見出し画像

【シャトレーゼアイスレポ】20「チョコバッキー バニラ」

【シャトレーゼアイスレポ】20
「チョコバッキー バニラ」
甘さ☆☆☆
懐かしみ☆☆☆☆☆
喉の乾き約100ml(3cm)
記憶というのは不思議なもので、数秒前にはその片鱗さえ思い出さなかったのに、ちょっとしたきっかけ、例えば匂いとか音とかで、一瞬にして記憶の最中に放り出される。
それが、歯ざわりでも起こることを私はこの「チョコバッキー バニラ」をかじるまで知らなかった。
私のひいおじいさんは、医者になるつもりで山形から東京に出て、何故か牧師になった人で、それから母方は代々ずっとクリスチャン。
父も母と結婚する時クリスチャンになったから、私は子どもの頃から日曜日には教会に行くのが常だった。
教会では、牧師さんの説教がありその間子どもたちは静かにしておかないといけなかった。
喋りたくなったら外に出て遊んだりして、午前中いっぱいを教会で過ごしたあと、祖母の家でいとこや伯父伯母と昼ごはんを食べた。
祖母はバリバリに働く人で、昼ごはんの後は「ビエネッタ」というパリパリのチョコレートとバニラアイスが層になったケーキみたいなアイスを出してくれた。
そのケーキみたいな見た目と、フォークで割るとパリパリパリパリという音とそして、バニラアイスの甘さが、滅多に買ったアイスを食べさせてもらえない私には、すごく特別でなぜだかちょっぴり高級な時間だった。
「もっと食べたい…。」と思いつつ、幼い私は伯母にも祖母にも言えなかった。
ひとしきりアイスをすくい、味のしない銀のスプーンを舐めたら、「臭いし、汚いから行ったらダメ!」と言われてた祖父の部屋にこっそり忍び込んでいた。
祖父の部屋はマイルドセブンの匂いがした。
「チョコバッキー バニラ」をかじったら、パリパリパリパリという歯ざわりと音がした。
それにつられて、日曜日の午後、ちょっと物足りなさを感じつつ、お皿に残った溶けたバニラアイスを一生懸命すくっていた幼い日の私がセピア色の祖母の家のダイニングに蘇った。
祖母を、そして幼い頃の日曜日の午後を思い出したいときは、「チョコバッキー バニラ」を食べようと思う。

#シャトレーゼアイスレポ
#シャトレーゼ
#シャトレーゼアイス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?