見出し画像

病名(当時を振り返って)

入院以来いくつかの検査を経て、
6日目頃に「重症筋無力症」の診断がつきました。

初めて聞く病名の方も多いと思いますので、
どんな病気なのか説明させていただきます。

重症筋無力症というのは、
自己免疫疾患の一つで、神経と筋肉の接合部分の働きが上手くいかなくなる病気です。

神経は、筋肉との接合部分にいくつかの体内物質を放出します。
現在判明している体内物質の一つにアセチルコリンと呼ばれるものがあります。
アセチルコリンの役目は筋肉を収縮させることです。
そして、アセチルコリンが分解されることで筋肉が弛緩されます。
そういった収縮と弛緩を繰り返すことによって、
私達の体は、筋肉を動かしています。

体内物質は、それぞれに専用の受容体と呼ばれる受け皿があります。
受容体で物質を受け取って初めてその機能が発揮されます。

重症筋無力症の原因として一番多いのが、
免疫システムがアセチルコリンの受容体を抗原と勘違いして攻撃してしまうことです。
受容体が攻撃されるとアセチルコリンが働けないので、
筋肉の収縮が難しくなります。

私は、アセチルコリン受容体抗体を調べる血液検査、筋肉の疲労度を測る筋電図、一時的にアセチルコリンを増やすテンシロン検査を経て、晴れて「重症筋無力症」患者と診断されました。
病名がついて、やっと戦う相手が視覚化されたようでほっとしたのを覚えています。

以下は、診断がついた時点での私の症状です。
・構音障害(「かきくけこ」と「はひふへほ」の発音がほぼ同じ)
・嚥下障害(ゼリー食であっても噎せながら毎食2時間かかっていた)
・手足の脱力(足が上がらない、握力もなくものがまともに掴めない)
・眼瞼下垂(眠くもないのに瞼が閉じてきてしまう)

ちなみに、重症筋無力症に侵されるのは、骨格筋、つまり随意筋と言って
意識して動かす筋肉だけです。
心筋や脳には影響はありません。

加えて、ごく一部のケースを除き進行性ではありません。

それから、「完治するための明確な治療法がない」ことと「患者が少ない*」ことで、国で難病の指定を受けておりますが、
症状が軽快しない訳ではありません。

*患者数:29,210人、人口10万人あたりの 有病率:23.1人
(2018年の全国疫学調査)
難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/120





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?