世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか メモ

世界のエリートはなぜ「美意識」メモ

・今の日本の経営は論理(サイエンス)に偏りすぎている!

・世界で唯一修士博士号を取れるRCA(ロイヤルカレッジオブアート)が「グローバル企業の幹部トレーニング」を行っている。

・MFA=芸術学修士は新しいMBA
世界的にサイエンスからアートにトレンドが変化しつつある。(論理.理性的スキルから直感.感性的スキルの獲得)

概要
→これまでの「論理、分析、理性」を軸足に置いた経営、いわばサイエンス重視の経営では複雑で不安定な社会で成功できない。

上記における3つの回答
1.「情報処理能力の限界が露呈しつつある」
言い換えると、「正解のコモディティ化」「差別化の消失」
多くの人が平等に教育を受け、更にはインターネットが発達した世の中では、誰もが簡単に「正解」を知ることができる。
「方法論としての限界」
今の世界は「VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧)で表されるように、動的に変化する世の中を捉えるには理性や論理だけでは難しい。
直感的な感性「真.善.美」を創出する構成力、想像力が不可欠。
2.「世界中の市場が自己実現的消費へと向かっている」
人類の多くが豊かさを得ることができるようになった。
求められるのは、人の承認欲求や自己実現欲求を刺激する感性や美意識。
3.変化にルールの制定が追いつかない
技術革新のスピードが早い昨今では、事後的にルールが作られる。
そのような場合は、「内在的な美意識にもとる行動」が求められる。例.旧ライブドアやDeNAなどはそれが足りず失敗

以下は、それぞれ3つの脚注となる。

・様々な美意識
→ビジョン、倫理道徳、合理性、表現

・KPI重視しすぎ!KPIで測れない部分のが多い
コンサル会社がもたらした「全てを数値化して管理」という幻想

・日本の経営にサイエンスを持ち込んだとされるデミング氏「測定できるものだけで経営してはいけない」
解釈が大きく異なって伝わっている。
カント「快.不快という感性が必要」「美しいと感じる時、それは何らかの理に適っている」

・全ての人が社会彫刻をするアーティストなのだと自覚する

・ソニーは感性を訴えかける要素を持っている。→会社設立の目的の第1条
→ソニーのウォークマンは井深氏の感性によって生まれた商品だった。(しかも当初販売することは"論理的理性的"な社員に反発された)

・スティーブ・ジョブズ
→直感的な判断を下したことが多かった(自身もそれを肯定していた)

・論理や理性を蔑ろにしてはいけない!
→論理や理性ではシロクロつかない問題に対しては「直感や感性」を意思決定に使ったほうがいい。
「 論理×直感 (バランス)」が最強!

・松浦静山
「勝ちに"不思議"の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
→勝ちには"論理的に説明できない"部分がある

・シロクロつかない難易度の高い問題(内政、外交)を担うエリートに対し、欧州では「哲学」などの美意識の育成を重んじる。
→オックスフォードでは哲学が必修

・経営とは基本的に「差別化」を追求する営み
→論理や理性の行き着く先は必然的に「同じ答え」になる
かつてはレッドオーシャンを「スピードとコスト」を武器にして勝利した日本
今こそ本当の差別化が求められる?

・ミンツバーグによるMBA批判
→経営は「サイエンス」「クラフト」「アート」のバランスで出来ている。
しかし「アート」が蔑ろにされている!
→なぜか?
アカウンタビリティ(説明責任)の格差
→論理、経験を盾にするサイエンスとクラフトにアートは勝ち目がない

・アカウンタビリティは天才の否定
→説明出来ないことをやって成すのが天才。つまり、説明できてしまうものは天才の所業ではない。
→サイエンスは言語化、再現性が求められる

・クックパッド紛争はアートとサイエンスの戦いだった
佐野氏(アート)/穐田氏(サイエンス) 他にはスティーブ・ジョブズ/ジョン・スカリー

・イノベーションには「非論理」ではなく「超論理」な意思決定が存在する

・google
→"世界中の情報を整理する"ことがミッション
YouTube買収当時、ビジネスとして成功するか疑問視されていた

・Plan(計画)をアート型人材が描き、Do(実行)をクラフト型人材が行い、Check(管理)をサイエンス型人材が行うというのが1つのモデルとなる。
例→ウォルトディズニー兄弟、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫、アップルのジョブスとスカリー

・千利休は世界初のCCO(チーフクリエイティブオフィサー)
→ディレクション(指導)はするが、クラフトはしない
織田信長や豊臣秀吉のようなCEOに対して、美的側面を担う役割を果たしていた

・「アートのガバナンス」
→ユニクロでは柳井CEOが見込んだクリエイティブディレクターに権限委譲をする。
→無印良品でも同様の構図
バランスを保つ経営ガバナンスの仕組みが世界で渡り合う競争力を持つ

・経営には選択と捨象が必要で"捨てること"の決断も必要

・「過度のサイエンス重視によるコンプライアンス違反や労働問題」
→論理による意思決定により、差別化が図れないままレッドオーシャンで生き残ろうとすると、コストとスピード(KPI等の科学的マネジメント)でしか戦えない。
そのしわ寄せが現場の社員にいくのは言うまでもない。
→無茶な経営の行き着く先は、"イカサマ"しかない。
粉飾決算、データ偽装、水増し請求…

・「ビジョンが足りない」
→大平洋戦争以後、日本にはアメリカという明確な"お手本"があった。
求められるのはビジョンではなく、いかに"早く、安く、正確に(真似る)"できるかだった。
現状、日本はれっきとした先進国なので自らがビジョンを打ち出して舵取りをしなければならない。
更にはビジョンには人を共感させる"真・善・美"が必要。
具体的な数字はビジョンではなく、目標。

・ジャン・ボードリヤール
→「人々はモノを自分と他者を区別する記号として操作している」
つまり、機能的便益ではなく自己実現の記号としての獲得という側面が強い。
「これがクールなのだ」という創造的提案が経営を動かしていく。

・マッキンゼーはグローバルな競争の中で失速している?
→コンサルティングにサイエンスを持ち込みグローバルに発展した
→ノウハウを得た人材が各地に流出
→マッキンゼーのコンピテンシーとは?
→マッキンゼーはデザイン会社を買収した
コンサルティングはクラフトからサイエンスに変化し、現在アートを取り込もうとしている。

・世界的な「自己実現欲求の市場」において、日本の「美意識」は強みになる

・世界観とストーリーはコピーできない

・システムの変化に追いつかない時代
→DeNA,サイバーエージェント(コンプガチャ、キュレーションメディア)
美意識<経済性による結果
→法律で禁止されていなければ、問題はないのか?
今こそ自然哲学だ!

・エリートは強い達成動機故にコンプライアンス違反を犯すリスクがある
→「美意識に基づいた自己規範」が必要
クリエイトン・クリステンセン
「人生を評価する自分なりのモノサシを持ちなさい」

・日本は恥の文化→狭い世間の掟に従わざるを得ない
→労働力の流動性を上げろ!
→異文化体験を持ち視野を広げろ!
→美意識を持つ(絶対化したルールを相対化できる知性を持つ)

・ソマティック・マーカー仮説
→意思決定には理性と情動の両方が必要であるとした仮説
「美しいと感じる能力は意思決定をする上で非常に重要」

・優秀なリーダーはセルフアウェアネス(自己認識)の能力が非常に高い
→マインドフルネスの流行

・オウム真理教=「偏差値は高いが美意識が低い」
→オウムの受験エリートは明解な位階システム、つまり"頑張れば報われるシステム"に逃げた。「極端なシステム思考」
現実には清濁併せ呑む必要がある
宮内勝典氏
「オウムの幹部は文学を読む者が少なかった。微妙な言葉のニュアンスや感性が分からず、真贋を洞察する力がなかった」

・オウム真理教のシステムに類似している業界
→戦略系コンサルティング業界、新興ベンチャー業界

・メタ認知→自分を俯瞰できる美意識

・「アートとサイエンスが両立すると個人の知的パフォーマンスが向上する」
→仮説程度で実証されてはいない

・「アートを見ることで観察眼が向上する」
→AIにはフレーム問題があり、情報範囲外の答えを導出できない。
数少ないヒントから洞察を得て答えを導出出来るのは人間の仕事(メタ思考)

・VTS(visual thinking strategy)で観る力を鍛える
→アート作品を見て描かれてることや思ったことを率直に発言し合う。それにより自分以外から新たな気づきが得られる

・「純粋に見る行為とパターン認識」
→"読む"行為はパターン認識によるモノ
エジソン 実験工房
両者の共通項を探すときに、読んでから考えると、
エジソン→発明家
→実験工房→「発明!」となる。
しかし、純粋に"見る"と、「工」という字が同じというだけ。
→大人になればなるほどパターン認識が冴え、"純粋に見る"ことが出来なくなる。
→失読症には本質を捉える力があり、イノベーションを生み出す。
例:スティーブ・ジョブズ、アインシュタイン

・哲学を学ぶときには、コンテンツ(内容)、プロセス(経緯)、モード(姿勢)の3種類があり、特にプロセスとモードが肝心。
コンテンツとして身につけた教養はすぐに役に立たなくなる。
→組織には最適化しつつも、主体的な考えを持ち、それを実装していく。

・人を酔わせ、舞い上がらせるにはレトリックが必要であり、それにはメタファー(比喩表現)の引き出しが欠かせない。
→コミュニケーションにおいても同様。特に素早いレスポンスが求められるコミュニケーションの場では、豊富なメタファーや語彙力が必要ではないか?

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