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わたしもいつかしぬの?

自転車の後ろに座ってトマトを齧っていた。日差しが強いけど、風は冷たくて気持ちいい。寝ぼけた頭のまま木漏れ日の中をすり抜けた。朝に突然私の目の前に現れた友達は見たことのないかたちになっていて、腕からは血を流していた。「自分でやったの?」と聞いたら「人にされた」と言って俯いた。嘘にもならない嘘だった。
思い出すのはそんなことばかりで、その時間が遠くなればなるほど、人は人のことを忘れていく。誰かが確かに存在したことすら忘れてく。忘れてほしい?忘れたい?それとも、たったひとりだけに覚えていて欲しい?
私たちは間に合わなかった。ただそれだけの話なんだけど、じゃあまた次の人生で会いましょうとか、そんな簡単な話にはなれないよ。運命には限りがあって、でも時間切れ。10年後にはまた会えるようになるかもって思えた友達には7年かかってやっと会えた。長生きするとそういうことが時々あって、そういうのもなんか、人間ぽくていいなと思えるくらいには大人になった。
終わっていたはずの人生をつぎはぎして、運命を乗り継いで、綱渡りだけどなんとか生きている。英語で書いた手紙、瓶に詰めたらとけて消えてた。鉄の塊が空を飛ぶなんて、誰が最初に信じてしまったんだろう?

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