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どんなものにも終わりは来る。 世界で最も美しい何かを見つけると、いつか訪れる最後の瞬間を考えてしまう。 少年は、撮影の時間に遅れてきた。 次のアポイントメントがあるから時間がないというと、「遅れていけばいい。謝る必要もない」と笑ってのける。 時が経ち、イートン校を再び訪れると、クロイスターの大理石の凹凸に、あの日の少年の気配と若い自分の想いが張りついているのに気づいて、我は足早に立ち去った。 開きかけた玉手箱から幸せが気化してしまわないうちに、力づくで蓋を閉め