「知ってそうで知らなかった、ほんとうの株のしくみ」読書メモ
しっかり考えきって投資などをしていない僕からすると、しっかり考えながら投資をしようと改めて思える本でした。分かりやすい。いかに自分がまだまだど素人の域を出ていないのかを改めて実感しました。
自分の投資用メモですが、非常に参考になる本です。
企業の価値の概算算出の仕方
基本原則は「企業の本質価値を見抜き、これより圧倒的に安いお買い得価格で株(会社)を買う」こと。
そのためには、まず株(会社)の価値を見抜くこと。ポイントは2つ。
①企業は丸ごと評価すること
②企業の価値は、「その企業の事業の価値」と「もっている財産」を足したもの。
※会社を丸ごと買う気がないのなら、たった1株でも買ってはいけない。
株の価値の算定のしかた。ラフな感じのもの。
①「事業価値」を見積もる
②「財産価値」を見積もる
③負債(借金)を引く
④発行済株式数で割って1株の価値を出す。
試しにガンホーでやってみる(2020年10月17日現在)
必要情報
①営業利益(3期平均で考える)300億。(ざっくり)
※明らかなダウントレンドなどは要注意。落ちた理由は?
②流動資産、流動負債、投資その他の資産合計。全てB/Sから
③固定負債(B/Sから)
④発行済み株式数と現在の株価
計算ステップ
①事業価値=営業利益を10倍にする。(ガンホーの場合3,000億)
※株式期待利回りを6%程度として、税率40%で計算すると、ざっくり10倍になる。営業利益10億の場合、税金4億、最終利益6億とすると、6億/6%(期待利回)=100億(ざっくり事業価値となる)
※自己資本比率が高ければ期待利回り9%、低ければ5%など。
②財産価値=流動資産ー(流動負債×1.2)+固定資産の「投資その他資産」
財産価値=[流動資産の中の財産部分]+[固定資産の中の財産部分]
流動資産の中の財産部分=流動資産-(流動負債×1.2倍)
上場企業の流動比率の平均は1.2倍であり、それ以上のものは財産価値とみなそうという考え方。「例:毎月カード引き落としが20万あるから、銀行口座と毎月の給料を合わせて少なくともその1.2倍の24万円は必要。でもそれ以上のお金はうちの財産といっていいよね」
固定資産の中の財産部分=固定資産のうちの「投資その他の資産」
事業に必要な現金以外を使って、他社の株式買ったり、定期預金したりしていて、会社の蔵で寝ている。
ガンホー財産価値=950億-(133億×1.2倍)+57億=733億
③負債を引く(固定負債)
企業価値=事業価値(3,000億)+財産価値(733億)
ここから固定負債9億を引く。と3,724億。が株主価値(概算)
④発行済株式数で割って1株の価値を出す。
発行済み株式数=9,521万株。
3,724億を9521万株で割ると、、、3,911円
現在の株価が2,150円ぐらいなので、これだと買いとなる。
ガンホーというパズドラ大ヒット、その後大暴落、パズドラでの稼ぎのキャッシュリッチだけど今後は?みたいなものなので、これですぐに買いだ!とはならないものの、ざっくり自分でどれぐらい株が割高・割安なのかを見れるのはいいです。
そして、出した価値と株価の差が大きい部分を安全域といい、そこが大きい方が余裕がある。と。海岸で、波が引いたり満ちたりするところで、できるだけ陸地に近いところにいる方が水に濡れない。と。
価値の「源泉」を見抜くには?
財務や会計から出てくる数値は、単に会社が過去に生んだ業績という「結果」にすぎない。将来の結果を予測することはできない。
利益の源泉を見抜く4つの質問
①その企業は「なに」で稼いでいるのか?
②「なぜ」稼げているのか?
③今後、稼げる仕組みに変化はあるのか?
④これから「いくら」稼げるのか?
まずは、過去の業績を見て、
①その企業は「なに」で稼いでいるのか?をつきとめ
②「なぜ」稼げているのか?を分析し
③今後、稼げる仕組みに変化はあるのか?を知るために、その業界の今後の動向を見抜き
④これから「いくら」稼げるのか?を予想し、企業価値を算出する。
【なにで稼いでいるのか?】
公開情報では、①事業別 ②地域別 ③顧客別 ぐらい。
【なぜ稼げているのか?】
企業の価値の源泉は通常たった1つしかない。(ホットボタン)
「その会社の強みを一言で言うと、、、」で言えるぐらい絞る。
利益を上げる企業の勝ちパターン
①市場の魅力度(需要の伸び・競争の少なさ) パイ全体の増加
例:今後格差拡大→知識と知恵重要→そういった教育を提供する企業とか
格差拡大→犯罪誘発→セキュリティ企業や富裕層向け住宅・医療関連
国産業構造(タイムマシン経営)、規制産業(崩れた時に大リスク
②ビジネスモデルの有望度 パイの切り方
「高い利益率を確保できるモデル」
・多くのことをうまくやる企業(高い業務効率)
・他に任せる企業(FC、ネットワーク)
・誰もできないことをやる企業(知的財産)
・信頼が厚い企業(ブランド・ロイヤルティ)
「どこまで横展開できるか」
・同じ顧客に違う商品を売り込む(アマゾンとか)
・違う顧客に同じ商品を売り込む(P&Gとか)
いまの成長率ではなく「成長がどのくらいの期間持続するのか」を見る
高い利益率を維持したまま「どこまで横展開を図ることが可能か」を見る
目をつけるべき投資先「小型・割安・成長株」
仕込み時は、、、上場後しばらく経って(2-10年)、市場から忘れられて株価は低迷しているけれど、企業自体はせっせと事業を成長させているとき。
良い投資先とは、「その価値に比べて割安な企業」
95点とった人が次100点とるのは難しいが、20点の人が50点とるのは簡単
なぜ株価は上がるのか?
株式投資とは、価値と価格の差を人よりも早く見抜くゲーム
ではなぜ、市場で価値と価格の差が生じるのか?
①知っている人と知らない人の差がある(情報格差)
②株式市場が合理性でなく感情で動いている(感情バイアス)
価値と価格の差を見抜くことが投資の本質であるなら、「不安」や「悲観」という状況は、利益を上げるためのチャンスに他ならない。
株価は、短期的には相場のムードや企業の人気によって上下動するが、中長期的には株主価値に収斂する。
株売却のタイミング
①銘柄選択を間違えた時(価値分析間違い、経営問題などで価値破壊)
②投資先の割安度が低くなり、かつ他の有望銘柄が見つかった時
売ったら当面投資を休み、相場が冷えてきたら新しい投資先を見つける
株価が上がるきっかけは?
割安に放置された会社の株価が上がるためには何らかの材料が必要で、この材料(ストーリー)をカタリスト(触媒)と言う。
代表的なカタリスト
①増配(ただ、増配の株価上昇はトリック、タコが自分の足を食べる)
②優待の充実(投資家を釣るアメ、モノよりお金がいいのでは?)
③自社株買い(企業が自分自身に投資、市場へのメッセージ)
④IRの充実(語る企業は理解される)
⑤新製品・新事業展開(投資家は新しいモノ好き)
⑥上場(鞍替えなど)
⑦M&A(買収という名の起爆剤)
⑧分割/最低投資単元の引き下げ(小分けで売れば買われやすい)
⑨マスコミの影響(マスコミの影響は短期)
投資判断の際には、割安度を重視して、「株価が上がる!」というストーリーに期待しないようにする。
良い投資先の条件
①価値と価格の差が大きいこと(安全域が広い)
②価値と価格の差が解消されるまでの期間が短いこと(回転早い)
フクロウ投資家(バフェットさんもここ)
株価割安時に買って、じっくり待つ長期投資スタンスの人
キツネ投資家(デイトレーダー、高速取引)
買いたい人と売りたい人のギャップに利益を求める投資家。
市場参加者の心理や、隙をついて稼ぐ。
ヒツジ投資家(フォロワーの完全ダメな人、株はギャンブル)
人の勧めで株を買い、儲かったり損したりで喜怒哀楽が激しい
ライオン投資家(投資の世界のプロたち)
物申す株主とか、買収ファンドとか、プロたち。
「感情の罠」にはまらないために
損するパターン
「根拠がなくて、自分の買値に自信が持てない」
感情が「後悔を避け、プライドを守る」というように働いている。
①常に冷静に企業の価値に基づいて投資判断をすること
②感情的な行動が損失を招くことに対する理解を深める
「価値と価格に差があること」
「それが修正されるストーリーがあること」
この2つの根拠があれば株を買う。
投資に役立つ7つの習慣
①株価が「上がるか下がるか」を予測するのではなく「割安かどうか」に着目する。
②意見ではなく、事実に基づいて判断する。
割安度(BS健全性、事業有望性)、経営力、価格修正ストーリー
③結果ではなく、その裏にある原因を見つめよう。
世の中の因果関係のパターンをたくさん知り、より本質に近づくこと。
④全てを知る必要はない。価値の「本質」を見抜こう。
企業が価値を生み出す源泉は何か?を問い続ける。
⑤投資は手段ではあって、目的ではない。
常に投資し続ける必要はない。割安な投資先が見つからない時は、投資自体を控えた方が良い。
⑥毎月最低収入の1割を証券口座に振り替える
⑦謙虚に学び続ける姿勢を持つ
感情の罠の代表例は、「株価下落時の不安」「短期ハイリターンの欲望」
株価が下落が続くと、株を買った時の自信はみるみるなくなっていく。
逆に株価上昇時の浮かれ度合いも高くなる。
もっともうまくいく投資は、もっともビジネスライク(合理的)に行われるものだ。ーピーター・リンチ
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