滅びる」というメディア産業のあるある話

 先日、私の主宰しておりますサロン『漆黒と灯火』の11月度例会がありました。ご一緒したのは、もう20年の付き合いになる、元週刊アスキー編集長の福岡俊弘さんです。62歳。いつの間にかデジタルハリウッド大学の教授までされていて、一見「あがり」の重鎮ポジションのようでいて、いまなお新しいことを手掛けてはいろんな人のわがままに翻弄されているのを見ると、やはり「人間生まれ持った星というのはあるのだ」という細木数子的世界観を肌で感じることがございます。

 実のところ、私もわずかな期間でしたが月刊『ログイン』編集部でバイト(足軽)としてPCゲームのプレイを手伝ったりしていましたが、私とアスキー、福岡さんとのかかわりで言えば、亡くなられたCSKの大川功さんや西和彦さんのビルゲイツさん話や、元2ちゃんねるの西村博之さんとのオンラインラジオ『ラジ@』の企画あたりがメインになってしまいます。

 振り返れば奇特な経験もしたなあと思いつつも、当時何だか分からないのに分からないなりにもがいていたなあと感じます。

 福岡さんはまさにそういう日本のインターネット業界、パソコン業界のど真ん中に位置したアスキーで長年頑張ってこられた編集者であり、良くも悪くも古狸的な「悪さ」を随所に発揮して、長く業界で生き残ってこられた人物であります。

 福岡さんもニコニコ動画黄金期を経てコンテンツビジネスの真ん中にまで成長した「初音ミク」がらみを触ってこられ、また、昨今では清水亮さんの物件であったプログラミング教育のメソッド開発に心血を注いでいました。ただなんつーか、同じ船を出すにも何もわざわざ嵐でシケることが確定したような時期に漁に出なくていいだろうという事案ばかり掴むので、案の定、沖合で嵐に遭って滅茶苦茶にされてボロボロになって帰港する福岡さんの有様をみて心配になったりしたものです。

 それでも福岡さんは嬉しそうに生き残っているので、ああこういう人こそ激動の業界でも平然とサバイバルしていけるのだなあと尊敬の念に堪えず、また、あれだけ滅茶苦茶な大御所やどうしようもない企業組織にあってもうまくストレスを捌いていまなお友好関係を維持して仕事を続けているあたりに、曲芸的な船乗りの真骨頂を見るのであります。福岡さんが何か新しいことを始めるたびに「何それヤバイ」と思って見ているのですが、実際、案の定ヤバイことになったのに、本人は平然としてどうにかしたうえで、いつの間にか離脱していて、しかも当事者から特に嫌われていないというのが本当に凄い。

 業界における「サバイバルとは何か」と言えば、もちろん仕事が続けられているだけでなく、スキルや実績、人柄をリスペクトされ、履歴書を書く必要がないぐらいにいろんなところから相談が持ち掛けられ、経済的にも一定の期待以上の実入りがあり、求められる業績を挙げることだと思います。

 とかく変化が激しいので、対応しないと必然的に「消えていく」んですよね。業界人としてのポジションが維持できない。言われてみれば、かつては「アスキー学園」とまで言われたアスキーOBもいろんな浮き沈みがある中で、生き残っているのは誰だろう、という話は20年福岡さんとご一緒しつつ改めて指折り考えるところでもあります。言われてみれば、かなりみんないなくなってしまったぞ、と。

 単に、業界としての見通しや技術動向を見抜くだけではなくて、信頼され、仕事ができて、60歳を超えて一線級で若い人たちと一緒にドタンバタンやっている「F岡氏的なアレ」というのは、意外に生き抜く人のロールモデルなんだよなあと強く思う次第です。

 福岡さん、お付き合いいただきましてありがとうございました。

 また、皆様も引き続きよろしくお願い申し上げます。

画像1


神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント