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「共有地をつくる」読書メモ

こちらの読書メモです。

著者は好きで、他の本も読みますが、この本は著者が行ってきたビジネス、共有地づくりの成功も失敗も素直に書かれていて、非常に共感しながら読めます。

僕自身は、資本主義、消費社会のパワーの大きさを感じながら、それに振り回されずに、心地よく、くつろぎながら生きていくためにはどうすれば良いのか、を考えるのが好きですが、方向性ややっている内容も含めて好きな本でした。

いくつか好きな言葉のメモです。

不要なモノが欲しくなるのは、必要なものの欠落によるのではなく、不要なものの過剰によるものだということ。

秀逸な指摘だと感じました、なるほど。と。消費をすることで、さらなる消費欲求が起きてしまう。さらに、僕たちは日々多くの広告などに触れていて、「これを買うともっと幸せになる」「本来の自分になるにはこれが必要」というような消費を喚起される情報に触れまくっています。呑まれるな消費社会に、ですね。

ダライラマの言葉で、「欲望は海水を飲むことに似ている」というものがありますが、消費や私有ということについても同じことが言えるかもしれないですね。

何かを買って自分のものにすると、もっと自分のものが欲しくなる。逆に、手放していけば、もっと手放していきたくなる。

私有というのは、自分が何かを持っているということ以上に、他者が持たないものを自分が持っているというところにその本質的な意味が隠されています。所有は、社会的な差別指標になっているというわけです。

他人と自分を比較しない方が良い。というのは自己啓発系でもいくらでも出てくる言葉ですが、人はどうしても他人と自分を比べる生き物なのか?ぐらいに思ってしまいます。

他人との差別化に所有を増やして、他人に対してマウントを取る。ということを自分が無意識にしているのだとしたら、一歩引いて見ると、ダサいことをしているなあ、、、と思います。

一歩引いて自分を見ることで、私有・所有に対するこだわりなどを削ぎ落としていきたい。

足る状態のために私有を増進するのではなく、あくまでも他者との差別化を目指して私有に走るわけですから、
私有すればするほどに、さらなる私有への欲望が亢進することになります。私有するとは「失うもの」が増えるということです。

お金が増えるとその分、失うことに対する恐怖が増える、、、確かに。
ただ、誰もがスタートは「より豊かに、幸せを目的として」所有・私有をするのに、どこかで所有が目的になってしまい、むしろ失う恐怖が増えてしまう。あれ?目指していた豊かさや幸せはどこに?となってしまう。

お金、資本主義、消費社会の無限の拡大を目指す動きは強力なので、その中で自分がいかにバランスを取りながら生きていけるのか、こういった本から考えるヒントをもらっていきたいです。

ぼくがぼくであることは、ぼくがもっているもので決まるのか?なんかなさけない」哲学者中山元

なんかなさけない。ていう言葉が好きです。

お金に対する考え方を変えるとはどういうことか。
簡単に言ってしまうなら、私有に対する考え方を変えて、お金で買えるものを共有すれば「お金さえあればなんとかなる」から「お金がなくともなんとかなる」へ思考を転換できるはずだということです。
そして、供給過剰に陥った先進国経済においては、こちらの方が理にかなっているとも思うのです。

主流の考えは、「お金重要」「私有する」なので、それをもう少しお金の重要度を下げて、共有の方向に持っていきたいですね。結構勇気がいることなのだとは感じますが、確かにそうしていく方が、経済が成熟した日本のような国ではいいのだと思います。地球環境なども考えるとさらに。

この本の最後の方では、著者が共有地を作ろうとすることと、ビジネスをすること(利益を上げること)を両立させようと苦労していたエピソードなどが書かれています。相反する部分があるので、両立は結構難しい問題だと感じます。

最後には、喜捨・勧進というようなお寺などに寄付するような取り組みで共有地を維持していく取り組みを実践しているエピソードが書かれています。

個人的には著者ほど振り切れる勇気も現時点ではなく、ただ、とても共感する部分は多く、どうするのが自分にとっては良いのだろうか、、、考えると、、、

・お金を稼ぐ部分と資本主義・消費社会から少し距離をおけるような共有地づくりを分けて考える。いずれお金や私有なんて全然なくても良いというような境地になたい。
・株式投資などの資本主義の恩恵を受ける部分は活用しつつ、そこで利益が出た場合は、共有地づくりなど、私有・資本主義・消費社会から距離をおけるような方向を目指す。

というようなことでしょうか。


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