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角田光代『八日目の蝉』レジュメ

2023.2.12 田中霧

角田光代(かくた・みつよ)

 1967年3月8日生まれ。神奈川県横浜市出身。小説家、児童文学作家、翻訳家。捜真小・中・高を経て早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。大学在学中にコバルト・ノベル大賞。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞、角田光代としてデビュー。2005年『対岸の彼女』で直木賞。『キッドナップ・ツアー』など児童文学も手がける。
 私生活では2006年に芥川賞作家の伊藤たかみと結婚(後に離婚)。2009年ロックバンドGoingUnderGroundのドラマーの河野丈洋と再婚。学生時代からボクシングを始め輪島功一のボクシングジムに通っている(2013年)。
 海燕新人文学賞を受賞した際、同時に受賞した松村栄子が注目され、作品(『至高聖所(アバトーン)』)が芥川賞候補になったのを見て強い羨望を抱いた。海燕の当時の編集長からは「作品が厭世的すぎる。もっと希望のある内容を書け」と指摘されていた。角田はそれを理解していたが認めたくなかったという。
 角田は幼年時、他の子どもよりも体格が小さくよく喋れず失禁などの行動があり、そのコンプレックスが自身を本好きにさせたという。サザンオールスターズのファンでありRCサクセション以来の忌野清志郎のファンである。

受賞歴

 1988年「お子様ランチ・ロックソース」でコバルト・ノベル大賞(彩河杏名義)、1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、1998年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、1999年『キッドナップ・ツアー』で産経児童出版文化賞、路傍の石文学賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で直木三十五賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞。2012年『紙の月』で柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞、2021年『源氏物語』訳で読売文学賞。

八日目の蝉

 読売新聞夕刊に2005年11月21日から2006年7月24日まで連載。中央公論新社初版2007年3月25日。中公文庫初版2011年1月22日。

登場人物

母子
 野々宮希和子/宮田京子/ルツ
 秋山恵理菜/宮田薫/リベカ
秋山家
 秋山丈博:恵理菜の実父
 秋山恵津子:恵理菜の実母
逃亡先
 康枝:仁川康枝、希和子の学生時代の同級生
 中村とみ子:立退きを迫られている家の住人
エンジェルホーム
 エンゼル/長谷川ナオミ
 田辺エレミア
 諸橋サライ
 久美:沢田久美/エステル
 千草:安藤千草/マロン
小豆島
 昌江:沢田久美の母
2章
 岸田:恵理奈の不倫相手

経過

1985年
2/3 希和子が杉並区の秋山宅に侵入し恵理菜を誘拐
2/4 仁川康枝の家に逃亡。エンジェルホームのチラシを見つける
2/9 名古屋へ逃亡。中村とみ子の家で過ごす
2/11 警察が捜査を始める
2/13 公園でエンジェルホームの移動販売から水を買う
2/17 中村宅を出て大阪のエンジェルホームに入る。指名手配される
3/20 エンジェルホームの正式なメンバーになる
1987年
8/6 行政機関の立入りを知りエンジェルホームから逃走する
8/7 岡山の小豆島で久美の母に会う。ラブホテルで働き始める
8/30 小豆島八十八箇所巡りを始める
10/6 昌江が素麵屋で働かないかと誘う。同月素麺屋で働き始める
1988年
9/12 7月の祭りで撮られた写真が全国紙に掲載される
9/19 小豆島草壁港にて逮捕される。恵理菜は家族の元へ帰される
11月 第一回公判
1990年
12月 裁判で懲役8年の判決が下る
2005年
夏 恵理菜、バイトの帰りに千草の訪問を受ける
2006年
1月 恵理菜、千草と共にエンジェルホームと小豆島を訪ねる

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