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タマクラゲとムシロガイ

タマクラゲとムシロガイの関係については、きらら舎一号館でも何度か書いているのですが、こちらにもまとめてみたいと思います。

ちょうど2023年9月9日に、カフェでクラゲのワークショップを行うので、それに合わせてパワポを作っていたところ。ここから移植してみます。

タマクラゲのポリプは生きたムシロガイの殻の上でしか生きていくことができません。




タマクラゲのポリプはオワンクラゲで有名になったGFPを持っています

それで春の実験では殻からポリプを切断してクリームケースにいれます。ムシロガイから引き離されたポリプはストロンを伸ばして、クラゲ芽を作り、クラゲを出すと死んでしまいます。


研究では、共生しているムシロガイが死んでも、水槽内に生きたムシロガイが存在すればポリプは生きていけるということですが、きらら舎水槽の中では、ムシロガイが死んで、その殻の上にポリプがいた時間は一か月くらいでした。
しかし、春にふっさふさだったポリプは、夏、秋、冬と時間の経過で生きたムシロガイの殻からもいなくなるんです。そして、春になると、また生えてくる。つまり、ストロンは生きているんですね。死んだムシロガイの殻もそういう実験のために、水槽に入れたままにしてあります。


ムシロガイのベリジャー幼生

これがムシロガイの卵ですが、ここからベリジャー幼生が生まれる頃に、タマクラゲも成熟して受精卵を作り、プラヌラ幼生が生まれます。
そうすると、ベリジャー幼生から変態して稚貝となったムシロガイの殻にプラヌラが付着して、そこでポリプになります。
ただし、1匹のムシロガイには1匹のポリプしか生きられません。仲良く共存すればいいと思うのですが、自然界は厳しいのですね。2つ以上のプラヌラが付着してポリプになると、戦いが始まります。そして勝ち残ったポリプだけが、ストロンを伸ばして無性生殖でポリプを殖やし、殻を覆いつくすのです。
ちなみにムシロガイの殻には網目状の凹みがあって、それにそってストロンが伸びているようです。だから、ポリプがいなくなっても、くぼみの中でストロンは生き延びられるのかもしれません。

タマクラゲポリプの実験は毎年、春に行っています。興味のある方は、ご参加ください。


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