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【行政処分】「登録取消し」、「業務改善命令」発動

6月12日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、投資助言業者を行政処分するよう勧告していました。

この勧告に対し、6月23日、金融庁は「登録取消し」および「業務改善命令」という厳しい行政処分を下しました。

今回の事案で問題となったのは、次の行為です。

〇無登録業者に対する名義貸し
〇不適切な業務運営
〇投資助言・代理業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況

(以下、金融庁公表文書から一部抜粋・加筆)

●事実関係(概要)

〇無登録業者に対する名義貸し

金融商品取引業の登録がない者3名に対し、当社の名義をもって投資助言・代理業を行わせた。

〇不適切な業務運営

・顧客に交付した契約締結前交付書面等に記載された助言・分析者以外の者に投資助言行為を行わせている。
・金融商品取引業の登録のない者に、投資顧問契約の締結の代理を行わせている。

〇業務を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況

当社の職員が、他の投資助言・代理業者からの違法な名義借りにより投資助言・代理業を行っていた株式会社A社の実質的代表者であることを認識しながら、同人の適格性について何ら審査することなく、当社の助言・分析業務に携わらせているなど、経営陣は、法令等遵守意識が欠如している。

(以上、金融庁公表文書から一部抜粋・加筆)

■本事案のチェックポイント

○財務局への届出

投資助言業者には、社内に次の者が設置されていることが必要になります。

1.分析者・・・投資情報や市場の状況等を分析する者
2.投資判断者・・・1.の分析情報により具体的判断を行う者
3.助言者・・・上記1.2.の分析・判断情報を顧客に提供する者

分析者・投資判断者・助言者の業務を兼務し、3者の業務を一人で行うこともできます。

ただし、3者のうち、
「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を行う者」

つまり、上記1.2.の者については、当該投資助言業者に「雇用」されている者であることに加え、履歴書や住民票等を添えて、2週間以内に財務局に届出を行い、使用人の登録を行っておく必要があります。

○助言者

上記3.の助言者については、使用人の登録を行う必要はありません。
ただし、助言者は、当該投資助言業者に「雇用」されている者である必要があります。

■金融商品取引業の登録がない他社(他者)に分析者・投資判断者・助言者の業務を委託してもいい?

答えは、NGです。

「投資助言業者は、分析者・投資判断者・助言者を「雇用」し、当該者を管理・監督することが必要」

以上を守っておかないと「無登録業者に対する名義貸し」との指摘を受けてしまうことに注意が必要です。

福田秀喜(行政書士福田法務事務所)
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