現役高校家庭科教師の金融教育奮闘記 テスト問題編
授業が終わり、テストでは以下のような問題を出題した。
【問1】
健全な家計管理や投資の方法や考え方として、正しいものはどれか。複数選択可。
ア 月々の収入を増やすより、月々の支出を見直して減らす方が、多くの人にとって無理が少なく実行しやすい。
イ 月々の収入から支出をして最後に余ったお金を貯金するとよい。
ウ 収入の範囲を超えてもローンを組んで、未来の収入をあてにするとよい。
エ 月々の支出を減らすには、家賃やスマートフォン通信料などの固定費より、食費などの変動費を削減した方が効果的である。
オ ローリスク/ハイリターンの金融商品に積極的に投資するとよい。
カ 生活防衛資金は投資にまわさない方がよい。
キ 株式は最安値で購入するために、初心者でも日々相場をチェックし、一括購入するとよい。
(正解/アカ)
(解説)
イ 収入一支出=貯金 ではなく、収入一貯金=支出 が望ましい。
ウ 収入の範囲内で生活することが基本。
エ 変動費より固定費の削減の方が効果的。
オ ローリスク/ハイリターンの商品はない。
キ 相場を読むことは極めて困難であるから一括購入ではなく、定額購入法(ドルコスト平均法)で積立購入することが、万能ではないが王道。
【問2】
正しいものはどれか。複数選択可。
ア 投資で得た利益は手数料や税金によって減る場合がある。
イ 銀行の普通預金口座の利息にも税金がかかる。
ウ 投資の三原則の1つ、「長期」とは概ね1年以上をいう。
エ 投資の三原則の1つ、「積立」の具体的な方法として、ドルコスト平均法がある。
オ 「卵を一つのカゴに盛るな」とは、複利の力の重要性を表している。
カ 「元本保証で年利10%」をうたう投資商品は詐欺と見てよい。
キ NISAとは、投資で得られた利益に税金がかからない、国の税制優遇制度である。
(正解/アイエカキ)
(解説)
ウ 長期とは1年ではなく、概ね20年以上。
オ 複利の力ではなく、分散の重要性。
出題範囲
以上の問題は家庭科の金融教育分野のうち、特に資産運用に関わる一部である。
この他に、成年年齢引き下げ、契約、給与明細、クレジットカード、キャッシュレス決済、72の法則、などを出題した。
採点を終えて
上の問題は全員正解を強く期待していた。
しかし、正答率は
問1 80%
問2 70%
正答率が低い原因として考えられること2点
1 限られた時間の中で内容が盛りだくさんだった。(限られた時間とは50分×5回)
2 授業の8割が一方通行の講義形式であり、受け身の授業スタイルだった。
テスト結果によって教員は生徒を評価するわけだが、同時に、教員の授業力も問われる。
改善策
生徒自身が能動的に学習する時間を増やす。
例 1人1台端末で関連サイトのシュミレーターをさらに活用したり、ゲーム的要素を取り入れたりすること。
授業を終えて
ほとんどの生徒が「お金のこと、もっと知りたい!」という顔つきをしている。
質問や発言も予想以上に活発であった。
授業以外の校務が山積しているため、授業の準備はどんなときも常に大変。
でも授業は楽しかった。
長文お読みいただきありがとうございました。
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