「行動科学と投資」読書メモ

投資関連や資産運用など、お金関連の本を読むのも好きなのですが、この本は結構納得のいく内容だったので、要約とメモ書いていきます。

お金関連で言うと、あくまでロジック中心で感情を排除していくような内容と、一方で引き寄せじゃないですが感情をお金に乗せていくような内容の両方あります。

お金全般については感情をのせるのでも良いと思うのですが、(お金に感謝する、出ていくときにありがとうというとか)、投資関連についてはできるだけ感情を排してやった方が良い、とある程度思っています。

ただ、感情を取り入れないのと、自分が希望する未来にいらない会社に投資しない、というようなものは別で、投資スタンスとしてこういった方向性に投資したい、というのは大事だと思います。(軍事関連会社に投資しない、原子力系に投資しない、タバコ、マクドナルド、コカコーラは自分が好きじゃないから投資しないとか)

以下、本書のサマリーです。

第一章
・ヒトの最大の資産は、社会的なフィクションを共有して信頼を構築することができる能力である。
・なかでも資本主義とお金は最も普遍的に大切にされ、最もうまく機能してきた共有のストーリーと言える。
・共有のストーリーを重視するのは、私たちが客観的な言葉よりも、社会的な言葉を信じる傾向があるからである
・人間は資本市場の基本的な単位である。
・だからこそ、市場に関する理論が役に立つかどうかは、人間の本質をどこまで理解しているかによって決まる。

この俯瞰した視点はとても好きで、市場を考える際に人間の本質も考えるというのは持っておきたいです。人の欲望とは?とか、お金が絡めば絡むほど人の内面が出ることもあると思うので、善く生きる上でもマネーリテラシーとお金に対するスタンスを決めておくのは大事だと感じます。

第二章
・脳は15万年前に完成し、400年前にできた市場よりもはるかに古い、そのためネガティブなことをしようとする
・脳の重量は体全体の2-3%しかないが、エネルギーの25%を消費している。
人はもともと行動するようにできているが、市場では行動しない方が報われる傾向がある。
・快楽順応は富の増加に合わせて期待も増加していく過程である。
・報酬を予想してドーパミンが放出されると、私たちは注意散漫になり、
規律を守れなくなる。つまり成功したことが失敗につながる。

自分の脳の傾向をつかみ、それに対してルール設定などで最適な判断ができるようにしたいですね。ギャンブルみたいになってしまう危険性もあるので、、、

第三章
・損失回避によって先祖たちは生き延びた、しかしこれがあなたの投資の成功を阻んでいる。
・体は恒常性を望んでいるが、お金に関する思考は恒常性を乱す。
・ストレスは精神的な現象であるのと同じぐらい肉体的な現象でもある。
・株式会社の悪いニュースはあなたの誕生日よりも頻繁にある。

リスクをどう取るのか、という点については、日本という恵まれた環境で(生きていけない環境ではない)、またお金以外の繋がりなどを持っているのであれば、お金に関しては積極的にリスクを取っていきたいとも思います。所詮お金でしょ、ぐらいの達観したスタンスなどを持ちたいです(どうせ達観できないから)

第四章
・投資家にとって「自分を信じる」という助言は害になる
・人は自分自身の信念を証明するような情報を探そうとする
・自分の判断を過信すると痛い目にあう
・私たちは自分が信じていることに反論されると激しく反応し、信念はより深まる
「知らない」と言えることは、感情的にならなければ利益につながる
・パラドックス的だが、状況があいまいなほど私たちは確信的になる
・夢中になる投資のアイデアほどしっかりと考えてはいない

これはしっかり自分に言い聞かせたいですね、、、そう思う。。
いかに都合の良いストーリーを作るのか、本当にそう思う。。。

第五章「保守主義」
・考えることは脳の代謝に負担をかける
・最高の情報は数学な複雑な考えを使って表現されるため、理解するのが難しいことが多い
結果が同じなら行動する方が行動しないよりも後悔する可能性が高い
・私たちは今までの自分の選択を褒めたたえ、選択肢なかった道をこきおろし、その2つを組み合わせて自分は幸せだと納得している(だから間違いから学ばない)
・サンクコストを重視すると質よりも完成を優先させる
私たちは自分が所有しているものは過大評価し、所有していないものは過小評価する

これも、自分が保守的なのか、好奇心旺盛なのかによって違いますが、多くの人は保守的でしょうし、上記が当てはまるのだと思います(僕もです)

やはり、仕事にしろ、投資にしろ、これだけ恵まれた現代の日本にいるのだから積極的にリスクを取って行った方が良いのだと思います(が、できてない)

第六章「注意」
・人は確率ではなくストーリーで考える
・私たちは衝撃が大きくて、確率が低い怖い出来事が起こる可能性を過大評価する。

というのがサマリーで、下記がそれ以外に気になった、覚えておきたい内容です。

記憶は再生可能であるのと同じぐらい再構築も可能

勝手に過去は改ざんできちゃうってことですね、、

投資家の仕事は今日の市場をみんなの明日の視点で見ることである。

何が正しいじゃなくて、「みんなの明日の視点」てとこですね。今後投資に参加する人が増えてくる中では、よりこの視点は大事でしょうね。

1.エゴ 自信過剰で明確な判断よりも自分の能力を信じた行動をとる傾向
対策はエゴ耐性のポートフォリオを構築する
2.保守主義 利益よりも損失、変化よりも現状維持を不当に優先すること
3.注意 意思決定において確率よりも顕著な特徴を優先する
4.感情 リスクと安全性に対する見方が一時的な感情と個人的な情緒安定性に影響される

こういった傾向が脳にはあるので、気をつけたいところです。

「速い思考」はヒューリスティクスやバイアスや近道に頼ることになるが、より労力を要する「遅い思考」は文脈全体を考慮して判断することになる。
システムは裁量に勝る
分散投資と自信は共存できる
微調整しすぎないでバブル崩壊に備える
情報は少ないほど良い(複雑さがますと判断能力は下がっていく)
行動の証拠や理論や根拠を探す
ファインマンテクニック
1、自分が何がわからないかを見つける
2、自分で学ぶ
3、それを子供や初心者に教える

これ自分の理解を深める上でもやった方がいいですね。

平時にルールを定義し、有事にはそのルールを順守することが重要。

有事のルール遵守が難しい、、、

市場のほとんどのボラティリティは短期的に過ぎないという現実を認識したシステムを準備すると同時に、まれに金融市場が資本を回復不能なまでに一気に破壊することができることを謙虚に受け止め、それに備える。
なじみのないものを受け入れることで、投資が改善するのと同じくらい人生も豊かになることは間違いない。
自国の株を優先するホームバイアス
なじみのある名前(単純接触効果)を好む
人間は過ちを犯すし、市場は非効率。
「みんな」が知っている時はたいていその逆を行く方がいい。
生き残るために必要なお金は、今持っているよりも少しだけ多い額になっている。
逆説的であるが、自分が平凡だということがわかった人は、厳密に言えば例外になれる。

刺激と反応の間には空間があり、そこに自分の対応を選ぶ力がある。そしてその対応のなかに成長と自由がある。」虐殺からどのように生き延びたのかを聞かれて。ービクトール・フランクル
バブルの察知
・資産価格が急騰しているか
・その価格高騰に一般の人たちが興奮しているか
・それをメディアも一緒に騒ぎ立てているか
・普通の人が金持ちになったという羨望をあおるエピソードが流れているか
・その資産クラスに対して、一般の人の興味が高まっているか
・価格の急上昇を「新時代」理論で正当化しようとしているか
・貸し出し基準が緩和されたか

あれ、、やっぱり今じゃ、、、テスラ株とビットコインは完全にこれじゃないですかね。「新時代」理論で正当化されていないか、、、

ある種の株価が50%上昇したら、それから2年間で暴落する可能性はわずか20%だが、100%上昇すると暴落可能性は53%、150%上昇だと暴落可能性は80%。

こういったのは覚えておきたい。

バブルの生成と崩壊まで
・価格はファンダメンタルズに基づく理由で上がっていく
・価格が上がるとみんなの関心を引く
・価格上昇を説明するストーリーが出てくる
・前向きなストーリーと価格が出来高を上昇させていく
・ファンダメンタルズが再び意識され始め、ストーリーが破綻する

めちゃめちゃわかりやすい、かつ、今の状況もこれでしょう。どこでファンダメンタルズが意識され、ストーリーが破綻するのか、ですね。

バブルは「価格の上昇がさらなる価格の上昇を招く社会的な伝染病」
展開が早く投資チャンスが過剰にある世界では、複雑さや数やスピードによってチャンスを吟味する能力が下がる。このようなノイズの多い環境では、数量的なデューデリジェンスという退屈で認知的に疲れる労働と比べてストーリーは歓迎すべき息抜きになる。

いやー、わかる!

ルールに基づき、低頻度でストーリーによる短期的な熱狂と長期的に市場がファンダメンタルズを回復する傾向の両方を考慮した保守的なシステムが必要である。

これを今構築すべきですね。

3つのルール
①選択肢があるときは決して拒否しない
②損切りは早めにする
③利は伸ばす
「自分が見たものは得るものとは全く逆」過去3-5年に高いリターンをあげた株は、次の2-3年はパフォーマンスが下がる傾向にある。またトレード数が多い人のパフォーマンスはトレード数が少ない人に負ける傾向がある。
バリュー投資とモメンタム投資を組み合わせることと再帰性の過程を理解することで、行動科学的投資家は不完全な主観的評価によって不当に値下がりしている株をバスケットで投資して、ポジティブフィードバックグループによって適正勝ちに向かっていくことで報われる。
正しい質問は、「この株価は正しいのか」ではなく、「価格はどこへ向かっているのか」だということ。価格は常に正しいわけではないが、たいていは激しくも間違ってもいない。

この、バリュー投資(割安な株探す)とモメンタム投資(相場の流れに沿った投資)の両方を組み合わせる、はとても参考になります。

ここ1年で言うと、パンデミックでのテクノロジー加速で、IT系の株がすごい上がりましたが、中には明らかに過熱しているのもあります(テスラのPERは1,000倍で、利益1,000年分ぐらいの株価に、、)

モメンタム投資としては、まだ上がる!相場の流れだ!とかもあるのでしょうが、そこに張れるほどのタイプじゃないので、冷静に考えたいですし、一方で、割安になっている銀行株なんかも、そもそも銀行の役割が終わるのでは?みたいにも思うので、安いから買うというのにもならないので、本書の内容を参考にしながら、自分ルールの制定をしていきたいと思っています。

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