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ムシロガイとタマクラゲ


【タマクラゲ】刺胞動物門

ヒドロ虫綱
花水母目
タマクラゲ科
タマクラゲ属
タマクラゲ

学名:Cytaeis uchidae Rees
和名:タマクラゲ



タマクラゲのポリプは必ず生きたムシロガイ(Nassarius ivescens)の貝殻に付着しています。
付着している貝が死ぬと、ポリプもクラゲを放出して死んでしまいます。
ただし、同じ水槽に生きたムシロガイがいれば、付着している貝が死んでも、ポリプは生存できるのだそうです。


ヒドロ虫綱のクラゲは走根(ストロン)と呼ばれる植物の地下茎のようなものを伸ばし、そこからポリプが出ます。
タマクラゲはムシロガイの貝殻の皺に沿ってストロンを伸ばし、そこから上向きに2mmくらいの円柱状のポリプを出します。
触手は6-10本の糸状で、環状に並んでいます。これは捕食係のポリプで、貝殻の殻口付近には有頭の触手を持つポリプがあります。これは戦闘用ポリプ。戦闘係のポリプは捕食はしませんが、ストロンでつながっているので捕食係が食べたブラインシュリンプなどの栄養は戦闘係にもきちんと配給されます。


クラゲ芽は、卵形でストロンから出芽します。成長するとクラゲとして遊離しますが、遊離直後は大きさが約0.5mmほどしかないので、水槽の中でさえもなかなかみつけることができません。成長しても2mmほどです。


文献より
遊離直後ほぼ立方体で高さ0.5mm。
傘の先端にくぼみがある。
4本の放射管、傘の縁に沿って環状管があり、傘の縁には短い縁触手が4本ある。
口柄は円筒形で、それを取り巻いて生殖腺がある。
口柄の先端には始めは4本の短い有頭触手があり、これは後に10本まで数を増やす。
口柄は青みを帯び、生殖腺は褐色、触手基部は黒い。



普段はほとんど砂の中に潜っているので、細かい砂を足し、彼らの故郷に生えているリュウキュウスガモを植えてみました。細い滝のように落としている水流に朝の光があたるときれいではありますが、海藻だけがゆらゆらしているタイドリウム(タイドプールを再現したアクアリウム)です。


餌を投入すると砂の上に伸びた水管が忙しなく動き始め、やがて結構速いスピードで餌に群がります。

陽が落ちて照明のスイッチを入れると、生体内に緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein; GFP)様の物質を持っているので、白色光を照射すると緑色に、青色光を照射するとより青色の蛍光を発して幻想的です。


ポリプの先が緑色に見えるのは蛍光です。


「タマクラゲのポリプは生きたムシロガイの殻の上でしか生きていけない。タマクラゲが死ぬとポリプは一斉にクラゲを出して死んでしまう

・・・・・ならば、ポリプを無理やり取ったらどうなるんだろう。

ふと、そんな疑問が生じ、ポリプを数個、切断して小さな容器(携帯用クリームケース)に移してみました。

忙しくて観察するのを忘れていたら、クラゲが出て、ポリプは消滅していました。


大きさは0.5mmくらいです。

とりあえずシオミズツボワムシとブラインシュリンプを与えてみました。


クラゲが出るところがわからなかったので、再度ポリプを切断してセットしました。


容器にムシロガイを入れてタマクラゲのポリプを切断し、ムシロガイをもとの水槽に戻しました。






観察に適したシャーレなどではないので、不鮮明ですが、タマクラゲのポリプです。


しばらくこの容器で飼育をしてみます。

変化があったらこのnoteに加筆します。

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