予想の地平

僕は人の話を聞くのが苦手だ。

高校で習った国語の「『身銭』を切るコミュニケーション」という文章の中で、「予想の地平」という言葉が出てくる。「予想の地平」とは、会話をしているときに自分の予想の範囲にない言葉をかけられると簡単な言葉であっても理解出来ないことがあり、その自分の理解しうる範囲のことを呼ぶ。
僕は僕のこの地平はとても狭いと思っている。

予想の地平にない事を言われたとき、最も起こりうる現象は、「何を言ったか分からない」だ。
例えばお店で会計をしている時に、突然「〇〇カードお持ちですか」なんて言われたら、多くの人は聞き返すのではないだろうか。何度も同じ質問をし、何度も「はい??」と聞き返す。いずれ質問者は諦める…。
これが、予想の地平を超えるということである。

もちろん、話を聞いていないだけなのではないかと言う人もいるだろう。だが、もはや自分ではどうにも出来ないのだ。どれだけ注意して聞いてても、予想の地平を超える言葉は理解しようがない。

予想の地平を超えてしまった時には、対処法がある。
それは、「言い換える」ことだ。単語を文章にするだけでもいい。さっきの"〇〇カードの話"でいえば、「ポイントが貯まるカード持ってますか」とか、実物を見せながら「こういうカード持ってますか」、みたいな感じで、言い換える。それだけで、相手の予想の地平に合わせてレベルを下げることが出来る。

特別に配慮をしてくれというような横暴なことを言いたい訳では無い。世の中にはこういう人もいるんだということを知ってもらえれば十分だ。

日本は異民族が少ない。それ故に同族意識が高く、マイノリティを排除する傾向にある。だがもはや日本も多民族国家化しており、人間の多様性を様々なかたちで認めていかなければならない。

今こそ、同族意識によって育まれた豊かな思いやりを分け隔てなく発揮していき、新たな国民性として世界にアピールしていく時だと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?