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新しいコミュニケーション法『ぺこぱ』変換

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『ぺこぱ』の漫才を「イエス・バット」法と比較してみた

『ぺこぱ』とは

シュウペイと松陰寺太勇(しょういんじたいゆう)からなるお笑いコンビです。

パープルのスーツ姿、キザなキャラクターと激しい動きが特徴で
「時を戻そう」「悪くないだろう」
のフレーズでおなじみです。

2019年にM-1 グランプリ3位となってからの活躍はめざましいものがあります。最新の調査においてTV露出度は1位となっています。





彼等の漫才スタイル

彼等の漫才は本来の王道スタイルである「そんなわけないやろ」とツッコむところを「そんなわけ・・・あるかも」と「ボケてツッコむ」を裏切ることで成立しています。「ツッコミかけた後に否定せずに飲み込む」という、緊張と緩和を使い分ける独特なスタイルは、
   
・全肯定漫才
・ノリ突っ込まないツッコミ
・ポジティブツッコミ
・ぺこぱ変換
・ポジティブ変換

などと呼ばれています。呼び名の多さが語るようにいまだ確立されていない未完成の漫才とも言えます。

しかし『絶対に人のせいにしないツッコミ』は見ている者をハッとさせるのです。大声でツッコミを入れたり頭を叩いたりすることよりも強烈なインパクトを与えるのであります。





『ぺこぱ』の漫才ネタ

漫才ネタの例をあげてみます。

例1
乗客「新宿駅まで」
タクシー運転手「新宿駅って何ですか?」
乗客「いやー知らねーん・・・だったら教えてあげよう。そうだろう、知識は水だ。独占してはいけない」

例2
タクシー 客にぶつかる「どぉぉぉん」
タクシー待ちの客「いやー、イッテェな!どこ見て運転してんだよっ・・・て言えてる時点で無事で良かった」

例3
タクシー 再び客にぶつかる「どぉぉぉん」
タクシー待ちの客「いやー、二回もぶつかるっ・・・てことは俺が車道側に立っていたのかもしれない」

といった具合です。

不条理を一瞬で昇華させ、なおかつ笑いに変えてしまう彼等の漫才。
それは新しいコミュケーションの有り方として一石を投じているのではないかと私は感じるのです。

そこでコミュニケーション法のひとつである「イエス・バット法」と比較してみることにしました。

「イエス・バット」法とは


コミュニケーション法のひとつに「イエス・バット法」と呼ばれる手法があります。

相手の主張を否定する場合に、頭ごなしに反論すると反感を買い、その後のコミュニケーションが円滑に進みにくくなってしまいます。

そこで相手の主張を一旦受け入れておいてその後自分の意見を話すやりかたです。

相手の意見を尊重することによって反発感を和らげ建設的な議論をすることが期待できます。

結果的に自分の意見を通しやすくなるのです。日本語におきかえるなら「肯定からの提案」という表現になるかと思います。






「ぺこぱ変換」と「イエス・バット法」まとめ


相手の意見を尊重する点は共通ですが、言いかけた反論を絶妙なタイミングで飲み込むところは似て非なる性質のものです。

全て自分の中に呑み込んでしまう事の是非はともかくとして相手がハッとするのは間違いないのです。

私は製造業界において長い間営業職に就いておりました。先に述べたイエス・バット法を含め、あの手この手で顧客と駆け引きする世界であります。
商談成立の可否はともかく相手からこのようなテクニックを使われたあかつきにはコロッとファンになってしまったことでしょう。


堅苦しい解釈はともかく彼等の漫才は何度見ても「はっ」とさせられるのです。

物のとらえ方を変えてくれるからなのでしょうか。多様性を尊重する寛大さに心打たれるからなのでしょうか。

これからもお笑いコンビ「 ぺこぱ」の活躍に期待したいと思います。そして私達をハッとさせ続けて欲しいものです。

    完













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