金魚宙
金魚宙【よむ のおと】|ちびまゆ @chibi_mayucha|note(ノート)https://note.mu/chibimayu/n/n69df9566474b
どこぞへ跳ねるか、宙六天。
追われたか、逐うたかの兎と亀よ。
果てへ往くわけでもなく、偶さかにも地面の端っこに届いたなら、それはもう宙ぶらり。
そこではHanged Manが矢鱈に馴れ馴れしく声をかけてくるけれど
(やられちまうぜ。やられちまうぜ。)
いったいナニにやられちまうというのか。
Hanged Manを横目に宙ぶらりんとやるせない。
向かいの月では蟾兎が逆さに踊っているけれど
(やっちまえ。やっちまえ。)
嗚呼、これは頭のおかしな空中戦なのだ。唯、
誰も彼もが逆さにいる。あべこべだ。
Hanged Manはピエロの涙さ。
誰をも落としやしないと沈黙を
蟾兎はその手に武器を持たずと、こゝろを持つ兵士だ。
宙ぶらりんと、宙がえり、ここは金魚宙。
金魚は逆さにぷうか、ぷかりと死んだふり。
おかしな世界は死んだのさ。
逆さでいなけりゃ生きられない世界。なぜ生まれたかなんて化けたものなんかより、死んだふりより生きるふりしてみればいい。
そんなこと、はじめから兎と亀は知ってたよ。
おいでよ、金魚宙へ。
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