日記_240718
久しぶりに寝るのに失敗したな。いつの間にか白んだカーテンと、新聞のバイクの音で我に帰る。寝れないことによる次の日の体調について心配するのが普通なのだろうが、寝れないことによる体調不良よりよほどうつ症状による体調不良の方が影響力があるので、世界の開始時間と言える朝を迎えてしまうことを、大したことには感じなくなった。
薬をのめばある程度のコントロールができるというはわかっているのだけれど、多少は抗いたい気持ちはあったりする。こういう小さなプライドのようなものは邪魔なだけだというのは、多少なりとも理解してきた自分とその病気について考えれば明白ではある。でも、部分的に負けてもどう生きるかへの選択権くらい私が持っておきたい。そんな日もあっていいよね。
川の流れる音が増幅されているような感覚がありテントの中で目が覚める。なんだか妙に冴えちゃって外に出てみると、ひんやりとした土の匂いと霧深い山の気候を思い出したりする。雨でもないのに植物がびしょびしょで、いつの間にか靴が濡れてしまった。割と早めの朝なんだろうけど何時だかわからない。夜にはあんなに遠く感じたトイレがだいぶ近く感じる。帰りに川で冷やしっぱなしのジュース取ってこよう。
そんな景色をカビ臭い狭い部屋で思い出したりしている。キャンプ、好きだったな。暗くなるのが早くて、ずっと夜遊びしてるみたいな高揚感があるんだよね。「こう遊ばなきゃいけない」というフォーマットから解き放たれたような感覚が、人間本来の自由を教えてくれる気がしていた。もし東京で夜中に虫取り網持って歩いてたら職質されるもんね。自宅で食べたらひもじいカップ麺すらもご馳走になった。
社会に縛られたくないのだろうね。正しくあろうとすることはあくまで社会によるもので、コントロールされることに振り回された人生から少しでも解放されたいのかもしれない。マナー講師の頭骨とルールブックは焚き火に入れちゃおう。あとはモンスターもね。モンスターは私を苦しめている元凶のこと。もうそろそろ火葬しても良い頃かな。
そんなことを考えていたら、夜と朝の絵の具を混ぜた曖昧な空が、完全に朝になってしまった。人間とかいうゼンマイ式のおもちゃが、一斉に巻かれて放たれる瞬間みたいでなんだか気味が悪い。マナー講師の頭骨はさっき焚き火に入れたので、シーケンスの組まれた名刺交換とかしてないでカブトムシ捕まえに行こうよ。そんな提案はこの社会ではどうやら許されないらしいが。
さて、睡眠薬をのんで眠ることにチャレンジしよう。みんなが昇格のための大事なプレゼンにチャレンジしてる間に。どちらが価値のある人間?どちらが見下ろしている?人に上下はないことを知っている私を見下ろして生き甲斐を感じているのかな。
ああ疲れた。一体どれが本当の現実なんだろう。
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