野沢温泉外湯その三「大湯」
長野へ遊びに行った帰り、小学高学年になった娘が一人で女湯に入って良いというので、野沢温泉に寄る。今回は地元のコミュニティセンターでもらった温泉マップがある。少し歩いて行けるところを探して「大湯」を見つけた。
外湯十二湯のうち、一番目立つ外観かもしれない。外国人が喜びそうなお寺のような城門のような佇まい。ドアを開けて入ると衣類棚の向こうがすぐに浴槽になっている。若い人が出ていくところで、無口な爺さんが二人入っていた。
車に手ぬぐいと石鹸を常備してある。壁から出る蛇口だけの洗い場で頭と体を洗い、あつ湯に足を入れてみると火傷をしそうなくらいに熱い。早々に諦めてぬる湯に体を沈める。じわっと疲れが湯に溶け出していく。二槽あるのが有難い。五十近くの老体には40度ほどのぬる湯がちょうど良かった。
女湯の方からおばさんとそれに答える娘の声が聞こえる。ゆっくり入るんだよ、そこで髪を洗えばいいからね、と教えてくれているらしい。はい、はい、と娘も一言ずつ答えている。
男湯に誰もいなくなったところで写真を撮らせてもらった。温泉国・日本の宝だなと思う。土曜の夜、21時を過ぎた帰り道は宿の明かりが灯り、飲み屋にお客が入っていてまだ賑やかだ。寂れることのない温泉街。移住してくる人も少なくないのだろうと思う。
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