全国通訳案内士試験、1年目で合格した私の勉強方法について

2020年2月7日、全国通訳案内士試験に合格しました。


このnoteでは、1年で合格に至った勉強法、使った参考書、問題の傾向分析などについて私見を述べています。英語学校や英語系予備校などにお金を払って通学したりしていませんので、そういった学校の無い地方の方や、予備校にお金を払いたくない人には特に参考にしていただけるのではないかと思います。
あと、参考書はほぼすべてメルカリで調達しました。全部で1万円もしていないと思います。版が旧い参考書もありましたが、最新版じゃなくてもOKだと思います。
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全国通訳案内士試験とは?

全国通訳案内士試験とは、外国語で外国人観光客をガイドする能力を有すると認定する国家資格試験で、英語系試験としては唯一の国家資格試験です。英語学習者の中では英検1級、TOEICの900点台と併せて難関英語試験と言われているようです。

全国通訳案内士試験の具体的内容は、5科目による一次試験(マークシート筆記)と、受験言語での面接による二次試験で行われます。2019年では一次試験が8月16日、二次試験が12月8日に行われました。

一次試験の5科目では試験免除の仕組みがあります。英検やセンター試験などの別試験の成績によって免除される場合と、前年度試験での合格によって免除される場合とがあります。

できれば免除科目があった方が楽です。免除になった科目の分だけ他の受験科目の勉強に時間を振り分けられますから。しかし、免除科目が無いなら仕方ありません。全国通訳案内士試験の免除のためだけに英検やTOEICやセンター試験の勉強をするのは本末転倒。少なくとも僕はそう思います。全国通訳案内士の資格を取りたいのなら、その試験に正面からぶつかって行ったほうがいいんじゃないでしょうか。なぜなら、同じ英語の試験といいつつ、この全国通訳案内士試験の英語は中身がまるで違うからです。

というわけで、まずは一次試験の5科目にチャレンジすることにしました。

勉強開始時の僕の前提条件

その時点での僕自身の前提条件を簡単にお話しておきます。

英語の実力はどんなものかというと、まず、英検を受けたことはありませんTOEICも受けたことはありません。なので受けたら高得点かもしれないし、まったく歯が立たないかもしれません。そのへんはまったくわかりませんが、全国通訳案内士の英語1次免除となる英検1級は無理だと思います。準1級さえ無理でしょう。TOEIC900点も無理です。つまり、一次英語試験を免除できる能力はそもそも無いということです。

英語は好きです。アメリカに暮らす友人がいたこともあり、アメリカに1人で旅しても観光の会話で苦労するということはありません。度胸と身振り手振りで乗り切ってきました。

facebookをかなり早い時期(日本人ユーザーが皆無の頃)に始めたため、フレンドには外国の人が多く、そのせいで投稿をするときは6割くらい英語で書きます。

この15年ほど日常的に洋書でミステリーなどを読んでいます。最初の5年ほどは辞書を引き引きしてたのでスピードも遅かったですが、その後は辞書を引かずに読むようにしたので、スピードは速くなったけれど、難しい表現はわからずじまいです。ミステリーなどは比較的会話が多くて読みやすいですね。

大学は早稲田を出てますので、比較的勉強はできる方なのかもしれません。しかしそれももう30年以上前の話で、きちんと英語の勉強をしたのはそれ以来です。

京都に住んでまして、その関係で京都検定というのを受けたりしています。2年前に京都検定2級に合格し、1年前(2018年12月)は京都検定1級に落ちました。2019年の京都検定は日程が全国通訳案内士試験の二次試験と重なってたので受けられませんでした。次回は受けようと思います。

京都検定の知識は、日本史と地理にそこそこ役立ったと思います。京都に関する問題であれば正解できる自信はあります。日本史なんてほとんど京都を舞台にしてるんだから楽勝だなどと思っていましたが、実際にやってみたら思い上がりもいいところでした。

なぜ全国通訳案内士試験を受けようと思ったか?

2018年のある時、知り合いから「今度アメリカ人の知り合いが京都に旅行するらしくて、誰かガイドしてくれないかって言ってるんだけど、やってくれない?」ときかれました。友達と英語でバカ話するだけならいいけど、見知らぬ人を英語でガイドするってかなり大変なことじゃないかと思いました。なので、断るつもりで「1日3万円のギャラでいいなら、やるよ」と。すると、まさかのOK。しかも3日間。これはもうあとには引けません。事前にメールでやり取りをし、行きたい場所を聞き、こちらからの提案などもし、9月の京都を案内しました。結構喜んでもらえて、「あなたはベストガイドだ!」と言ってもらえて、とてもいい気分でした。ああ、これは仕事として考えてもいいなあと。

じゃあ、ガイドをするにはどうしたらいいんだろうと調べたところ、全国通訳案内士という国家資格があるということを知ります。資格がなくてもガイドはしていいけれど通訳案内士やそれに類する肩書(「通訳ガイド」など)を使ってはダメだということを知ります。その名称を使えないのでは自分から営業することも難しい(というか事実上不可能)ので、資格を取るしかないという結論にいたりました。2018年10月のことです。この時点でその年の1次試験は終わっていたので、2018年には予定通り京都検定を受け、全国通訳案内士試験は2019年にトライしようと。

そういうわけで、8月の受験までは10ヶ月の準備期間がありました。でも、2018年内は京都検定の勉強に励んでたし、2019年に入っても試験を受けるという実感がなかなか湧かず、さして試験勉強を始めることもなく過ぎていきました。

試験用の教材を集め始める

3月の終わり頃、そろそろなにか始めなきゃマズいと思い始めます。でも受験科目が多いので、何から始めたらいいのかよくわからず、とりあえず日本史の教科書をメルカリで物色し始めます。山川の日本史です。とりあえずこれを買いました。300円です。届いたので眺め始めたけれど、これを全部覚えるのは大変だ。それに、(当然ながら)京都以外の歴史もたくさんある。京都検定で日本の歴史はカバーしたなんて思い上がりもいいところでした。これは大変だ。ちょっと焦り始めます。

英語の勉強も基礎から

英語の勉強はどうすればいいのか。洋書を読んできたとはいえ、単語力が弱いのは確か。まずは単語から鍛えるかと思い立ち、ググります。その結果「究極の英単語」というシリーズに行き当たりました。これは4巻に分かれてて、1巻目が「初級の3000語」、2巻目が「中級の3000語」、3巻目は「上級の3000語」、4巻目は「超上級の3000語」という具合に徐々に難しい単語になっていく構成になっています。買いました。メルカリです。これまでの単語系テキストに感じてた物足りなさは「これに載ってない単語は要らないのか?」という不安でしたから、その点、この英単語テキストであれば、12000語まで網羅されているので、とりあえず全部マスターすれば十分だろうという安心感があります。12000語をマスターできるのにどのくらいかかるのかはまた別の話として。

結論から言うと、この単語系テキストはあまり役に立ってません。無駄にはなりませんけれど、5科目に取り組む中で単語だけをやっているなんて悠長なことをしているわけにはいきません。5年計画で取り組むのなら別ですが、半年程度で試験に向かうには非効率過ぎます。やはり、試験傾向に即した対策をするべきです(その結果、また単語をきっちりやることから逃げました。いずれちゃんとやりたいです…)。

過去問で傾向をつかもう!

そういうわけで、過去問に取り組むことにしました。幸いなことに過去問はネットに公開されています。JNTOのサイトにアップされている問題は、一部の画像や問題に出されている長文そのものが削られてて使い物になりません。著作権の問題が掲載されない理由らしく、それはそれで仕方ありませんが、長文問題の長文が省略されてては参考になるはずがありません。どうしたものかと思っていたら、一部の予備校が公開していた過去問というのがあり、それには長文も図解の写真も残らず掲載されていました。著作権の問題はどちらも同じなのに、不思議ですね。ともあれ、過去問を4年分ほどダウンロードして、プリントアウトしました。4年分くらい、いや2年分くらいやれば傾向はつかめるでしょう。

というわけで、過去問にトライすることに。時間を計りながらトライ。以前と違ってすべて選択式なので、制限時間いっぱいかかる科目はほとんどなし。本番だったらもっと真剣にやり、念入りに見直しをするでしょうけど、傾向をつかむための過去問トライなので、基本的に制限時間の半分くらいで解答。それを新しい方から2年分くらいやると、なんとなく傾向はつかめてくる。なるほどなるほど。これは普通の試験じゃないぞ。すべては日本国内を案内するガイドになるための知識を問う試験だ

惑わされるな。これは普通の試験ではない!

一応試験科目は「英語」「日本歴史」「日本地理」となっているものの、大学受験の同じ英語や地理歴史と思ってはいけません。すべての問題は外国人に英語で説明する能力を問う内容に特化していて、そのことをちゃんと理解すれば有利に、理解せずに同じ取り組み方をすると不利になるでしょう。

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