「純粋機械化経済ー頭脳資本主義と日本の没落ー」読書メモ

純粋機械化経済というのが少し硬い感じがしましたが、AIが普及した近未来、どうなるか日本、資本主義は、といった本で読み応えありました。

要約していこうとするとかなり大変なので、自分が覚えておきたいフレーズ中心のメモです。
すごいざっくりいうと、AIがより汎用性を持ってきたら、一部のエリートのみが必要で、その他の人は不要という頭脳資本主義になってくる。そうなると日本は今以上に没落する。格差も広がる、覇権は中国?、日本はベーシックインカムのようなものしかないのではないか?という話ですが、かなりの大作でなるほどと思える部分が多かったです。

ガンジーによれば、近代文明というのは要するに機械文明であり、その機械が人々を怠けさせて不健康にするとともに、ワンタッチでの大量虐殺を可能にしている。ガンジーが敵視するのは、力織機のような産業革命以降に現れた動力機械だ。それは人間をエンパワーするとともに、その巨大な力でもって他の人間を踏みにじる。
一方で、チャルカ、糸車のような人の労力を必要とする機械については、むしろ肯定的だった。「働かない日に食べるパンは、盗んだパンである」とまでいって、怠惰を自らに戒めていた。

働かざるもの食うべからずという価値観は日本でも強くあると思います。同意する一方で、今後BI(ベーシックインカム)などが入ってきた時には、この価値観がかなり邪魔をするのだろうな、と。
ただ、ここでの「働く」というのは、「お金を稼ぐ」とは別です。例えば、自分が食べる分の野菜を作るのも働く、だろうし、ボランティアなどで人のために動くのも働く、でしょう。一方で、FXなどでマネーゲームでワンクリックで大金を稼いでも、それは働く、だとは思いません(僕は)

昔は、野菜を作って働く、家を作って働く、などの実際のものとリンクしていたのでしょうが、最近のマネーゲームのような投機については働くではないと感じます(投機的なのはたまにしてますが、、、)それは、稼ぐ手段ではあるにしても、ゼロサムゲームでパソコンに長い間張り付いて短期筋で稼ぐようなやり方は、ガンジーのいう仕事では決してないです。

このガンジーの言葉は、働くとは何か?というのを改めて考えさせてくれます。

ハラリは「サピエンス全史」で、現生人類は虚構を作って大勢で共有する能力によって、ネアンデルタール人などの他の人類種よりも繁栄したと述べた。国家や法律などの共有された虚構がここでいう社会的領域だ。

お金も集団幻想であれば、国家や法律も虚構ですし、その虚構を全員が信じているから社会が成り立っていますね。
虚構を大勢で共有する能力。というのは面白い表現です。

17世期オランダの哲学者スピノザによれば、人間が何かの意思をもつにしても、それには原因があって、原因にもまた原因があるので、結局人間の意思は因果の無限の連鎖に連なっているにすぎない。
この連鎖をずっと遡行していけば、いつかは遺伝か環境という私たちの精神の外部に行きついてしまう。私たちの全ての振る舞いは遺伝か環境によって決定されるか、さもなければ偶然によって決定される。

これは、人間には自由意志というものはあるのか?というくだりでの話ですが、幸福研究などをしている前野隆司さんも同じこと言っていますね。
自分が手を動かそうと脳が信号を発する前に、すでに動いている、というような反射で人間は動いていて、意思があるのではない、という仮説。
人間はアルゴリズムであるという考えや、利己的な遺伝子にあるように、人間は遺伝子の乗り物であるというような考えですね。

自由意志がない、といわれてもピンとこない人が多いと思うので(僕もですが)あると思う時はある、で、これは遺伝と環境のせいだ!としたい時は自由意志はない、でいいんじゃないかと思ってます。

自己責任論が他の先進国よりも力を持っている今の日本では、自由意思説が否定された方が人々はより解放的かつ幸福に暮らせるようになるのではないかと想像している。

確かにー、自己責任論は、強者は適用すれば良いけど、弱者には適用すべきではないし、それによって窮屈になってしまうぐらいなら、自由意思はないんだー、という方が楽だし、幸せですよね。

そもそも人間の根源的な価値は、自由意思を持っていることや、自分で意思決定できること、役に立つ仕事ができることなどにない
人間の価値はその能動性にではなく受動性にある。悲しんだり喜んだり、痛みを感じたりすること、つまりクオリアをもつことにこそ人間(生命)の価値がある。

いい言葉。人間の価値はその能動性にではなく、受動性にある。明らかに資本主義が行き過ぎていると感じる今日この頃、こういった考え方や、価値観を共有できる人が増えてくると良いです。

農村社会から工業社会に変わる時は、工業社会で新たに生まれた冷蔵庫、テレビ、などを生産するための労働者の需要が増大し、農村での余剰人員を吸収した。ところが情報社会では、事務職で生じた余剰人員の多くは、ハイテク分野には転職できず、介護や清掃などのローテクな仕事に従事するようになる。いわば労働移動の逆流がおきている。

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こういうことのようですが、まさにそうですねえ。。。日本は人手不足っていっても、肉体系は不足しているのでしょうが、いわゆるホワイトカラーの職業は一部の超優秀な人たちは引く手数多、そうじゃない人は不要。になってきますね。

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分かりやすい。

中間所得層にいた人々が低所得層に移り、低賃金化するということ。

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いわゆるエレファントカーブと呼ばれている、ここ最近全然報われていない先進国中間層が、今後も報われない。。。その帰結として、トランプ大統領誕生につながる、、、でも結果もあまり変わらない。
この先進国中間層の人たちが、知的労働でより高い報酬を得られるか、ホスピタリティ系にいくのか、はたまたこの資本主義の競争から外れるというところを目指すのか、、、

時脳資本主義においては、頭脳を振り絞って稼ぎまくるか、そうでなければ頭脳を使わずに体をほどほどに動かす安い労働に甘んじるしかない、。平均は終わったのである。
残る仕事は、
・クリエイティブティ系(創造性)
・マネジメント系(経営・管理)
・ホスピタリティ系(もてなし)

平均は終わった。。。でしょうね。

狩猟採集社会においては、バンド(生活をともにする集団)内でおよそ平等が保たれ、バンドの出入りも比較的自由だった。農耕の開始によって蓄積が可能となり、より多く蓄積した者が支配者となった。農耕技術は、特定のものだけをエンパワーし、多くの人々を被支配者の地位に貶め、階級が分化した。

歴史を遡ると、狩猟採集社会から農耕社会になってから格差が生まれた。と。人口は劇的に増えたが、格差は広がり、1人あたりの食糧も大変な状態が続いた、果たして進化とは何なのか、、、面白い。。。

農耕の開始が不合理であるにも関わらず成されたのは、農耕民の方が戦争で優位であるというのが最も有力な説であろう。狩猟採集よりも農耕の方が多くの人々を養えるのだから、人数の少ない狩猟採集民は軍事力の面で圧倒される。

自然状態になると、闘争とか起きちゃうんですね。これもまた人間の本能なのか、、、こういったのを見ると世界が平和に近づくことはあっても、完全な平和というのはちょっと現実的じゃなさそうですね。

人間は根本的に不合理な傾向を持っており、自分をより幸福にしようと振る舞うよりも、欲望を満たすことを優先する愚かしさを持っている。

うーーーん。。

AIとBIによって資本主義を極限まで推し進め、純粋機械化経済を実現させれば、脱労働社会を作り上げることができる。それこそが最大限に自由と平等を両立し、あらゆる人々が幸福に生きられる社会ではないだろうか。

いい理想ですねー、個人的にはこういう世界に近づくのではないかと思いますが、その過程での大格差や大きな問題に直面しそうですね。なので、今は過渡期でもっとひどい格差になって、どこかで限界を感じて変わっていく、と。

私たちはなすべきことではなく、したいことをするようになる。仕事をしたいから仕事をする、勉強したいから勉強する、遊びたいから遊ぶ。

人間は遊ぶ生き物である。ホモ・ルーデンス。ですね。これからはそういう時代になるとは思います(過渡期で厳しい状況になったとしても)

GAFAなどの巨大IT企業の税逃れなどと並んで大きな問題なのは、そもそもITに基づいて展開される彼らのサービスが、世の人々の暮らしぶりを向上させないケースがあるということだ。アメリカのピッツバーグ大学ブライアン・プリマック教授らの研究によれば、フェイスブックなどのSNSを閲覧すればするほど人々の幸福度は減少し、うつ病が増えるという。
あるいはまたアマゾンが躍進すればするほど小売業者は倒産に追い込まれるのである。

それな!(←使い方がいまいち分からない、、、)

21世期には、私たちは新しい巨大な非労働者階級の誕生を目の当たりにするかもしれない。経済的価値や政治的価値、さらには芸術的価値さえ持たない人々、社会の繁栄と力と華々しさに何の貢献もしない人々だ。この「無用者階級」は失業しているだけではない。雇用不能なのだ。ホモデウスより。

雇用不能なのだから、好きなことして生きられればいいじゃないの。というような、BIの世界になるのでしょう(いつか)

ただ、その際に、楽しくもない仕事をして人生を過ごした人は、どうやって過ごして良いのか分からなくなりそうです。いかに人生を遊ぶか、楽しむか、分からなければ考え続けるか、いろいろ行動するのか、それぞれ考えましょう。

人生を充実させるには、人・本・旅。という出口さんの言葉、この3つは本当に大事な3要素なんじゃないかと思います。

先日友人結婚式で宮古島行ってきましたが、すごい良かった。


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