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すべては「好き嫌い」から始まる(楠木建さん講演メモ)

ビジネスにおいては「良し悪し」が優先、「好き嫌い」が劣後する傾向にあるなかで、経営と仕事における「好き嫌い」の復権。がメッセージ。

好き嫌いと良し悪しの違い。

好き嫌い→局所的=文化で普遍性がないのが特徴
良し悪し→普遍的な価値観=文明

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なぜ「好き嫌い」か?を「競争戦略」の観点からの説明。
そもそも競争戦略の基本論理は「競合他社との違いを作る」である。

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「競争」と「競走」は似て非なるもの。
「戦争」は勝者と敗者を決め、「競走」は同じルールのもと競って順位づけをするが、必ずしも「競争」での勝者は一人ではない。
ひとつの業界に勝者は複数存在する
それは、互いにDifferentな立場をとるから。

では、なぜ「好き嫌い」かを「経営センス」の観点から説明。
担当者と経営者の違いは何か。※必ずしも立場ではなくマインドとしての担当者、経営者。
経営者は「商売を丸ごと動かし成果を出す」。担当がないのが経営者。

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(経営者のセンス)×(担当者のスキル)=商売の成果
であるため、どちらも必要であるが、スキルが優先されて、センスが劣後されているのが現状。
そのセンスの源泉は「良し悪し」よりも「好き嫌い」である。

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スキルは外的要因である、インセンティブなどの報酬で磨いていくことができるが、センスに関しては自分の内側から出てくるような動因が必要になる。

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なぜ「好き嫌い」か?を個人の仕事とキャリアの観点から説明。
マイクロソフトのビルゲイツとLINUXのリーナス・トーバルズのエピソード。ビルゲイツは競争が大好きで、ライバルを徹底的につぶしていった。それに対して、Linuxを作ったリーナストーバルズはマイクロソフトを倒したい!などの動機ではなく、ただ楽しいから、というのが動機であった。

それが僕には楽しかったから(邦題)、原題はJust For Fun。という書籍が出ているので、興味ある人は読んでみて、との紹介。

好き嫌いを話すにあたって、趣味と仕事の違いは?というのがある中で、大前提として、「趣味は自分のため、仕事は自分以外の誰かのため」である。
仕事とは、余人をもって替え難い人になること。

好きこそものの上手なれ

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その流れで、「働き方改革」を再考する、という話になり、ブラック企業・ホワイト企業と言い方が「良し悪し」でしか考えておらずに嫌い。と。
例えば、何十時間以上残業があるとブラック企業などと言っても、好きな仕事をしていて、本人が良いのであればブラック=悪い、という言い方はどうなのか。労働基準法などの法令違反をしている場合などは、ブラック企業というのではなく、純粋に犯罪会社(法令違反会社)の方が正確では。

好きな仕事に「負け」はない。
「好き」は命令できない。「好き」は買えない。
多様性の最強の源泉は「ひとりひとりの好き嫌い」である。
カネを出しても買えないものは結果的に力になる。

例として、元マクドナルドの原田さんは、「クライシスが大好き」で、やばい状況ほど燃える。ユニクロ柳井さんは「デカイ商売が好き」で、競争も大好き。新浪さんは「嫌いな奴に嫌われる」のが好き、前澤さんは「競争が嫌い」など、どれも良し悪しではなく、好き嫌い。

では、「好き嫌い」のツボを見つけるにはどうしたらよいのか?

抽象と具体の往復運動

抽象と具体の往復運動をすることが大事。具体的好き嫌いの抽象化と、抽象化されたコンセプトの現実への適用。

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過去の自分の経験などを抽象化していって、そこから仕事のコンセプトを導いて、また具体的な仕事に落とし込んでいく。
楠木さんの場合は、具体的なもの(競争が嫌い、チームワークは無理、、etc)を抽象化していった中で、自分の仕事コンセプトが「芸者」となり、そこから具体的な職業に落として行ったら、
1、シンガー。2、学者。3、個人タクシー。となった。

キャリアの正体とは、
絶え間ない抽象と具体の往復運動で自分の好き嫌いについての理解を深める長い旅。であるという見解。

現在は、「良し悪し族」が多すぎて、「コレクトネス」が過剰なのではないか?

書籍版【すべては「好き嫌い」から始まる。】の抜粋メモ

・ちょっと考えてみれば大した根拠もない論拠もない「コレクトネス」に縛られるあまり、自分の頭で自由に考え、自分の考えに基づいて行動できなくなっている。コレクトネスの奴隷といっても良い。

・当事者が心底好きで面白いと思っていることを突き詰めた結果としてユニークな戦略が生まれる。これこそが商売の大原則。商売の基点にあるのは自由意志であり、戦略は経営者による意思表明に等しい。本来は自由意志、好き嫌いの次元にあるはずの意思決定や行動が安易な良し悪しの基準で切り捨てられる。

仕事の原理原則
①仕事と趣味を区別する。(自分以外の誰かのためにやるのが仕事)
②自己評価は無意味。
③基点にあるのは自由意思。「川の流れに身を任せ」
④計画無用、戦略不要。「良い流れ方を考える」
⑤他人と比較しない。
⑥楽観的悲観主義。うまくいかないと思っていたが、やったらうまくいった

・「価値においてはシンプル、プロセスにおいては複雑」これが儲かる商売の原理原則の1つ。

・売る側の立場で考えれば、自分の売るものを顧客に何と比較させるか、準拠点の持たせどころが商売の1つのカギになる。

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