月が張りぼてなら兎は何か
どんなにか、
月無しの夜を数えたところで。
どんなにか、
泳ぐ言葉を掬ってみたところで。
思いの丈は変わりはしない。
薄い薄い澱粉紙にくるまれてるつもりで、
水のなかへ飛び込んだ。
そこには何もない。
はじめから何もありはしないと誰が言うなら、
わたしが言う。
型紙を切って月をつくるのか、
誰かの本を切り抜いて張りぼてをつくるのか、
そんなことから始めてみればいい。
月の形をした何かも、
言葉のふりした何かも
溶けやしない。消えやしない。
今宵の張りぼては綺麗だ。
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