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【馬券データ分析】斤量体重比

こんにちは。キラリです。

今回は「斤量体重比」について、性別や芝/ダート、距離別など、いろいろな切り口から回収率を集計した結果をご紹介します。

紹介したいデータがいろいろありますので、説明パートは短めでいきたいと思います。


結論

・牝馬は斤量体重比が12.5%を超えると極端に回収率が下がる。

・芝/ダート別に見ると、ダートのほうが「斤量体重比が下がると回収率が上がる」という傾向が明確に表れる。

・距離別に見ると、芝では距離が長くなるにつれて斤量体重比の影響が小さくなっていき、特に2500メートル以上の長距離戦では、斤量体重比が大きい馬の方が回収率が高い。

・ダートでは、距離に関係なく「斤量体重比が下がると回収率が上がる」傾向にあるが、ダートの長距離はデータ数が減るため評価が難しい。

では、本編にいきたいと思います。


前提

斤量体重比の計算方法

斤量体重比というのは「競走馬が背負う斤量が馬体重に対してどの程度なのか」を数値化したもので、以下の計算式で求められます。

(なお、本記事では「斤量体重比」で言葉を統一しておりますが、「斤量比」や「体重比」、「斤体比」と呼ばれることもあります。)

【計算式】
斤量 ÷ 当日馬体重 × 100 (小数点第二位を四捨五入)

単位はパーセント(%)となります。


2023年からの斤量変更について

ここで1点補足があります。

【補足】
2023年から、騎手の健康と福祉および将来にわたる優秀な人材確保のため、多くのレースで斤量が1kg増加しています。また、2024年からさらに一部のレース(9月までの3歳の馬齢重量)で斤量が1kg増加します。

これを斤量体重比に直すと、約0.2%の増加となります。データを見るにあたって、個人的にはあまり上記の変更を気にする必要はないと考えておりますが、2023年以降は多くのデータの斤量体重比が0.2%増加していることをご認識いただければと思います。

分析対象データ

今回は、2014年以降の中央競馬で障害レースを除いた全レースを対象に分析を行います。(約10年分)

(データ詳細)
期間:2014/1/1~2023/12/6
障害レース:除く
新馬戦:含む
出走取消/競走除外:除く


データ分析

条件指定なし

最初に、何も条件を指定しない場合の単複回収率を集計した結果が下の表になります。

上の表を見ていただくと、単勝回収率でも複勝回収率でも「斤量体重比が小さいほど回収率が高い」という傾向が非常にキレイに表れています。

そのため、斤量の影響を読み取る際にこの「斤量体重比」を使うことは、かなり効果的な手法なのではないかと考えています。


性別ごとの回収率

次に性別ごとの単複回収率を集計した結果が下の表になります。(私は確率収束の早い複勝回収率を重視して見ています。)

見ていきますと、まずセン馬は斤量体重比の傾向があまりキレイに表れません。(赤枠)

一方、牡馬と牝馬は単勝でも複勝でも「斤量体重比が小さいほど回収率が高い」という傾向が非常にキレイに表れます。(青枠)

また、牝馬は斤量体重比が12.6%以上になると、極端に回収率が低下しています。(緑枠緑字)

「牝馬は斤量の影響を受けやすい」と昔から言われますが、その傾向は上記のようなデータからも読み取ることができます。

芝/ダート別の回収率

次に、芝/ダート別に単複回収率を集計した結果が下の表になります。

芝とダートに分けてみると、ダートの方が「斤量体重比が小さいほど回収率が高い」という傾向がキレイに表れます。(赤枠)

また、ダートでは斤量体重比が12.6%以上になると、極端に回収率が低下しています。(緑枠)

一方、芝については傾向がキレイに表れていません。(青枠)

そのため、さらに距離別にデータを分割して傾向を分析していきます。

新潟芝1000メートル

まず、新潟芝1000メートル(新潟千直)はコーナーが無い特殊な条件となっているため、新潟千直に絞って回収率を集計した結果が下の表です。

(比較用に「条件指定なし」のデータも再度のせております。)

結果を見ますと、データ数はやや少ないものの、斤量体重比の影響が顕著にでており、特に斤量体重比が12.1%以上になると、回収率が極端に低下しています。(青枠)

1000~1300メートル

次に、新潟千直を除いた1000~1300メートルのレースに絞って回収率を集計した結果が下の表です。

ダートの結果としては、「斤量体重比が小さいほど回収率が高い」という傾向がより顕著に表れており、斤量体重比が12.6%以上になると、極端に回収率が低下しています。(赤枠/青枠)

芝の結果としては、斤量体重比の傾向が比較的キレイに表れており、単勝回収率も含めて見ると、斤量体重比が11.5%以下の馬は特に強い数字となっています。(緑枠)

1400~1600メートル

次に、1400~1600メートルのレースに絞って回収率を集計した結果が下の表です。

結果を見ますと、芝でもダートでも「1000~1300メートル」と比べて、斤量体重比の影響(最大値と最小値の差)が小さくなっていることが分かります。(赤枠青枠)

1700~2000メートル

次に、1700~2000メートルのレースに絞って回収率を集計した結果が下の表です。

結果を見ますと、ダートで斤量体重比が12.6%以上の複勝回収率が69.9%となっており(緑枠)、「1400~1600メートル」と比べて、斤量体重比の影響がさらに小さくなっていることが分かります。(赤枠)

芝の方も同様に、斤量体重比の影響(最大値と最小値の差は4.9ポイント)が非常に小さくなっています。(青枠)

2100~2400メートル

次に、2100~2400メートルのレースに絞って回収率を集計した結果が下の表です。

結果を見ますと、まず緑枠の数値が非常に高いことが目につきます。ただしこれは、以下の一部のデータによって極端に数値が引き上げられているため、緑枠は無視したほうが無難だと思います。

2014/1/13 中山 7R ガッテンキャンパス 3着     複勝84.6倍
2021/6/13 東京 9R リキサンダイオー 1着 単勝333.5倍 複勝66.1倍
2023/5/20 東京 3R ワイルドハンター 1着 単勝229.1倍 複勝23.7倍

次に、赤枠のダートの複勝回収率を見ますとダートの短距離と似た傾向となっています。

この理由としては、芝に比べてダートは距離延長による斤量体重比の影響が大きいためだと考えていますが、データ数も減ってきているため評価が難しいと感じています。

芝については「1700~2000メートル」とほぼ同じような結果となっています。(青枠)

2500~3600メートル

次に、2500~3600メートルのレースに絞って回収率を集計した結果が下の表です。

ダートについては、データ数がかなり少ないため評価が難しいのですが、傾向としてはダート短距離に似た傾向がより顕著に出ています。(赤枠)

そして注目したいのが、芝の長距離では斤量体重比の大きい馬の方が回収率が高くなっています。(青枠)

ここまでの結果を距離別に比較しやすくするため、距離ごとの複勝回収率を横に並べた表を示します。


複勝回収率の横比較(ダート)

ダートで距離ごとの複勝回収率を横に並べたのが下の表です。

ダートの長距離ではデータ数が少ないため評価が難しいのですが、結果を素直に解釈すると、ダートでは距離に関係なく「斤量体重比が下がると回収率が上がる」傾向にあると解釈できます。(赤枠)


複勝回収率の横比較(芝)

芝でも同様に、距離ごとの複勝回収率を横に並べたのが下の表です。

結果を見ますと、距離が延びるほど斤量体重比の大きい馬の回収率が高くなっていることが視覚的にとらえやすくなっているかと思います。

芝レースでは距離が延びるほど斤量体重比の影響が小さくなっていき、逆に長距離では斤量体重比の大きい馬の方が回収率が高いことになります。

直感的には、距離が延びるほうが斤量の影響が大きくなるように感じますが、そのように感じるからこそ、長距離では斤量の軽い馬の馬券が買われていくため、斤量の重い馬の回収率が高くなっていると考えています。

競走馬にとっては1000メートル走と3600メートル走の違いは、人間が感じるほどには大きくないのだと思います。


結論をまとめますと

【結論】
・牝馬は斤量体重比が12.5%を超えると極端に回収率が下がる。

・芝/ダート別に見ると、ダートのほうが「斤量体重比が下がると回収率が上がる」という傾向が明確に表れる。

・距離別に見ると、芝では距離が長くなるにつれて斤量体重比の影響が小さくなっていき、特に2500メートル以上の長距離戦では、斤量体重比が大きい馬の方が回収率が高い。

・ダートでは、距離に関係なく「斤量体重比が下がると回収率が上がる」傾向にあるが、ダートの長距離はデータ数が減るため評価が難しい。

となります。分析は以上です。

読んでいただいた方ありがとうございます。
説明が分かりづらいなどありましたら、ご意見いただければと思います。😄

以上です。

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