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ロボットによるAdobe Acrobatの自動処理(RPA)が許可されているのか調べてみました。

表題の通りですが、Acrobatを使用したPDFからの情報抽出やページ分割等の自動操作は規約上認められているのか調べてみたので、結果を以下にまとめておきます。


RPAによるAcrobatの操作は許可されていない

調べたといっても、Adobeのサイトを検索したらすぐに答えは出てきました。

アドビは、自動スクリプトやロボティックプロセスオートメーション(RPA)の実行などの Acrobat の自動処理を許可していますか?

アドビでは、顧客が Acrobat Pro アクションウィザードを使用している場合を除き、自動スクリプトまたは RPA を通じた、エンタープライズ向け Adobe Acrobat のライセンス取得済みコピーの自動化を許可していません(詳細)。Acrobat や文書ワークフローの自動化に関心がある場合は、別の Document Cloud 製品のライセンスを取得してください。

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/automation-and-document-workflows.html より

Acrobatの自動操作は、基本的にPro版に搭載されているアクションウィザード以外許可されていないようです。

RPAで処理する場合は下記のようにAdobe Acrobat Services API(無料利用枠あり)を使用しろ、ということですね。

ロボティックプロセスオートメーション(RPA)を使用して PDF ワークフローを自動化する方法を教えてください。

Adobe Document Services には、任意のアプリケーションで PDF の作成、操作、コンテンツの抽出、文書の生成を自動化する API が用意されています。自動化タスクは、請求書およびレポート作成、コンテンツの処理および再発行、データ分析などに関する文書ワークフローの構築に役立ちます。次の API が利用できます。

Adobe PDF Services API を使用すると、Word、PowerPoint、HTML などの複数の異なる文書形式から PDF を作成できます。また、PDF の他の形式への変換、全文検索のための OCR 文書の PDF への変換、パスワードの追加、PDF の圧縮などもできます。
Adobe Document Generation API では、データを使用した動的な PDF および MS Word ファイルの生成が可能です。条件ロジックと署名を使用して JSON データを Word テンプレートに挿入することで、契約書、請求書、および販売提案書を自動化できます。
Adobe PDF Extract API を使用すると、PDF 文書に保存されている非構造化データをロック解除できます。ML/AI テクノロジーを使用して、スキャンを含む任意の PDF 文書から、テキスト、複雑な表、画像、図、および文書構造(列とページの解析を含む)を自動的に解析します。テキスト抽出は OCR 技術を凌駕して、テキストスタイル、フォント、コンテキストをキャプチャします。
Adobe PDF Embed API は、無料クライアントサイドの JavaScript API であり、開発者はこれを使用することで、どの web アプリケーションにも PDF 文書を埋め込むことができます。これにより、エンドユーザー向けのエクスペリエンスを表示した一貫した文書が作成されます。共同作業とレビューワークフロー用の API と、エンドユーザーの対話性に関するインサイトを得るための分析統合が含まれています。

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/automation-and-document-workflows.html より

Adobe の規約にも以下の禁止事項が記載されていました。
(「フレーミング」というのが具体的に何を指しているのかはちょっと不確かなのですが…)

6.21フレーミングまたは同様のナビゲーションテクノロジーを使用して、本サービスおよび本ソフトウェアを操作または表示すること。

https://www.adobe.com/jp/legal/terms.html より

JavaScriptやOLEオートメーションは?

アクションウィザード以外認められていないといっても、Acrobatには下記ガイドにあるようにJavaScriptやOLEオートメーションが実装されています。

これらは明らかにAcrobatによる処理の自動化を行うものですが、これらについては以下に記載がありました。

Acrobat のユーザーライセンスではどのような自動処理が許可されていますか?

次の 3 つの条件が満たされている場合は、Acrobat の使用を自動化できます。

・Acrobat アプリケーションがクライアントマシンにインストールされている(Windows または macOS)。
・ユーザーは Acrobat で自動化タスクを開始する必要がある。例えば、Acrobat アクションウィザードを使用して実行されるタスクです。
・Acrobat での自動化タスクは、同じコンピューターで実行する必要がある。サードパーティのアプリケーションで操作することはできません。例えば、以降の操作を実行するために、サードパーティのアプリケーションに出力を送信することはできません。

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/automation-and-document-workflows.html#allowed-automation より

要するに、 ①PCにAcrobatがインストールされていて、②ユーザーがPCの前で処理を実行し(Power AutomateのAttendedのような形)、③処理がAcrobat内で完結する形 であればJavaScriptやOLEオートメーションによる処理の自動化も認められているというわけですね。

まとめ

以上、簡単に調べたものをまとめてみましたが、

  1. 基本的にAcrobatはアクションウィザード以外の自動操作を認められていない。

  2. JavaScript等のAcrobatに実装されている手段で自動化を行う際は条件を満たす必要がある。

  3. RPAでAcrobatを使ってPDF周りの処理を行う場合はAPIを使う必要がある。

ということが分かりました。
どなたかのご参考になれば幸いです。

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