維月 楓|反射しあうビリティスの娘たちへ
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霧とリボンと私を結びつけたのは「ビリティスの娘」だった。フェミニズムの過剰の美学と透き通ったエレガンスの部屋を携えて、『若草物語』のジョーとベスを行ったり来たりしながら、新幹線で首都へ向かい虚空の街を歩きながら見つけた。人生の新たな扉が開く瞬間は不意に現れる。約束が果たされるまで鈍い幕をいくつも開ける。最初はそれとは分からない横雲に触れるとだんだんと目が眩んでくる。サッフォーの手招き。霧の中にたなびくリボン。灰色なのは曇天だったか、それとも指に結ばれたリボンだったか。