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雪下ろし

1mほど積もった屋根の雪掘り(雪下ろし)をする。今年2年目で少し余裕があり(作業の見通しが立つ)、スマホを持って上がった。

雪下ろしには命綱を着けることが勧められている。雪は柔らかそうに見えるが、1m以深は固く締まり氷になっていて、3m、4mの屋根の上から落ちると、コンクリートというほどではないが固い氷に当たって骨折するくらいの怪我になる。また雪に埋もれて身動きが取れなくなり、誰か2人以上で作業をするか携帯電話でも持っていないと埋もれた時に這い上がれず、凍死してしまうような事故も起こる。

でも古い家なので昔ながらの雪下ろしをしている。命綱はない。私は車庫の上の平らな屋根の雪下ろしを任されているから滑り落ちる危険は少ないが(屋根は波状鋼板)、とは言えやはり落ちる危険がない訳ではない。義父(つれあいの父)は友人に来てもらって複数名で、15度ほどの斜度のある屋根の雪下ろしをする。慣れているとは言え年も重ねるので、加齢に技術が追いつくかと言えば疑わざるを得ない。

まずスノーダンプを肩に担いで屋根に上がる。実はこの初めの工程が一番危険で、屋根に上がってしまえばあとはバランスと体力の問題なのだが、屋根に上がるには梯子をかけて、雪庇(せっぴ)と呼ばれる雪の重みで屋根から張り出した雪を下ろし、残った雪の中に自分が登る足場を作らなければならない。梯子を上って雪庇を落とし、スノーダンプを雪に挿して不安定な一歩を確保する。そこでまた雪を掘り二歩めを確保する。両足で立てるようになれば周りの雪を少しずつ落として体を動かすスペースを作る。梯子をかけて登るところからここまで20分。冬山の岩場を上っていく登山家の心境とでも言うべきか。

次いで雪を落とす先まで両脇に雪を除けて掘り進める。登ってきたところに落とせれば良いが、梯子を倒す訳にも埋める訳にもいかないし、私の場合は車庫なので車の進む先でないところに雪を落としたい(そうしなければまた車の前の雪を掘ることになる)。足場は確保されているので、雪が落ちる先の見えるところまで掘っていけば良い。

落とす先が見つかれば、あとはひたすら雪を下ろす。スノーダンプに乗せて雪を落とすのに長方形の動きをする人が多いようだが、私は円弧の動きをする方が安全で良いと思っている。歩く距離が少なくて安全な分、上半身の動きが多くなる。腕の伸びる範囲に左から右、右から左に雪を掘って動かし落とす。屋根の上は40平米ほどあるだろうか、上から見たら少しずつ扇形が重なり、雪を侵食していく蜂の巣のような模様が見えるだろう。

屋根の上から眺める風景が格別かというとそれほどでもない。でもまあ、ここからでなければ見えない風景なのだとは思う。1千ストロークは雪を掘っただろうか。3時間ほどかけて今年1回目の雪下ろしを終えた(道路に落とした雪は除雪機で畑に飛ばし積み上げる)。手袋をしていた指のマメが潰れて痛い。

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