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きりえやいろはがるた【きりえと文】

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どこかがちがう、おかしなかるた。 パロディ系作品の原点です。 もじりすぎてる札もあるので、元ネタの説明を最後に加え(※引用元:集英社『会話で使えることわざ辞典』ほか)、うっかり… もっと読む
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記事一覧

きりえやいろはがるた⑨「りちぎもののにだくさん」

「きりえやいろはがるた」(2007)より り「律義者の荷沢山」
(りちぎものの にだくさん) 〈解説〉 
「仕事の途中で熟睡しやがって。あと何件残ってると思ってんだ」
 ネタ/ちーちー(きりえや) 
画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 「俺の名はビリー。世界で一番忙しいトナカイだ。年に一度の大仕事を始めるにあたり俺は言ったはずだ『家に帰るまでが仕事だ』と。なのにこいつは何にも聞いちゃいなかった上に……毛皮によだれを垂らすなぁ!」 ※世話焼きトナカイ・ビリ

きりえやいろはがるた⑧「ちわわあらそえず」

「きりえやいろはがるた」(2007)より ち「チワワ争えず」
(ちわわあらそえず) 〈解説〉
 これを人間に直して考えれば、巨大ロボット大の同類と対峙していることになる。 
よほどの蛮勇でもないかぎり、争えずとも無理はない。
 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 ちなみに始終ふるふるしているのは彼がチワワだからで、ビビっているわけではない。 ちっちゃい犬種のほうが武闘派の子が多い気がします。気の長さと体長の長さとの相関関係を、イギリスの研究機関あたりが調べ

きりえやいろはがるた⑦「とんできにいるなつのむし」

「きりえやいろはがるた」(2007)より と「飛んで気に入る夏の虫」
(とんで きにいる なつのむし) 〈解説〉 
しだいに消えゆく朝靄の中、初めての地上を飛びながら羽化したての夏虫は思う。
 「いいぞ。今度のこのからだ。さなぎの前とは全然ちがう」 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 この絵では颯爽と飛翔してるかのごとく描いたけど、実際はこの手の甲虫は飛ぶのが下手です。 お尻が重そうにひょろひょろ飛んで、そのまま壁にぶつかりそうだったので思わず手を貸そうとし

きりえやいろはがるた⑥「へびににらまれたらかえる」

「きりえやいろはがるた」(2007)より へ「へびに にらまれたら かえる」
(蛇に睨まれたら帰る) 〈解説〉 
先人はいった。
男には負けると分かっていても、戦わねばならないときがあると。
そのときを迎えるまでは意地を張らず退却を決めるのもまた一つの勇気である。 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 「だがそれは今日じゃない」構文。アメリカ映画でたまにありますよね。 使われるシチュエーションは、たいてい決戦前の演説とかで、これとは反対なんだけど。 ちなみに

きりえやいろはがるた⑤「ほほをほめる」

「きりえやいろはがるた」(2007)より ほ「ほほをほめる」
(頰を褒める) 〈解説〉
  異形の集まり鬼の社会は、皆違うのが
あたりまえ。 人と違えば違うほど、尊敬
の念を集めます。
 そんな社会ですから、
「自分らしく生きたい」
などと口に出していう人は鬼のなかには
まずいません。
 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 「今までじゃまだとばかり思ってたこぶだけど、あんなにうらやましがられるなんて。ひょっとして、ちょっと惜しいことしちゃったのかな」 山

きりえやいろはがるた④「にとうをおうものは いっとうをえる」

「きりえやいろはがるた」(2007)より に「二等を追うものは一等を得る」 (にとうを おうものはいっとうを える) 〈解説〉  バナナがほしくて  つりたいかい  はりきりすぎて  くさやのひもの  おとなばかりが  おおはしゃぎ ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 途中まで実話です。 順位はちょっと違うのですが、むかし妻は子供釣り大会で見事「くさや」をゲットしたそうです。。 二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず) 二羽の兎(うさ

きりえやいろはがるた③「はだいろがわるい」

「きりえやいろはがるた」(2007)より 〈解説〉 
「診断書」
 昼夜逆転の生活に加え、極度の偏食が原因と思われます。
 普段より規則正しい生活を心がけ、良く日光を浴び、精のつくもの、たとえばニンニクなどを食すればよろしい。
 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 深夜営業の薬局をご紹介しますので、どうぞお大事に。 旗色が悪い(はたいろがわるい) 戦争・試合などの形勢や、物事の成り行きが悪い。 「今日はどうもサーブが決まらず、日本チームの旗色が悪い」 〔

きりえやいろはがるた②「ロンよ」

「きりえやいろはがるた」(2007)より ロンよ(ろんよ) 〈解説〉
 部類の雀好きである鴨田ポン吉氏は、初めて入った雀荘でいきなり手痛い歓迎をうける。 
彼の人生最長の夜はまだ始まったばかりである。
 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 「犬も歩け」同様、既存のことわざを途中でぶった切ることで、全く異なる内容にしてしまうシリーズの一つ。 これが成立してしまうのは、ことわざというネタの持つ幹の太さがあればこそ。偽本シリーズだとなかなかそうはいきません。やりたい

きりえやいろはがるた①「いぬもあるけ」

「きりえやいろはがるた」(2007)より いぬもあるけ(犬も、歩け) 〈解説〉
  かわいいのは分かる。
  重荷があるほうが運動になることも、
冬には暖が取れるのも分かる。
  だから抱えるあなたには何も言うまい。
  しかし、抱かれるままにけだものの本分
を忘れた君たちにはあえていおう。
「犬も、歩け」
 (ネタ・画・解説/高木亮) 〈追記〉 「きりえやかるた」1枚目(制作順でも)。 井の頭公園で出店中よく目にした光景から生まれた札。
  立って売ってるはずなのに