「食の歴史」読書メモ
ジャック・アタリ氏の「食の歴史」を読んでのメモです。
第一章から第五章までは、近代までに人類がどのように食べてきたか。という話でして、面白い部分もありましたが、メモはしていないので第六章以降の現代から未来にかけてのメモがほとんどです。
・現代人は空腹だけでなく過食によっても死亡する。
・2019年20億人ほどの大人は太り気味であり、6.5億人が肥満。
・2-18歳までのアメリカ人の6人に1人は太り気味ないし肥満だ。
・肥満の原因は、炭酸飲料や加工食品などによる糖分の摂りすぎだ。
・2015年の1人あたりの糖分の年間消費量はアメリカ人で46kg、フランス人が35kg、ドイツ人が37kg。
・WHOは糖分の年間消費量を18.2kg以下にするように勧告している。
・大人の人口に占める糖尿病人口の割合は、1980年の4.5%から2017年には8.5%にまで増加した。
・EUによると肥満が原因で毎年280万人の欧州人が死亡している
・加工肉の発がん性は間違いなく高くなっている。
・毎日50gの加工肉を摂取すると、直腸癌にかかるリスクは約18%高くなる。
・「世界の疫病負担研究」の推計によると、アメリカでは加工肉の過剰摂取で毎年3.4万人が亡くなっているという。
・赤い肉の過剰摂取が原因で発症するがんで毎年5万人が亡くなっている。
・世界ではタバコが原因で毎年100万人以上、アルコールが原因で60万人以上が亡くなっている。
この辺は情報メモですが、書籍の中では、いかに食品業界のロビー活動が強いものか、なども書いてありました。著者は糖分の過剰摂取の危険性も伝え、炭酸飲料水にもタバコやアルコールと同様の税金をかけるべきだと言っていますし、僕も同感です。
多く入りすぎている砂糖(特に精製されているもの)は百害あって一利なしなんじゃないかと思っています。
飢餓のエリアや、ヒマラヤ登山中などは別ですが、普通に日本で暮らしている中で糖分が足りなくてマズい、という状態にはならないでしょう、、、
加工肉の過剰摂取が良くないという情報は多く出ていますが、発色剤などに発がん性物質が入っているなどの情報も多くありますね。
・2050年には世界人口は90億人。アジアは8.5億ぐらい増える。
・世界人口の55%は農地や自然から遠く離れた都市部で暮らしているが、この割合は75%になる。
・世界人口の半分以上が中産階級の仲間入りをする。(70%はアジア地域、30%はアフリカ地域)
・2001-2015にかけて世界の森林伐採の27%は農業(作物栽培と畜産)のために行われていた。
・今日の西側諸国と同じ消費モデルを維持して養うには食糧生産を70%引き上げる必要がある。それは不可能なので、次の5つに区別できる。
①ごく一部の裕福な美食家。腕が立つ料理人のレストランを堪能できる。
②体に良いものしか食べない食通だ。彼らは地球のために役立つことをしようと考えるとが、実際には自分たち以外のことを真剣には心配していない。
③富裕層や食通の食生活を真似ようとする上位中産階級だ。
④多数派の下位中産階級だ。彼らは工業的に製造される食品の主な顧客だ。これらの食品は、今後ますます地球環境を破壊する。
⑤最貧層。1000年前と似たような食生活を送りながらも、ときには食品業界が提供する劣悪な食品や天然食品を食べる。ただし、天然食品は希少性が増して高値になっていくだろう。
この部分面白い指摘でした。
特に②の「体に良いものしか食べない食通」で「地球のために役立つことをしよう」と考えるが、「実際には自分たち以外のことを真剣には心配していない」という指摘。
自分がこの①ー⑤のどこに入るのか、、、、と考えたら②でしたね。
しかも最後の実際には自分勝手、という厳しい指摘、、、
マイボドル持ってるし、オーガニック好きだし、添加物避けようとしているし、マイストローもマイバッグも持ってるし、、、、完全に②だけど、実際には、、、、これは自分への戒めだと思った方がいいですね。
オルトレキシア(arto:正しい、とorexis:食欲を組み合わせた造語)は、健康な食生活を送ろうとする強迫観念を意味する。
初めて聞いた造語ですが、この強迫観念を持っている人は多くいるように感じます。頭でっかちで、○○を食べなきゃいけない、○○は食べてはいけない、というような言葉を使う人たちでしょうか。
2050年世界人口の1/3は自らの意志によって、あるいは仕方なく菜食主義社になるはずだ。
食糧生産や気候変動の観点から、畜産が地球に与えるダメージは大きいため、減らざるを得ないということです。
肉という元々は高級だったはずのものが、野菜よりも安い、野菜1束よりもハンバーガーの方が安いというおかしな状況になっている今、環境にダメージの与える安い畜産は縮小していき、お肉は高級品であるべきだと感じます。
個人、人類全員、そして地球にとって、食を、健康、社会の安定、楽しみ、分かち合い、創造、喜び、自己超越、他者との出会いの源泉にする必要がある。
食は、人生と自然を分かち合う1つの方法であり、体と心の状態を最善の状態にするための手段であり、自然との触れ合いを見直し、これを失わないようにするための貴重な機会なのだ。
食というのものが何なのか、単なる栄養素ではなく、それ以上に人生にとって重要なものというのをそれぞれが再確認したいですね。
ちなみに、食には一切興味がなく、食べ物は3食全部プロテインとかスナックバーで栄養が摂れれば良い。と思っている人とは永遠に分かり合えないと思っています。
今なら、自分たちが摂取するもので自殺したり、地球とともに自爆したりすることを回避できる。
各自が健全な食生活を送ることが地球を保全するための最も有効な手段であるだけに、その実行は簡単だと言うことだ。
各自が健全な食生活を送るのが、地球保全に一番有効、というのは普段の何気ない選択時にも頭の片隅にはいれておきたいですね。
2017年フランスの国立農学研究所が発表した「オーガニック食品によって世界の食糧供給をより持続的に行うための戦略」という研究によると、肉類、乳製品、卵の消費量を半減させ(これにより、牧畜および牧畜の飼料の栽培に必要な土地の面積が半減する)、食糧廃棄を半減させれば、2050年になっても世界全体の農業は遺伝子組み換え作物や化学肥料に頼ることなく、人類全体を養うことができるという。
実際これを実現させるのはハードル高そうですが、目指したいですね。
数千年前から練り上げられてきた数多くの食事療法(ヒポクラテス式、中国式、アユールヴェーダ式など)に見られる稀な共通点に注目する。
定期的な絶食、腹八分目、肉・糖分・アルコールを控えめにすることを推奨する。
大事ですね〜、ほどほどにする。ただ、誘惑がすごい現代において強い意志が必要ですね。
加工食品だけから持続的に栄養を摂取することはできない。
なぜなら咀嚼は消化と歯の健康に欠かせず、満腹感というメッセージを脳に送るのに必要不可欠な神経伝達物質の合成を誘発するからだ。
噛むことは大事なんですよねー、唾液は天然のサプリなどとも言われてます。
そして強制労働によって作られる食品や、人類や自然に害悪をもたらす食材を利用して作られる食品を消費しないことだ。
今日、西側諸国ではタンパク質の摂取量の比率は、動物性が2/3、植物性が1/3だが、2050には動物性が1/5、植物性が4/5になるように変革しなければならない。
自然を画一化した食の画一化は、ショックや危機に対して自然がもつ抵抗力を奪ったのである。
まさに、気候変動なども増えている中で多様であることの重要性を感じます。
富裕層や権力者のなかには、簡素な暮らしを選択するものたちもいるだろう。
彼らは食の楽しみよりも健康や精神的な充実を重視する。彼らにとって食卓は権力を象徴する場ではなくなったため、出来る限り簡素で健康によい自然な食材からなる料理を控え目に食べる。カロリーよりも食材の産地を気にし、砂糖と肉は摂取しない。慎ましさは洗練と知性の証だと考える。したがって、肥満は愚かさ、意志の弱さ、無能を意味する。
過去と同様、このような考え方は中産階級の行動に影響を与えるに違いない。中産階級の一部はそうした富裕層の食生活を模倣しようと、専門店で似たような食材を購入する。
面白い指摘でした。消費とは差異である、と言っているボードリヤールと同じように、今までは贅沢なものを食べることが階級の上にいる証だったのが変わってきています。
ハリウッドセレブがヴィーガン料理を選んだり、エシカルな食材を選ぶようになり、それを意識高い系の人たちが真似る、という構図ですね。
そう考えると、1人50,000円のヴィーガンコース料理とか、地球環境などをもっと意識したような食材などがより高級になることになりそうです。
最近、SDGsやESG投資などがどんどん注目されていますが、食に関しても同じことが言えますね。
フードロスの問題や、地球環境へ与えるダメージ、よりエシカルで、より利他になっている食が受け入れられていくのだと思います。
全員にとって最善の食餌療法:食の利他主義
他者と自然にとって良いものを消費することが自分自身にとってもよいことである。
心に刻みましょう。
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