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天生諷★小説
2014年12月27日 22:10
ずっと、好きな人がいる。 いつも横で、彼を見ていた。 すぐ側にいるのに、届かない。 私の声は途中で止まってしまう。 意味の無い言葉はいくらでも出る。 だけど、心にある言葉は出てこない。 私は、いつも彼を見ているだけだった。 友人の一人が彼に告白したことを知った。 それを聞き、私の世界は闇に包まれた。 その友人は涙ながらに語ってくれた。 友人は彼に振られてし
2014年12月23日 23:43
#Xmas2014 街中にクリスマスソングが流れる。 立ち籠める雲は厚く、じきに雪が降ってくるそうだ。「おかあさん、ぼくのうちにもサンタさん、くるかな?」 五歳になる子供が尋ねてくる。「どうして?」 頬を真っ赤にした子供は、こちらを見上げてくる。 白い吐息が宙を舞う。「だって、ぼくのうち、えんとつがないでしょ? サンタさんは、えんとつからはいってくるんでしょう?」
2014年12月23日 23:42
#Xmas2014 冷たい風に乗ってジングルベルが聞こえ来る。 いつの間にかクリスマスは嫌いになっていた。 五月蠅いんだよ! クソ親父! あなたは良いわよね、仕事だけしてれば良いんだからさ。 いつからだろうか。妻から疎まれ、娘からは嫌われた。 家族のためにと、一生懸命仕事をしていた。それなのに、仕事に没頭すればするほど、家族との距離は遠くなった。 いつの日か、クリスマス
2014年12月14日 23:12
雲一つ無い夜空。 深淵の闇の海に浮かぶ満月は美しかった。 秋の夜風に乗って祭り囃子が聞こえる。 子供達が脇を駆け抜けていく。 祭り囃子に惹かれるように、私の足は自然と神社へと向かう。 私は唇を噛んだ。 何度この祭りに足を運んだだろう。 小さい頃、両親に連れてきてもらった。 幼馴染みの男の子。中学に上がると同時に引っ越していった男の子と、毎年来ていた。