全血縁がカルト信者の話 その7

・全血縁がカルト信者だとどんなことになるのか ~休学前編~

 1年目あたりの普段の生活はハッキリとは覚えていません。社会とつながれとのことで平日は研究室に行って読書したり、同期・先輩と遊んでたような気がします。とりあえずやることがないのでバイトは継続してました。(3回生で始めた学食)

 ちなみに4回生で崩壊したあたりから「母親」がストーカー化していきます。何の連絡もなしにアパートまで来て、不在なら近くで待機しているとの連絡を入れてきます。大体日中だったので研究室にいてやり過ごしていましたが、一度在宅中に襲来され、宗教施設に連れていかれそうになりました。これは私が雲隠れするまで続き、怪しい痕跡や連絡がある時は友達にアパート周辺を確認してもらって、いた場合には何日か泊めてもらったりしていました。
 このストーカー化は私が連絡手段を断ち、「実家」に行くことがなくなったことが要因の1つであると推測します。これには前編の『「実家」で食事・睡眠をすることに恐怖を感じるようになるまでは(後述)』の内容が関係するので、そのことについて書いていきます。

*食事について
 3回後期あたりに仕送りとして食品が届きました。その中には何やら見慣れないパッケージの米が…よく見ると宗教の単語がちらほら書いてあります。そうです。宗教団体が作っていた自社(?)ブランドのものでした。中学以来、宗教関連のものは一切、断固として拒否を表明し続けていたのにも関わらず未だにこんなことをしてくるのかと、呆れと怒りが湧いてきます。
 この頃の私は体調的に落ちているからか、手負いの動物のようにいろんなものに対しての勘、些細なことをキャッチ&リスクを排するための勘繰りが異様に発達していました。そんな私は他の食品にも違和感を持ち始めます。「実家」にいたころは一般的な食品たちでしたが、よ~く考えてみるとスーパーなどではほとんど見たことがありません。なるほど???

 販売元、製造元を調べます。どこも一見変わったところはありません。企業HPから経営者たちの氏名を割り出し、SNSなどの情報を収集します。ビンゴです。調べたうちのほとんどの経営者が宗教のコミュニティに属していました。名探偵すぎる。ここからは推測ですが、この宗教には自然派志向のようなものがある(昔は医者・医薬品が禁止でプチ社会問題になった)ため、商売をしている信者がそういった商品を出し、信者間で草の根活動的ステマが蔓延しているのだと考えます。ノルマ献金や物品の押し売りが(おそらく)ないこの宗教がなぜ各地域にクソでかい施設を建てられているのか長年疑問でしたが、信者の企業が信者間に商品のステマを行い、その利益を献金している構造が収入源の1つになっているのは十分にありえることでしょう。

 と言うことは、です。今まで「実家」で使用していたものや口にしていたものに宗教関連のものがどれだけ使用されてもおかしくありません。知らずに利益に貢献していてもおかしくはありません。まじファック。思い返せば心当たりはいくらでもあります。そして宗教・宗教関連のものを一切拒否している子供に平気でそういったものを使用させる人間性よ…
「実家」を経由する食事を拒否するようになったのはこれがきっかけです。

*睡眠について
 岡山に帰る時は基本的に友人宅に転がり込んでいましたが、毎日お世話になるわけにもいきません。お金もないので、それ以外は全員留守or寝ている時間帯を狙って「実家」で睡眠をとっていました。しかし事件は起こります。
 4回生前期の連休、MP回復のために岡山に帰るものの、その日はいつもの友人宅に宿泊できませんでした。仕方なく未明に「実家」へ行き、自室の内側からドアストッパーを差し込んでベッドに潜ります。深酒と薬ですぐ入眠しました。
 何かの気配を感じて起きます。目を開けると真っ暗な室内で祝詞(?)をぶつぶつ言いながら私に儀式をかける「母親」の顔が頭上に。無表情。アリアスターもびっくりのサイコホラーですわほんま。「そういうのやめてくださいって昔から何度も言っていますよね」と私が言うと、何のリアクションもなしに、だまーって部屋から出ていきました。ちなみに自室には鍵がなく、ドアストッパーは定規等で解除されます(自室が与えられてからの慣習)。本来ならばドアストッパー解除の音で起きるのですが、酒と薬で気が付かなかったようです。戦場なら死んでいた。頭もぱやぱやだったのでそれ以上の追及はせず、もうここはダメだと思いながら二度寝しました。

 大変長くなりましたが以上が「実家」に行かなくなった要因です。さて、ストーカー化話の続きですが、保健センターと精神科医の介入により徐々に回数が減っていきます。ただここで諦めないのがストーカーです。まず大学本部に電凸し、次に学部、学科、コースの事務室から最終的に教授の仕事用ケータイにまでたどり着きます。こっわ。幸い教授には保健センターと精神科医からヤバ情報が共有されていたので私への被害はありませんでした。すまん教授っち…ちなみにこの一件は教授から教授会、学部事務にまで共有されることになり、私の防御網はより強固になりました。やったぜ。

 直接の接触を諦めた(諦めてない)ストーカーは次の一手として「叔父」を使います。このころの私は「母親」>>>「その他血縁」としてヤバさを誤認していたので、「叔父」からの連絡は「母親」ほど警戒していませんでした。愚かだねぇ。4回生の秋ごろ、「中小建築経営者のセミナーで大阪に出てきているからちょっと近況報告してくれんか」と連絡が来ます。下手に断って金銭の援助が止まると困るので「母親」の差し金と分かっていながらも了承。大阪駅のカフェで話し合いが始まります。
 「叔父」は「今どういう状況なのか」「岡山に帰るつもりはないのか」のようなことを聞いてきます。私は「両親」に説明している「休学中に勉強したいことがあり、大学で環境を整えた」「こっちで療養環境を整えた」ということを説明しました。「叔父」は納得しますが、ここから流れが変わります。「叔父」は鞄から2冊の宗教本を取り出して私に差し出しました。宗教がいかに有効か熱弁し始めます。
「この本も医者が書いとって、研究とかもあるんじゃ」
 これはもうあきまへんわ…その場を穏便にやり過ごすためにとりあえず受け取っておきました。その後夕食を提案され、私はクソ話の時給としてたっけえ飯を奢らせようと考え承諾しました。今回最大のプレミです。

 とはいっても当時そんなに詳しくなかったので、金持ち「叔父」(社長)に任せることに。タクシー移動と言われたので素直に(バカ)乗ると繁華街とは違う方向に進んでいきます。
「飯の前に大阪支部行こうか、支部長には連絡してあるけぇ」
 やられた…完全にプレミです。宗教ずぶずぶ「祖父」の息子で、宗教内結婚していて、ついさっきもやべぇ本渡してきた人間がまともなはずがないのになぜ回避できなかったのか…幼少期から知ってる人間とか、血縁って怖いね。単純接触効果というか、強く意識しないと警戒を前提に動けないことを身をもって理解しました。

 移動中も下車時も何とか逃走計画を練りますが、私はトム・クルーズでもキアヌ・リーヴスでもありません…ぴぇん。
 「叔父」が窓口に行くとほどなくして一番偉いらしき人が出てきます。「叔父」と2、3言葉を交わしたのち、通常の広い儀式フロアではなく別室に連行されます。もーーー拉致監禁ルートやんこれ…その後の最悪を想定し、使えそうなもの、フロアマップ等死ぬ気で確認&シミュレーションします。嘘話だと思うでしょう?ほんまの話なんですよこれ。まあ結局は無傷で解放されたんですけどね!!よかった!!
 面談のようなものとクソなげぇ儀式(特別版)を受けたのち、無事解放されました。脳内は常に逃走計画練ってたので内容なんかなーんにも覚えてません!気分は007!その後、飯に連れていかれて解散しました。人生で一番生きた心地がしなかった日です。

この日以降、私の中の危険度順は
「母親」>>>「その他血縁」
から
「全員ブラックリスト」
に更新されましたとさ。

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