おジャ魔○カーニバル!!

出稼ぎかいだんでパラレルワールド（平行世界）の話を聞いて思い出した話。

専門学校時代、よく遊んでいた友人の一人にIがいる。

Iとは不思議と馬があった。

心優しきお喋りでドMのIは、俺がツッコミ（物理）を入れるたび「ありがとうございます！」と感謝してくる男だ。今は結婚して子沢山の良きパパをしている。元気にやってるだろうか。

話が逸れた。

そんなIとカラオケに行った際、必ずと言っていいほどIが最初に歌うのが「おジャ魔○カーニバル!!」だった。

そう、某動画サイトで人気だったアノ曲だ。

初めて聞いた時は「と、とんでもねぇ曲や…」
と戦々恐々していた俺だが、いつしか曲の虜になっており、Iとカラオケに行くと俺が曲を入力しIが歌うのが定番になっていた。

ある日、その日もカラオケに行った俺達は、何時ものように俺が曲を入力しIにマイクを渡した。

しかしIはマイクを受け取らず、困惑した表情を浮かべて俺を見ている。

I「僕、この曲知らんで…？」

俺「えっ…？何時も歌っとるやん」

I「いやいや歌ったことないで。そもそもこの曲自体聞いたことないし…」

俺「えぇ…そんなアホな…」

Iが歌えないと言うので、代わりに俺がおジャ魔○カーニバル!!を熱唱した。

I「面白い曲やん！好きやわこの曲！」

歌い終わった俺にIが言う。
違う…俺はお前から教わったんだ。
大きな声でピリカピリララ、はしゃいで騒いで歌っていたお前は何処に行ったんだ。

Iはこの日から変わ………らなかった。
変わらず心優しきドMのままだった。
しかし、おジャ魔○カーニバル!!を歌い狂っていた記憶だけが彼の記憶から消えていた。

今なら分かる。
Iはおそらくどこかのタイミングで平行世界のIと入れ替わってしまったんだと。
そう、おジャ魔○ど○みが存在しない世界の自分と―――。

貴方の回りにもいませんか？

急におジャ魔○カーニバル!!が歌えなくなった友人が。

もしかすると、その友人は平行世界の友人と入れ替わってしまったのかもしれません。

そんなお話。