「命の経済」読書メモ

ジャック・アタリ氏の新刊です。

関西に仕事で行き、1,000円分の地域共通クーポンもらい、帰りの新幹線で読む本を探してて気になったので買ってみました。

死に意味を付与することに成功すると、その文明は繁栄する。逆に、死に意味を見出すことができないと、その文明は消滅する。

過去の人類の歴史で何回もパンデミックは起きていて、それをきっかけに大きな文明転換なども起きています。気候変動によって人類が移動して文明が広がっていくように、地球が及ぼす大きい変化によって人類の文明に変化が起きていることを考えると、今回のパンデミックがどのようになっていくのか、しっかり考えたいです。

割とさらっと読める内容だったので、その中で気になったフレーズメモです。

未来からの逃避。
何もしなければ、危機後の世界は金持ちの生活様式に有利に働く。そのため、庶民の生活費はかさみ、庶民は固まって暮らし、金持ちは自らを特別視して庶民と交わろうとしなくなる。公共交通機関での移動には時間がかかるようになり、旅行代は高くなり、海水浴へ出かけるのは難しくなり、健康によい食材も値上がりするだろう。

世界が不平等になっていった後に大きな衝撃でまた平等が起こる、というのを平等化の四騎士という表現で表している本がありますが、その四騎士は「戦争」「国家破綻」「革命」「疫病」です。これは誰にも等しく関わってくる、とのことでしたが、今回のパンデミックでは等しくなかったですね、、、アクセスできる医療の違い、免疫に関わる知識、食べている物の違いや健康格差、、、

現在の危機が発生したきっかけは間違いなく、自然への敬意を欠いたことにある。野生動物や絶滅危惧種の生物を食べたからだ。また現在の危機は、人類のあらゆる活動を人工物へと徐々に変化させてきた動きが加速した証でもある。互いに疎遠になった人類は、自分たちが機械を操る側だと信じながら、反対に、どんどん機械の付属品のような存在に成り下がっている。
変化し始めた人々の価値観
一部の人々は、過剰なぜいたくなモノを買うことは人生の目的ではないと考えるようになった。モノを買うために働くのではなく、何か別のことに時間を費やすという、これまでよりもはるかにささやかな生活モデルこそが、より大きな幸せの源泉になると考えるようになったのだ。
結局のところ、この危機の最中にわれわれが真っ先に悟るのは、大切に扱うべき唯一のものは時間だということではないか。時間、それも心地よい時間こそが、本当に希少かつ価値をもつということだ。
日々の時間は、不安や浅はかなことに費やすべきではない。
個人の時間は、健康のために投じる資源を増やすことによって引き延ばすべきだ。学んだり自分自身を見出したりするためにより多くの時間を割くこと、つまり「自己になる」姿勢を模索することによって、個人の時間はこれまで以上に豊かになる。
働く時間は、単に稼ぐためでなく、創造的であるべきだ。
工業化された集約畜産、狭い環境での動物の飼育、不衛生な食肉処理場や生鮮市場などは、多剤耐性菌の発生を促す。特に食肉処理場では、これらのリスクにさらされやすい。より一般的に考えれば、動物界の健康なくして人類の健康もないといえる。

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