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"O'DEM (オデム)" -Interior- 自由の風を感じるジャケット


O'DEM

O'DEMからシーズンアイテムとしては最後の入荷。
まぁ、シーズンアイテムなんて言っても、シーズン関係なくアイテムをリリースし続け、ファッション業界の慣例の理から意図したりしなかったりしながら逸れていくこのブランドには関係ないのだけれど。


"Interior"は無双仕立てのテーラードジャケット。
デザイナーが今季最も気に入っていると宣う1着でもある。
先日リリースした"Triangle"とついになるジャケット。
ウールジェントリーポプリンのカシミヤタッチの生地が、素肌で着られる、
通年付き合えるほど気持ちいい。



フランスのサックコートやラウンジコートから着想し、テーラードの技法を用いてそこに落とし込んだ1着。
極端に可動域を拡げるために蹴回し(裾)を外側に逃し、袖もかなり前に振ることで肩周りのシェイプはシャープながら、身頃から裾周りまでは贅沢なまでにたっぷりとして独特のシルエット。

裏地を用いず、表地を裏側全体にまで引いた贅沢な無双仕立ては、より生地
を優雅にドレープさせる。

裏返してしまってもジャケットとして成立してしまいそうな贅の限りを尽くした仕上げ。

裏地の技術や概念が乏しかった時代に、粗野に作られたものを現代的なテーラリングで進化させているかのような。
そもそも生地を省くためのものが「裏地」ならば省かなければいいのでは?
なんて狂った発想で作られているとしたら、それは恐ろしいこと。



襟裏には30年代のフレンチビスポークウェアをイメージした縫い込みやあえて入れられた剥ぎ。

トルコ製のヴィンテージガラスボタン。
とにかくこだわりを存分に作り込んでいる。

それでいて、着用時のシルエットは作家性に溢れている。
低いゴージライン、ボタン位置、外に逃げる蹴回しに沿って湾曲する大きなポケット。

肩周り、脇下はシャープに、身頃は少しゆとりを持って、
裾まで明確にフレアするジャケット。
ここまでこだわっておいて、袖周りは簡素だし、余計なデザインがない潔さもないのがテーラードのそれらしい。

80年代にミラノで巨匠が完成させたかに思われた"ソフトスーツ"のその先にあるのがこのジャケットなのではないかとすら思わされる。


ゆとりのあるジャケットに、フレアするバギーパンツ
"サンジェルマンスタイル"って感じなんだよね。
と語るデザイナー。

パリはセーヌの左岸、文化的な空気。
古き良き建築物が残って、文化人がサロンで足を組み、煙草を燻らせ、コーヒーを飲みながら語らうようなエレガンスが見えてくるような…

本来形崩れした様子を見せないために、何も入れてはいけないとされるジャケットのポケット。

"手を入れて広がってる感じが格好良いでしょう"

確かに、手を突っ込むという行為を以って着崩すくらいがエレガントな気がしてきた。

それはシルエットだけではなくて、
空気感というか、禁忌とされるそれを平然とやって
「こっちの方が格好いいじゃん」
と言う、アティチュードの格好よさ。
自由さのために生まれる美徳。

軽く羽織れる自由なジャケット。
込められた思いをどれだけ感じ取れるかで、きっとこの1着が魅せる景色は変わってくる。

O'DEM


菊池健斗



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