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マンネリと若い雄



私のパートナーは16個上である。

出会いから12年の時がたち
我々は歳をとった。

私はSEXがもともと好きではないのだが
さらに嫌になってきた。
いつでも、全然、やりたくない。

彼のことは好きだ。ずっと一緒にいたい。たくさん恩がある。私のようなカスを選びめちゃくちゃ支えてくれる素晴らしい人格者である。見た目も結構好きだ。
死んでもまた一緒になりたい。
でも気持ち悪いのである。
出てきた腹、キツくなった体臭、耐え難い。
私の体のどこも舐めないでほしい。ベロがうねうねするのがもう嫌。鳥肌が立つ。唾液って乾くと臭いし。
抱かれている間は早く終われ早く終われと念じる。早く逝かせて終わらせるために性技が上達したのは怪我の功名ってやつか。ちょっと違うか。

恩があるし、愛しているので拒否しないのがポリシー。態度にも出さない。だから愚痴は許してほしい。
もう、雄じゃなくて運命共同体なのだ。
SEXさえ私が我慢して付き合えば、我々はたいへん幸せなカップルである。

そんなこんなで私はこのところ性欲というものが死んだ状態で生きていた。凪。

ところで4月から副業を始めた。女しかいない本業と違い、隣に同年代の男性の同僚が座り、2人きりという時間が長い。沈黙が気まずいので雑談が自然発生する。

お互いに品定めして腹を探り合って
やれるかどうか推し量るこの感覚、
久々だ。

歯の浮くようなセリフを並べられるのも久しぶり。
一言、一言を注意深く発し、
がっつかず、空気を壊さず、性欲を感じ取る。
気持ち悪いと同時に興奮を覚える。

私は若くて自分好みの雄とヤりたい。

やった場合の虚無の大きさは想像がつくので
やらない。最悪、品評会が開催されて好き放題言われるのがオチである。
でも、やりたいなあ。としみじみ思う。
上っ面だけのつきあいをしたい。
相手の人生の責任なんかとりたくない。
ただツラが良くて口の堅い男とやりたいだけ、

性欲は死んでなかった。
今日隣に座った同僚の顔は正直めちゃくちゃ好みだった。King Gnuの常田にラクダの遺伝子を足したようなツラである。
もちろん既婚。
初めましての3秒後に口説かれ始めたのは
むしろ舐められている。ちょろいと思われている。侮辱である。コイツなら大胆に出ても上にチクらないしあわよくばヤレる、と考えての行動であろう。
私のツラはお世辞にもいいとはいえないので、その辺も加味してスピードも速いとみたか。免疫がないからすぐ落ちると踏まれたか。
むかつく。
不倫の趣味はないので愛想笑いでなるべく目を見ないようにして話す。
目を見たら惚れてしまうので。ちょろい。ばれてるのが悔しい。

私の性欲が久々に目覚め、
「やりてーーなあーーー!」
と伸びをしている。

やらないが。

イケメンは尊いとか可愛いは正義とか言われる理由がよくわかった。あまりそのあたり理解してなかったのだが。
見た目が好みな異性と同じ空間にいて言葉を交わして笑う、それだけ満たされるものがある。まちがいなく。たとえやらないとしても。

なんか、ああ私生きてるって感じしました。
ありがとう私好みの同僚よ。





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