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「資本主義の方程式」読書メモ

この本のメモです。
途中の章は方程式や図表での説明が多く、少しアレルギー反応が出てしまい、読み飛ばした部分も多かったです。

資産選好というお金があるだけで嬉しい、というマインドが成熟した経済において、格差拡大、デフレ不況、などの問題を起こしている、改善には富裕層が自覚して良いお金の使い方をすることや、政府の再分配が重要、という本です(勝手な解釈で)

資産選好
お金が増えても経済が低迷し続けるという現象は、従来の経済学では考えてこなかった資産選好によって説明することができる。
資産選好とは、人々の持つお金や資産そのものへの執着心である。
そもそもお金を何に使ったらいいかを判断する知恵が必要になる。人間は食べることのできる量にも着ることのできる量にも限界があるため、必需品が満たされると、それ以上にお金を使うことは難しくなる。その場合、新たな使い道は、観光や芸術、スポーツなどの余暇や趣味の領域に広がっていく。
これは同時に、消費をするのに調査、研究、訓練が必要になって、消費という行為が面倒になることを意味する。

成熟した経済では、必需品が満たされて、欲しいモノがない。というのが今の日本であるとするなら、それが芸術、音楽、スポーツなどの文化や余暇、趣味に向かっていくところですが、その楽しみ方の訓練をしてこなかった我々はうまく楽しめず、結果、消費するより貯めてしまえ、となる。。。。

余暇やレジャーまでもが広告などでこう楽しむべきというようになってしまいがちなので、そういった資本主義のパワーに呑まれずに、楽しむ方法をしっかり訓練していかないといけない時代ですね。

生まれた時から必需品は十分にあるような若者世代は消費することに比較的興味が薄いのかもしれないですし、その代わりに社会のために、というような素敵な志を持った人が増えている気もします。社会起業家などを筆頭に。

いくら持っていてもコストなしに巨大な自由を手にすることができれば、具体的に使うアテがなくてもカネを持っていたいと思う。実際、生活に必要な金額以上のカネがあっても、人々は簡単には他人に譲ったり、政府に渡して公共のために使ってもらったりしようとは思わない。このような欲望が資産選好である。

お金というのが簡単に保存でき、減りもないのであれば、使わなくなる気持ちは出るでしょうから、資産課税や腐るようなお金、といったものがないとなかなか変わらなそうですね。

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この図はわかりやすかったです。今の日本は成熟経済で、デフレになっていたり、株価や不動産だけがバブルになるような状況が説明されてます。

同じ人間であっても、親に財力があった、たまたま良い仕事が見つかった、などの単なる幸運によって、初期に多くの資産を手にすれば、その差はどんどん広がっていく。つまり、資産格差は自己責任ではなく運だということになる。

努力して成功した人も、時代や場所が違っていれば同じ努力をしても全く報われなかったこともあり得るので、うまくいっているなー、と感じている人は、自分の努力のおかげだ!ではなく、たまたま運が良かった、というような謙虚な考えが良いですね。自己責任だらけの社会はやはり生きにくい。。。

この本を読んで思うことは、日本のような成熟経済の国では、供給と需要のような昔の経済学の方程式は通用しない、というのはその通りだと思います。

「ビジネスの未来」の山口周氏が言うように、ビジネスは歴史的役割を終えて、高原社会に到達したのではないか、という指摘通りだと思いますし、方向性は違えど、言っていることは似てます。

そして、それをさらに自分ごとのところまで落としてくると、、、

・資産選好が強い成熟経済では、株価や不動産などが実体経済とは離れて、上がっていきやすい。
・欲しいモノがない人が多くなっても、資本主義は無限の拡大・増殖を目指すので、欲しいものを産みだそうとする。広告などを通じて、「もっとこれがあると幸せになれる」とアプローチ
・行き場を求めたお金がより希少性の高いものに集まりやすい(ロレックス、エルメスなどのブランドの高騰、NFTなどで唯一性などを担保できる仕組み)
・余暇の楽しみ方を知らない人は資本主義の「こうして余暇を楽しみなさい」に呑まれて、余暇なども消費するだけになってしまう(仕事で疲れて、その解消にお金を使って、またそのお金のために働くというサイクルに、、、)

という中で、どうしていくのが良いのかを考えると、、、

①実態経済と乖離した資産価値は上がりやすいので、その恩恵を受けるべく、株式投資などはしておく(つみたてNISA、世界株連動、米国株連動、手数料やすいEFTメイン)

②自分の消費が広告や資本主義に踊らされたものではないか、をしっかり意識しながらお金を使っていく(油断すると資本主義に呑まれる、と思うぐらい。)資本主義は私たちの幸せを目指すのではなく、無限の拡大・増殖を目指すものである、と認識する。

③余暇、遊び、などをしっかり楽しむ訓練をする。音楽や芸術などだけではなく、例えば日常の風景や、日常の食事なども。出口治明氏が人生で大事にしていると言っていた「人・本・旅」は個人的にもとても共感するので、それも充実させる。

こういったことが良いのかなと思います。

資本主義をうまくハックしつつ、資本主義に呑まれないように、そこからはみ出ても充実した生活が送れるようにする、そんな感じでしょうか。



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