でぃあな と おりおん【マイキャラストーリー】

こちらは現在構想中の物語の書き殴りになります、今後設定変更する可能性があるのでご了承ください。


我々人間が住む世界とは別に存在する魔法界、そこにはマナマナという魔法を扱う種族が暮らしていた。種族は様々いて、猫のような一族や狼のような一族など皆動物たちのルーツがあった。彼らは我々人間をチュッピと呼び、別世界の存在を知りながらも殆ど干渉せずに暮らしていた。


これは心晴たちがプリマジを始めるよりずっと前のお話。

針葉樹が沢山生えた高山の麓にある集落があった、そこではマナマナと動物たちが共存し暮らしており、市街地とは別のコミュニティを形成していた。人間の世界でいう地方の村々である。

そこに1人の青年がいた。彼の名はおりおん。とても大きい身体で髪は赤い癖毛を後ろでまとめている。人懐っこい性格で主に肉体労働を得意としたが、歌や音楽などの芸事も愛しており、周囲の人々に慕われる存在だった。

彼がいつも通り山で木を伐採していると、1人の少女が近寄ってきた。

「やっぱりここにいたのね」

彼女はでぃあな、ベージュのロングウェーブの髪に鋭い目つき、身なりはこの辺では珍しいドレス姿であった。

「ここに来たら危ないって前にも言っただろ?」

おりおんは作業を止めずにでぃあなに言葉を返す、彼らは幼馴染だったが性格や趣味、生活など何もかも真逆の存在だった。

でぃあなはこの辺一帯を取り仕切ってる一族の一人娘であった、実家は強い権利を持ち、街の方でも何かと事業を起こしているようだった。彼らもまた魔法を生業にはしていたが、魔法頼りの産業には限界が来ることを意識しており、各地に畑や工場を作り産業に貢献していた。

でぃあなの父はおりおんを強く評価していた、天涯孤独のどこの馬の骨とも分からない男ではあったが、強いリーダーシップがあり、人々に愛されていた。そんな事からおりおんに事業の一部を託したいという誘いが何度かあったが、おりおんは全て断っていた。

「俺は別にこの山で楽しく暮らせたらそれでいい、仕事だなんだってめんどくせーしな!」

でぃあなは幼いおりおんの事を思い返していた、かつてのおりおんはこの山の外の世界に羨望し夢をよく語っていた。自分のことを「俺様」と呼びガキ大将の振る舞いをしていたが、不思議と周囲には嫌われていなかった。

大人になるにつれおりおんは段々と外の世界のことを話さなくなった、理由はわからない。周囲の大人たちは「ようやく落ち着いてくれたか」なんて言うが、でぃあなにはそうは思えなかった。彼はよく深夜に高台で星を眺めていた。その時の視線はどこか諦めと憧れがあるように感じていたのだ。

「私は別に構わないけどさ、お父様たちがうるさいのよ、少しは人助けしてみたいって思わないの?」
「あのさぁ、お前はそんなに俺にこの山を出ていって欲しいわけ?」

そんなわけない、むしろ一緒にここを出ていきたい。しかしでぃあなの口からその言葉が出てくることはない、立場の問題もある、しかしそれ以上にきっといつかおりおんの方から「一緒に外に行こう」と言ってくれるような、そんな願望を消し去りたくなかったのだ。

そんな会話をしていると近くで物音がした、こんな場所に来るのはおりおんと動物くらいしかいない、2人が音の先に視線をやると長身の人影が姿を現した。

「あなたたち、麓の集落の人たち?」

女性だった、薄紫の長い髪をポニーテールにしてローブを羽織っている。いかにも魔法を専門に扱う風貌だったがその顔立ちはかなりの美人だった。

「そうだけど、あんた誰?」

おりおんが軽い世間話かのように言葉を返す。

「私はありあ、ある事情でこの山に来たの。良かったら集落に案内してもらえない?とても大事な話があるの」

後に解ることだが、これが大魔法使いありあとの出会いだった。
そしてこの出会いがきっかけで、3人が魔法界から追放されることになるとは、この時誰も想像だにしていなかった。


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