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「心のサイン」

嘘つかれても平気!
それはきっと優しい嘘!
私は知らない方がマシ!

そう思い続けていた。


彼の前ではいい子でいるの。
それが彼の1番の望み。
いい子で居ないと彼が居なくなっちゃう。

いつからかそう思うようになっていた。


彼の1番の理解者は私!

そう考えるようになっていた。

彼への想いが先走るばかりで、
彼の本当の気持ちなんて考える余裕は無かった。
自分の心が疲れて砕けるサインすら見失っていた。

私はある日からOD(※1 オーバードース)をするようになっていた。

記憶がふわふわ。

何していたか分からない事なんてしょっちゅうだった。

そんな事でしか気持ちを紛らわす事が出来ない自分に嫌気がさす様になってきていた。


しかし、

彼の前ではいい子で居なきゃ。
私は彼が大好きなんだもん!
きっと彼も私のこと大好きだから大丈夫!
沢山時間も使ってくれるし!

不安に思う度自分に言い聞かせていた。

不安になる事を考えては薬に手を出し、
記憶を飛ばし全部忘れる日々。
やけ酒に明け暮れる日々。

そんな私を彼はどう思っていたのだろう。

私はそんな事考える余裕すらも無くなっていた。

気づいたら入院施設のある少し大きな病院に通う事になっていた。
私は1日1日が過ぎる度に、周りから置いて行かれている気がして仕方が無かった。

もちろん、彼からも日に日に遠ざかっているような気分だった。

なんで私を置いていくの?
私の何がイケないの?
そんな気持ちでいっぱいだった。

何もかもが無くなった気がしていた。
私はきっと自分の心のサインを見逃しすぎてしまったのかもしれない。


もう、ゆっくり休んでいいよ。


そんな風に彼から言われたかったな。
私は涙を流しながらまた錠剤を口に入れて目を閉じた。


(※1 オーバードースとは市販薬や処方薬を1回に一定数以上飲む事です。)

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