『「依存症ビジネス」のつくられかた。僕らはそれに抵抗できない』読書メモ

人間の行動心理や、気づかぬ内に依存してしまうような仕掛け、など知っておいた方が良い事例や考え方などがありました。
人生の主導権を自分側でしっかり持って主体的に生きていこう、と思う際には自分自身がこういったことに陥りやすい、そうならないようにするにはどうしたら良いのか、などの気づきを与えてくれます。

思考停止に陥らないために、自分でコントロールしながら生きるために覚えておきたい部分をメモします。

テクノロジー自体は、道徳的に善でも悪でもない。問題は、そのテクノロジーを生み出す企業が、大衆に積極的に消費させることを意図的に狙って開発し、運営していることだ。

この大前提をしっかり認識した状態で、物事を見ていきたいですね。少しナナメに見るイヤなやつに思われてしまうかもしれないけど、、、
でも大企業になればなるほど、僕ら個人の顔などは分からず、いかに買わせようか、消費させる、お金を使わせるということを考えているというのは認識する必要がありますね。そもそも資本主義は、生産して、消費させて、利益を得て、拡大再生産という流れなので、消費させるというのは資本主義においては絶対に必要な1つなので、、、、

2004年のフェイスブックは楽しかった。
2016年のフェイスブックは、ユーザーを依存させて離さない。

純粋だったサービスが、オトナの都合などが入ってくるサービスに変わっていくとこうなるんですかね。深夜番組だと面白かったのに、ゴールデンになると急につまらなくなるお笑い番組のような、、、

行動嗜癖には6つの要素がある。
①ちょっと手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標があること(目標)
②抵抗しづらく、また予測できないランダムな頻度で報われる感覚(正のフィードバック)
③段階的に進歩・向上していく感覚があること(進歩の実感)
④徐々に難易度を増していくタスクがあること(難易度のエスカレート)
⑤解消したいが、解消されていない緊張感があること(クリフハンガー)
⑥強い社会的な結びつきがあること(社会的相互作用)

これは覚えておきたいですね。この要素をうまく入れることで、ユーザーを依存症にさせる、、使い方次第ですね。良い方向に使えると、いい武器になるので、メモしておきたい要素です。

依存症を指す「addiction」という言葉の語源を辿ると、古代ローマでは「奴隷となる宣告を受ける」という意味だったのだ。この言葉が進化して、虜になる。つまり断ち切り難い熱中を指すようになった。

依存するということは、奴隷となること、ぐらいの強い意識を持って、自分を奮い立たせて、依存させようとするサービスや商品に抵抗しましょう!

人生を達成すべき小さなマイルストーンの連続と考えるならば、あなたは「慢性的な敗北状態」でこの世に存在していることになる。ほぼ常に、目指す偉業や成功にまだ達していない自分として生きていることになるからだ。そして目標にたどりついてしまえば、生きる意味をくれるものを失った自分になるだけ。だから新しい目標を作って、また1からそれを追いかけていく。

なるほど、そういう考え方。。。
小さな目標を達成し続けるというのは良さそうだけど、慢性的な敗北状態というのは、深い部分でネガティブなものを持ってしまいそうな。。。

トレーダーなどが超富裕層になってもさらに上を見ずにいられないのは、「自分の仕事と真の一体感を感じていないからではないか?」とポルク(元トレーダー)は考えている。
仕事に心底から打ち込んでいる時は、お金という数字を追いかけなくてもやっていける。だが、仕事で充実感を得られないなら、生活がかかっている仕事への意欲を維持するために、目の前に目標をぶらさげておく必要があるのだ。それよりも、こまめに手応えを得ていく働き方の方が大事だと考えている。

ブルシットジョブと感じると、お金を求める以外にモチベーションが上がらないのでしょうか。お金という手段が目的化しちゃうし、結局そこでの充実感、幸福感は得られないのでしょう。
自分にとって幸せとは何か、意義のある人生とは、やりたいこととは、明確な人は羨ましいし、分からない人は考えたり、いろいろ試したりが必要な時代ですね。

順風満帆な生活は表面的には魅力的に思えるが、その魅力はすぐに色あせる。人間は誰でも、ある程度の範囲で敗北や困難や試練を必要としているのだ。それが、一切ない状態では、成功のスリルや喜びも、勝ちを重ねるごとに薄くなる。

結局、お金を稼いでアーリーリタイアしても、だらだらするのは飽きて、新しいビジネスや、社会活動などをするのには人間のこういった特性があるのでしょう。

自分の嗜好が承認されるのは嬉しいものだが、ときには外れるのも、それはそれでまた嬉しいものだ。自分が特別だという意味になる。だいたいはみんなと一緒で、ときどき自分だけ特別ーという、この2つが一番バランスで感じられる状態のことを心理学では、「最適相違」と呼ぶ。

だいたい一緒でときどき特別。なるほどー!言われれば!
ブランドなんかも、こういった心理うまくついている気がしますね。

「苦労の摂取効果」とは、電話番号を覚える、長い日曜の午後に何をすべきかを考えるなど、頭を働かせる経験をしていると、病気の予防接種と同じように、のちのちの精神的苦難に対して免疫ができるという考え方。

苦労は買ってでもしろ、とか、有り難いは「難が有る」とか、そういったことですね、そういうことはしておいた方が後々いい。

社会心理学者のスーザン・フィクスの研究は、人間は認知的にケチであることを明らかにしている。守銭奴がお金を使いたがらないのと同様に、頭を使いたがらない。
それどころか「それがわかれば充分」という程度までしか、頭を働かせない傾向がある。これは進化の観点から見れば筋が通っている。思考するというのは一種のコストになるからだ。

人間の愛すべき怠惰さが現れてますね。そのダメさをカバーするのが理性であり、学ぶという特性であり、なんかこういったダメな特性があるの好きです。

そもそも人はなぜ、どのように、いつ行動嗜癖になるのか、そしてどうすればそこから抜け出せるのか、自分自身が理解しなければならない。

自分は大丈夫!じゃなく、気づかない内にそういった依存症になっているのかも、と疑いながら受け入れて、対応していく必要がありますね。

「歴史の終わり幻想」
大人は過去を振り返って、今は昔とはだいぶ変わったと感じる傾向がある。現代では、物事が昔より急速に進むようになった、昔はもっとお互いに話をしていたし、時代は今よりずっと単純だった、、、というように。ところが、過去とは多くのことが違うと感じる一方で、これからの自分はずっと変わらずにいられると信じ込む傾向もある。そう考えてしまう一因は、10年前と現在の違いは具体的に把握しやすいのに対して、10年先の変化を想像するのは難しいからだ。

なるほどー、「昔はよかった」「最近の若いモンは」というのは絶対に言わないようにしていますが。そう思ってしまうのは人間の心理傾向なんですね。

この本からの学びは、

①世の中の企業(特に大企業、テクノロジー系)は人間の特性をうまく理解して、うまく仕掛けてくるので、負けずに戦っていきたい。

②人間の特性、自分の傾向というものが無意識化でも強く作用することを認識して、自分を過信しないようにする。

③人間特性をうまく活用して、自分が良いと思っている仕事や活動に生かせるようにしたい。

依存症ビジネスというのが非常に強力なものだと思う一方で、それを誰が扱うのかというのは重要であり、道徳心や倫理観が非常に重要だと感じます。現在の資本主義も行き過ぎないこと、理性というブレーキをしっかり持つことが重要だと感じます。

道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である。(二宮尊徳)

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