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「スマホ脳」読書メモ

こちらの読書メモです。

著者は進化論に基づいて人類の脳や体を考え、実際の調査結果などで正しさを実証していく、という形で説明しています。ざっくり内容は、私たち人類の脳や体は狩猟採取社会から変わっていないのに、スマホなどの環境は激変しすぎて、脳や体は追いついていない。その結果、多くの不具合が出てきている。テクノロジーに振り回されるのではなく、テクノロジーをうまく使いこなそう、というような内容です。

まず、人類の歴史を100*100のドット(1万個)で表し、そのうち9500個は狩猟採取社会だったという説明から始まります。つまり、人類歴史のほとんどは狩猟採取社会で、そこでの進化の過程で身についた脳のクセや反応は現代と多くのミスマッチがある、ということです。

例えば、

・強いストレスは獣などに会った時に「戦うか逃げるか」をすぐ判断するのに必要で、そのため心拍数が上がったりする、また生死を分けるため、その時には食欲・睡眠欲・性欲は後回しになる。と。ただ、そのストレスが現代だと慢性的に長く続いてしまう、そうすると、脳のスイッチは常に入った状態で、体や心が落ち着かなかったり、疲労感が続いたり、お腹が不調なったり、などが出てくる。このアラートを無視するとうつなどにもなる。とか。

「火災報知器の原則」で、鳴らないよりは鳴りすぎの方がいい(1回でも鳴らなくて襲われたら死んでしまうから)というのがある。そうすると、常に不安であったり、周りを警戒するような人が生き延びてきた。ただ、その不安やストレスの反応が現代だと良くない状態になっている。とか。

・狩猟採集社会では、果物などを見つけても、あるものは全部食べる人が生き残った。過剰摂取したカロリーは体脂肪として蓄えて、不足時にバックアップとして使用した。そのため、甘いものとか脂肪とかを食べると脳はドーパミンを出して、もっと欲しいとなった。それが当時は生き残る人たちだった。ただ、その体のまま現代になるとミスマッチが起きている。

あとは文中の内容を引用しながらのメモです。

人間は地球上にあわられてから99.9%の時間を、殺人や気が、干ばつや感染症で死んできた。つまり、人間の体や脳は、がんや心臓発作から身を守るようにはできていない。そうではなく、飢餓や干ばつ、感染症から身を守れるように進化してきた。

飢餓に対するバックアップは長い進化で身につけてきたけど、飽食(食べ過ぎ)に対するバックアップはまだないのですね。なので、肥満よる糖尿病や砂糖取りすぎなどの生活習慣病に対しては体は弱い、と。

人間は現代社会に適用するように進化していない。
人類の歴史を1万個の点で表した場合、9500個は狩猟採取時代。

体が全然現代とマッチしていない中で発生している病気が多くある。と。

不安を抱えている人のストレスシステムは常にスイッチが入った状態だ。
危険が現れたらすぐ対処できるよういつでもエンジン全開か、少なくとも瞬時に態勢を整えられる状態だ。その結果、体は絶えず動きたがり、今いる場所から離れようとする。
長期にわたるストレスは、うつを引き起こしかねない。
身体はもともと、食べ物の消化や睡眠、機嫌、セックスへの意欲よりも「闘争か逃走か」を優先させる。その点を理解しておかなければならないのには、もう一つ理由がある。ストレスに深刻な影響を受けた人の多くは、実はそれまでに何度も警告を受けている。不眠、お腹の不調、感染症にかかりやすい、歯軋り、短期記憶の定価、苛立ちなど。なのになぜ警告を無視したのか。
SNSの開発者は、人間の報酬システムを詳しく研究し、脳が不確かな結果を偏愛していることや、どのくらいの頻度が効果的なのかをちゃんとわかっている。

行動心理学などで人間の報酬を感じる脳などをうまく使っているのが、SNSなどである、と。

スマホヘビーユーザーに多いのは、タイプA
タイプA=怒りっぽく、攻撃的なほどの積極性に富み、活動的な性格。で自尊心は低いが競争心が強く、自分を強いストレスにさらしている人たち。
タイプB=おっとりした性格で落ち着いた人生観を持つ人はそこまでスマホ依存していない。
※700人の大学生を使っての調査。

なるほど。

本当の意味で何かを深く学ぶためには集中と熟考の両方が求められる。

これがスマホによって反応は早いけど、それだけになってしまうような傾向がある。と。確かにそれは感じます。

アメリカ精神医学会の3500人に行ったインタビューで、スマホを頻繁に取り出している人ほどストレスを多く抱えていた。一方で遠ざけた方がいいとわかっていても実行できていない実態がある。

中毒になっているとわかっているけど、やめられない、という状況になっています。自分は果たして、、、

他人と競争して負ける、特に地位が下がると、人は不安になり健康を損なう。なのに、現代の私たちは競争ばかりしている。スポーツで競う。数学のテスト結果で競う。SNSでも競い合っている。バカンスに一番珍しい場所へ旅行した人は誰?一番友達が多いのは?バスルームに一番高いタイトルを貼ったのは?どの「部門」でも勝つのはいつも自分以外の誰かだ。

サルの実験などでは、ヒエラルキーの頂点にいるサルはセロトニン(幸せホルモン)が多く、ボスから落ちるとセロトニンが減る、などがあったらしく、人類の生存上、マウントを取る、とかヒエラルキーの上に立つというのは必要だったのかもしれません。ただ、当時は20-30人の集団でのヒエラルキーだったのが、今や世界中と繋がれることによって、いくらでも上がいる状況になってしまっています。そのため、SNSでの比較(無意識の)では、自己肯定感も下がれば、幸福度も下がることになる、とのことです。

SNSに費やす時間が長いほど、その後の数ヶ月間、人生に対する満足度が下がっていた。
SNSを頻繁に利用することで精神状態が悪化するリスクのある人もいる。
神経質で、心配性で、常に不安を抱えている人たち。

結果、人によってはますます幸福からは遠くなってしまう、、、と。

フェイスブックは「自分の周囲の人間のことを知っておきたい」という人間の欲求と、「自分のことを話したい」という欲求で成功した。

自分の周囲の人間を知っておきたいというのは、その方が生存できたから、です。周りが敵なのか、どう考えているのか、そういったことを知っている人間が生存してきました。
人間は他の動物と違って、協力しないと生き残れない生物です。その中で、周りの人間を知る、というのは非常に重要な点でした。

また、自分のことを話したい、というのも、自分のことを話すことで、周りとの絆を深めて、信頼関係を作って協力していく、と考えると、生存する上で必要な能力だったのでしょう。

その2つの進化の過程で身につけたクセをうまく使っているのが、SNSになります。

そのSNSによって、多くの精神疾患、集中力の低下、中毒症状などが発生してしまっていると考えると、どうスマホと付き合うかは本当に大事ですね。

調査論文では、「フェイスブックは表面的には、人間のソーシャルコンタクトへの本質的な欲求を満たしてくれる貴重な場である。しかし、心の健康を増進するどころか悪化させることを調査結果が示唆している」
SNSのプッシュ通知やチャットの着信音がどれも似たような音なのも偶然ではない。友達がチャットを送ってきたと思わせ、社会的な関わりを求める脳の欲求をハッキングしているのだ。

そして、天才のような頭脳を持った人たちが、最新の心理学などを駆使して設計したスマホに対しては私たちはなすすべなく、思い通りにクリックしてしまっているのかもしれません。

インターネットは深い思索を拡散してはくれない。
表面をかすめて次から次へと進んでいくだけだ。目新しい情報とドーパミン放出を永遠に求め続けて。

こうなっていないか、気をつけないと。

私たちの祖先の99.9%にとって、食べ物、安全、見通せる未来といったセーフティネットは、日常に存在しなかった。今のような余裕のある環境に、自然はまだ人間を適応させられていない。
テクノロジーは好き嫌いに関わらず受け入れるしかない天気とは違う。
テクノロジーの方が私たちに対応すべきであって、その逆ではないはずだ。

これは本当にそうですね。

そんなスマホに対して、どれだけうまく付き合っていけるのか、というのが今後の我々のテーマですね。使わないという選択肢はなかなか無いので、その中でいかにコントロールできるか、大事だと思います。

そして、最後にいろいろなアドバイスが書いてあり、それで終わりとなっていました。どこまでできるか、それは考えたいですね。

デジタル時代のアドバイス
・自分のスマホ時間を知ろう(どれだけスマホに時間を奪われているか知るために)
・目覚まし時計と腕時計を買おう(スマホ使わないために)
・毎日1-2時間、スマホをオフに
・プッシュ通知も全てオフに
・スマホの表示を全てモノクロに(色のない画面の方がドーパミンでない)
・チャットやメールの時間を決めよう
・友達と会っている時はスマホをマナーモードなどで遠ざけ、一緒にいる人に集中しよう
・あなたがスマホを取り出せば周りにも伝染する
・スクリーンタイムを制限
・スマホやタブレットの電源を切って寝よう
・スマホを寝室に置かない、もしくはマナーモードで寝る
・どんな運動も脳には良い
・SNSは積極的に交流したい人だけフォローしよう
・SNSは交流の道具と考えて(積極的なコメントはOK)


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