媚びの灰汁

ゲームセンターに通りかかると、開け放されたドアの向こうから、女性の声が聞こえる。広告映像だったが、どうも其の音声が不快だった。

惹きつけようとしているのに不快な成分を混ぜるとは是如何に。其れが渋みを立たせているのなら兎も角、聴くと逆に厭になるのは商業として失格なんじゃないのかい。

人の嘘を見抜くには目を見ると良いのだそうだ。男性は目を逸らし、女性は目を見つめるという。其れと似たことが媚にも有る、と思っている。女性が媚びるとき、音の低音域が薄くなり、高音域が多くなるのが私の経験則だ。

黒板をひっかく音や電車のブレーキ等、2000Hz以上の音が人間にとって不快らしい。試しに2000Hz音を流しながら或る声優のサンプルボイスを聴いてみると共鳴している。2000Hzを切ってもキンキンしてる。クール系の低めの声でもキンキンしてる。台詞の有るアニソンのその部分で、ウィスパーボイスであってもキリキリしてる。

この2000Hzは媚に内包されている或る種のエゴイズムの表れなんじゃなかろうか。ゴマすりさんが被寄生者との心的距離を離さんとする為の自然無意識の動作としての声門閉鎖と2000Hz…

考えても眠くなってくる一方なのでもう止めた。結論を述べよう、私は視聴者に偽求愛をする旧型アイドルコンテンツの、あの声が嫌いだ。画面に映ってる態度や、言語が伝達している意味よりも、其のパッケージがトゲトゲしていて苦しいのだ。

追伸。私が音に過敏なのも恐らくあるし、私は個人主義者なので、どうか蔑む意図でないのを理解していただきたい。

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