ドラえもん映画「ケンちゃんの冒険」の感想
先日、ドラえもんの短編映画「ケンちゃんの冒険」を視聴しました。
Wikipediaによると福祉目的で製作された珍しい作品(1981年公開)のようだったので、折角なので印象に残ったシーンや感想を書いておこうと思います。
※以下ネタバレを含みますので、それでも構わないという方のみご覧になってください。
あらすじ
のび太のクラスに転校してきた車いすの少年ケンイチくん(ケンちゃん)、チョウが好きで標本もたくさん集めていますが足が不自由なために自分で捕まえたことがことがありません。
のび太はそんなケンちゃんのために一緒にチョウを捕まえに行くことを提案しますが結局捕まえることはできず、ドラえもんの助けを借りようとします。
ところがドラえもんはちょうどドラミちゃんとお出掛け中。
のび太はドラえもんがいなくても動かせるタイムマシンを使って、ケンちゃん、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんと一緒にチョウの化石が見つかっているという3000万年前の漸新世に向かうことにします。
無自覚な言葉の刃が突き刺さる
本作でまず最初に印象に残ったのが、ケンちゃんが転校してきた日の野比家の夕食のシーンです。
のび太がケンちゃんのことを家族に話すのですが、その話しぶりが・・・
のび太「とっても可哀想なんだ。」
のび太「一人じゃ何もできないんだよ。だからさ、みんなで色々手伝ってやったんだ。」
お、おおぅ・・・。
パパが「何でも手伝うのはどうなのか?」と苦言を呈してものび太はよく分かっていない様子です。
ケンちゃんの家でチョウの標本を見せてもらったときのやり取りも、見ているこちらの心が痛くなりました。
のび太「なんだー。自分で捕ったんじゃないのかー。」
ジャイアン「チョウなんてさー、自分で捕らなきゃ意味ないよなー。」
スネ夫「デパートで買うんなら僕だって集められる。」
のび太「どおりで沢山あると思ったー。」
すぐさましずかちゃんが窘め皆ケンちゃんに謝りましたが、その様子を見るに何も考えずに発した言葉であることが分かります。
無自覚な言葉の刃が突き刺さります。
ディアトリマ登場
のび太たちを追いかけて過去の世界にやってきたドラえもんとドラミちゃんを襲ってきたのが下の生物、ディアトリマ(ガストルニス)です。
ディアトリマといえば我孫子市にある鳥の博物館で復元模型が常設展示されていますね!
私も好きな博物館でよく訪れるのですが、見知った顔がアニメ作品に登場すると嬉しくなってしまいます。
(ディアトリマは草食性だったとの見方もあるので、作中のように凶暴な生物であったかどうかは分かりませんが・・・)
たずね人探知機
作中ではもちろんひみつ道具も登場します。
気になったのが下図の道具、「たずね人探知機(最新式)」です。
『えっ!?「たずね人ステッキ」ちゃうの?』
何回か聞き直してもやはり「たずねびとたんちーきー」(大山さんボイス)と紹介しながら道具を取り出しています。
たしかに道具を使っているとき杖の頭の部分がピコピコ光ってますし、いつものたずね人ステッキとはちょっと違うようです。
使い方や性能に特に大きな違いは無さそうですが。
作中では雲とりバケツも出てきます。
本作では下図のように緑っぽい色をしています。
思わずツッコミたくなるシーン
過去の世界でチョウを探し回っているときのシーンがこちら↓
いくら子供用とはいえ10kg以上はあるであろう大きな車いすを抱えて、まるでファミコンのゲームのように岩の間を軽くジャンプするのび太。
いや、君スゴイな!
過去の世界で落石事故に遭うシーンがこちら↓
真っ先にしずかちゃんがケンちゃんを庇い、それに気が付いたのび太がすぐに助けに向かいます。
これはカッコイイわ!しずかちゃん、カッコイイよ!!
(逃げ出しかけたジャイアンとスネ夫もすぐに駆け寄ります。)
ディアトリマに襲われそうになったケンちゃんをドラえもんとドラミちゃんが助けるシーンがこちら↓
ドラえもんは空中から下降しながらのキック!
いや、ドラえもんさん道具使わないんかい!?
(ドラミちゃんはスモールライトを使ってディアトリマを撃退しています。)
一番好きなシーン
本作で私が一番好きなシーンがこちら↓です。
物語の最後、皆で登校するシーンなのですが、坂に差し掛かったところでのび太とジャイアンがケンちゃんを手伝い、そののび太とジャイアンのランドセルをスネ夫としずかちゃんが抱えて運びます。
その行動が実に自然で、皆の優しさと友情を感じます。
まとめ
懐かしい大山のぶ代さん時代のドラえもん映画で、ケンちゃんを演じているのも藤田淑子さんなのでキテレツとの共演です。
のび太やジャイアン、スネ夫、しずかちゃんの声も懐かしく、子供の頃のことを思い出しました。
本作は40年以上前の作品ながらも未だメディア化や配信もされておらず、ファンの間では幻の作品とも呼ばれているようです。
たまたま私は視聴する機会に恵まれましたが、見終わった後に心が温かくなるような本作を目にする機会がほぼ無い点は残念に思います。
全国心身障害児福祉財団が製作された福祉目的の作品で、いまの時代に合わない表現が作中にあるかもしれませんが、非常に良い作品だと思いますので、もっと手軽に見られるようになることを望みます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?